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2014年3月7日

5230 フロッピー眼瞼症候群(眼瞼弛緩症候群)では睡眠時無呼吸症候群の頻度が多いという話

上瞼が柔らかくなるフロッピー眼瞼症候群(柔らかい眼瞼症候群、眼瞼弛緩症候群)では睡眠時無呼吸症候群の頻度が多いという話が昔からあります。

(私のモットーは腑に落ちない症例が有ったら、その日のうちに従来の知識と、不足していた知識を突き合わせて問題点を修正しておくことです。と言う訳で、本日は眼瞼弛緩症候群と睡眠時無呼吸の関連を考えてみました。)

これは以前にもこのブログに取り上げたことのある話題なのですが、たとえば英語でfloppy eyelidとsleep apneaを掛け合わせてグーグルで探すと0.26 秒で約 26,100 件 もの記事が見つかります。しかし残念ながら日本語のページに限定すると、そのようなことを記載したページはほとんどありません。

(追記:「睡眠時無呼吸症候群と眼瞼弛緩症候群との相関性」などのように眼瞼弛緩症候群という言葉がfloppy eyelidの翻訳には使われることが多いようです。)

清澤眼科医院通信では:2647 睡眠時無呼吸症候群の眼症状 と言う記事を記載したことがありました。それは2011/09/28の記事で、- 睡眠時無呼吸症候群と眼症状 というインディアナ州のリック・トレヴィノ先生のスライドを参考に Can J Ophthalmol 2007;42(2):238-43 (http://pubs.nrc-cnrc.gc.ca/cjo)の内容を加筆したものでした。

しかし、本日この記事に戻ってみることがあってちょっとネットサーフしてみましたが、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの瞼がすべて柔らかくなるという事ではないようです。(確かに下の記事にもそう書いてありました。)

どうもフロッピー眼瞼症候群の眼瞼ではコラーゲン量は変わらないがエラスチンの量が少ないなどと言う病理の報告もある様です。しかし、その原因は良く解ってはいなくて、あるページにはうつ伏せになって枕に眼を押し付けるからだろうなどと言う説明にならないような説明も出ています。その解明は今後の研究者にお任せしましょう。

さて先の記事(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/52964553.html)の要点をもう一度辿ってみましょう。
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■睡眠無呼吸症候群の眼症状には次の6つが有る

1、眼精疲労
2、CPAPに関連する結膜充血
3、柔かい瞼症候群
4、糖尿病網膜症
5、NAION非動脈炎性虚血性視神経症
6、正常眼圧緑内障

その3番目の、「柔かい瞼症候群」について考えるならば
●臨床的特徴はまぶたの強い弛緩です
・弾性があり、容易に上眼瞼は反転可能です
・左右差のある睫毛眼瞼下垂も見られることがあります。
・結膜炎もよく見られます。
・慢性の眼の違和感があって朝起きると悪化すると訴えるとされています。
・枕カバーでこすれる、貧弱な瞼と眼の接触は弱いことが関連するとされています。

●その治療には
・軟膏治療が可能です
・瞼と眼の接触は弱いです。
・そのために、涙の分布が不適当になって症状を引き起こします。(ですから患者さんによってはドライアイも出て当然なのでしょう。)
・睡眠中の目表面保護が必要です。
・それには軟膏、眼帯、絆創膏、安眠マスクなどを薦めることも可能です。
・CPAPで改善するかもしれないです。
・睡眠時無呼吸症候群が治療されるまで目の外科的療法は延期すべきでしょう

●睡眠時無呼吸と柔かい眼瞼症候群の関係
・睡眠時無呼吸を持つ患者の5-15%には柔かい眼瞼がある
・柔かい眼瞼を持つ患者の96%(ほとんど100%)には睡眠時無呼吸がある

睡眠時無呼吸は、柔かい瞼を備えた患者においてより厳しい傾向がある
柔かい眼瞼を持つ患者では、睡眠時無呼吸が無いかを検査するべきである。
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と言う訳で、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが柔らか瞼症候群を持ていて何らかの訴えを持っているならば、別に瞼の専門家でなくても上のことを考えて対策を考えればよいのです。その多くは慢性の結膜炎を訴えてくるのでしょう。そして、軟らかい瞼があればその症状に対する答えを考えます。軟らかい瞼だけが別に重要な訳ではなくて、むしろ 、その重要さから言えば①糖尿病網膜症、② NAION 非動脈炎性虚血性視神経症 ③正常眼圧緑内障も見逃さないように押さえておくことが重要という事になります。

先に大学で見た患者さんはうっ血乳頭を示していました。(清澤眼科医院通信:3230 睡眠時無呼吸症候群の合併症としてのうっ血乳頭https://www.kiyosawa.or.jp/archives/53586605.html)睡眠時無呼吸では静脈圧が上昇することが知られていますから、これもありうる症状に加えられても良いのかもしれません。

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と言う訳で、本日はある患者さんは私が自分で記載したこの記事の内容を完全には覚えていないことを不思議に思われたようでしたが、この記事の話題は私が10年かけて調べた5230項目の話題(この図の冊子がそのすべてを印刷したものです)の一つと言う訳なのです。

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