お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2014年2月3日

5141 NTTと東レが生体情報を取得できる新素材を共同開発:の記事です

5141 ウエアラブル“ウエア”の破壊力

違和感のないウエアラブル世界への一歩 原 隆,佐伯 真也 (日経ビジネスオンラインから)
 ヒトエの量産化に関し、東レは既存の設備だけで対応し、工場設備への追加投資をしない考え。ヒトエを採用したインナーウエアについても、「普及価格帯に設定したい」(東レ)としている。

 海外市場の開拓も視野に入っている。「今回の国内向け発表に加え、近々NTTと共同で海外に向けた情報発信を計画している」(東レ)とし、日本の通信技術と素材技術の融合が生み出したウエアラブル時代の新素材で、海外需要の取り込みも狙う。

 ソフトバンクモバイルは2月14日、スマホ向けの健康管理サービス「ソフトバンクヘルスケア」向けのリストバンド型端末「Fitbit Force」の発売を予定している。ヘルスケア分野のウエアラブル機器は携帯各社が力を注いでいる分野。スマートフォン単体での機能やサービスの差別化が難しくなっている状況下で、NTTドコモにとっても、ヒトエは他社との差異化に大きく貢献する新素材となりそうだ。

オープンイノベーションがもたらした新素材

 「知人の医者からすれば、たかが電極で大騒ぎしていると思われるかもしれない」。

 開発に携わったNTT物性科学基礎研究所主幹研究員の塚田信吾氏は思わぬ市場の反響にこう笑う。ヒトエの基となる導電性複合素材はもともと、ウエアラブル市場の勃興を見据えて開発されたものではないからだ。もともと医師として臨床医学に携わっていた塚田氏は、症状が悪化してから病院を訪れる患者を前に幾度となく悔しい思いをしていたという。日常生活で身体が発するシグナルを事前にキャッチできれば早期治療も可能との思いから、電解質ペーストを使わず、かつ、ノイズを押さえた新しいタイプの電極の開発に乗り出した。

ウエアラブル“ウエア”の破壊力

違和感のないウエアラブル世界への一歩

原 隆,佐伯 真也

NTTと東レが共同開発した「hitoe(ヒトエ)」。インナーウエア以外にもマフラーや帽子など様々な応用が検討されている(写真:的野 路道、以下同)

 NTTと東レは2014年1月30日、生体情報を取得できる新素材「hitoe(ヒトエ)」を共同開発したと発表した。ヒトエを採用した衣類を着用するだけで、心電図や心電波形などの情報を取得可能になる。2014年年度中にもNTTドコモがヒトエを採用したウエアとアプリを組み合わせたスマートフォン向けサービスを開始する予定だ。現在、ヘルスケア分野のウエラブルコンピューターはリストバンド型に見られるように、装着して利用するタイプの機器が主流。繊維の形状をしているヒトエは、帽子や靴下といった日常で身に着ける様々なアパレル商材に加工できるため、“自然な形”のウエアラブル市場を開拓していく可能性がある。

電解質ペーストなしで心電図や心電波形などの生体情報を読み取り可能にした新素材

 NTTと東レの共同開発は今回が初となる。NTTは心拍や心電図の測定時に用いてきた電解質ペーストを不要とする導電性複合素材を開発。東レが持つ最先端繊維素材であるナノファイバー生地に特殊技術でコーティングすることによって、高感度で生体信号を検出しつつ、一定の耐久性を実現したヒトエの開発に成功した。

 ヒトエに関する複数の特許をNTTと東レ両社で保有するが、「商品化に関する契約はエクスクルーシブ(排他的契約)ではない」(東レ)という。今後、医療分野やフィットネス分野など、業種ごとに提携する企業を選定して普及を促進していきたい考え。2014年度中のサービス開始を予定するNTTドコモ執行役員ライフサポートビジネス推進部長の中山俊樹氏は「個人への直接販売、事業者経由でのサービス提供の両側面でビジネスモデルを検討中」とし、既にフィットネス事業者との協業交渉に入っていることを明らかにした。

 具体的には脳の神経細胞が発する微細な信号を記録するための超小型電極に使われていた素材を、皮膚に使う一般的なサイズの生体電極に応用した。約2年半前、NTT物性科学基礎研究所で糸を手作りするところから始め、幾度となく失敗を繰り返しながらも、布に導電性ポリマーをコーティングして電極を作ることに成功。動物実験を経て、従来の医療用電極に近い安定した心電図を計測できる段階まで持ってきた。NTTはもともと研究所の要素技術を基に他社との共同研究を図る公募制度を用意しており、これに応募。複数社が手を挙げ、迷わず繊維業界で高い実績を誇る東レを選び、ヒトエの実現に至った。「正直に言えば、ウエアラブルという視点でここまで大きな反響を得たことにただただ驚いている」と塚田氏は語る。

 「最近では研究室ばかりに閉じこもっていたらダメだ、研究者は論文のことだけを考えていたらダメだとちくちく言われる(笑)」と語る塚田氏。「日本には素材分野や化学分野、通信分野など非常に高い技術が無数にあり、異業種とのコラボレーションでこうした技術を融合させ、新しい価値を生み出していくオープンイノベーションの時代になってきた」とも言う。まさに、ヒトエは繊維業界で原子レベルの研究・開発からコーティング、縫製に至るまで一連の技術を磨いてきた東レとNTTとの共同研究がもたらしたオープンイノベーションの成果と言える。

 NTTは現在、通信分野で培った技術を他分野へと応用しようと、他社への共同研究提案を積極的に進めているという。今後、オープンイノベーションによって研究所の様々な基礎研究技術の商用化が進めば、NTTグループ全体の競争力向上にもつながっていきそうだ。
——
清澤のコメント:心電図などの電気図を記録するには皮膚にペーストで電極を付けてと言うのが従来の常識でした。衣服を作る線維に通電性を持たせて、皮膚との接触抵抗を少なくしてやればウエアブルな電極が作れるというのは理解できます。今後の応用の発展に期待しましょう。

Categorised in: 未分類