お問い合わせ

03-5677-3930WEB

ブログ

2014年1月11日

5087 J-ADNIなるアルツハイマー研究プロジェクトで起きていた問題とは

今回の日本のアルツハイマー病研究で主要な地位を占める研究において改竄が行われていたのではないか?と言う報道です。20年以上前ですが、私もこのアルツハイマー病には関心を持っていた事もあって、この記事はとても気になります。

(Ophthalmology. 1989 Jul;96(7):1077-85; discussion 1085-6. Alzheimer’s disease with prominent visual symptoms. Clinical and metabolic evaluation. Kiyosawa M, Bosley TM, Chawluk J, Jamieson D, Schatz NJ, Savino PJ, Sergott RC, Reivich M, Alavi A. Department of Neurology, University of Pennsylvania)

表れた報道には隔靴掻痒の気味があり、その本質はなんなのだと考えさせる物がありました。そこで、少し検索をしてみました。その意見は一方的なものなのかもしれませんが、その答えらしきものは信頼できる独立系のニュースソースであると思われるハフィントンポストにありました。

この研究が崩壊すると多くの研究者が困るのでしょうけれども、私の様な素人が聞いてもこの大プロジェクトには研究デザイン段階からの大きな問題があったようです。

ーーー概要ーーー
東京大学で再び改竄問題が発生 J-ADNIなるアルツハイマー研究プロジェクトで起きていた問題とは  投稿日: 2014年01月10日 17時19分 海野吉臣

 一連のデータ改竄の背景解説。

 問題となったJ-ADNIとは、MCI(軽度認知障害)を持つ被験者を対象とした臨床研究のこと。このMCIの長期的な経過を見るためのデータを蓄積しようというプロジェクト。

 被験者の短期記憶の程度を知るために実施する「論理的記憶II」という心理テスト。この基礎的なテストでデータが改竄されていたことが発覚したか。

 「論理的記憶II」とは、被験者が解するであろう日常使う母国語の長文を読み聞かせ、読了30分後にどれだけの長文の内容を記憶していたのかを採点し判定するという、被験者の認知程度を知る極めて重要なデータ。

 「論理的記憶II」においては、30分という決められた時間が経過した後に長文が思い出せるのかどうかが重要。きっかり30分後に判定しなければならない。

 ところが、実際には10分後に思い出してもらうよう指示をしていた。これを30分後に聞き取りを行ったデータであると称することは、データ改竄以外の何者でもない。

 当初は病院側のミスすぎないと抗弁していたが、その後の調査で判定を書き換えさせるなどして、220件に及ぶ訂正を出させている。さらに、外傷性記憶障害(外傷性痴呆)や痴呆症状を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者までも被験者としていたことも明らかになった。

実際の心理テスト施行は地方大学などの協力先であり、改竄と思われる行為に異議の声が上がるのは当然。

 このJ-ADNIのデータがおかしいという告発が行われたのは、プロジェクト開始初期の2008年末に遡る。心療内科医たちが調査方法の問題を指摘、また事務局(バイオテクノロジー開発技術研究組合)に対し改善要望を送付。当初問題を告発していた医師たちは、すでに全員J-ADNIプロジェクトから外れているのが現状。他の医局でも問題プロジェクトと認識される。

 それから丸6年を経て、、朝田隆筑波大教授と杉下守弘元東大教授らは、これらの基礎的なデータの改竄がある以上、学術論文を提出することはできないとして、ようやくJ-ADNIは不発に終わった内部告発から指導的立場にある教授陣の実名による問題指摘を経て、破局へ向かって動き出す。

 その中心人物は、誰もが知っている東京大学の神経病理学の権威・岩坪威教授。本件はく研究を主導し中核にいた東京大学自体が研究内容に対する監査を行わなければならない事案朝田教授や杉下元教授からの指摘や、多くの医療機関からの要請があったにも関わらず、岩坪教授はいまなお「データの確認・修正を行っている段階で、改竄であるとの指摘は事実誤認だ」として譲らない。

 データ改竄に手を染めた研究者は、ばれてしまった瞬間、研究者として死刑宣告である。これだけの証拠を揃えられても岩坪教授に引導を渡せない東京大学のガバナンスの欠如も悲惨。事勿れの批判が東京大学に寄せられる。研究グループが、功を焦ってデータを改竄していたのでは二重の意味で裏切。認知症学会や老年精神医学会、認知症ケア学会も早めにコメントを出さねばならない。

 今回は国家プロジェクトによる失態であり、多くの心ある外部協力者の告発もあって、5年の時を経てようやくスキャンダルが表面化した。必要なことは、プロジェクトをいったん停止し、問題となった中心人物に対して厳粛な処分を早急に実施して問題を開示すること。

ーーー本文の引用ーーーーー
2014年01月11日 Edition: JP  海野吉臣

東京大学で再び改竄問題が発生 J-ADNIなるアルツハイマー研究プロジェクトで起きていた問題とは  投稿日: 2014年01月10日 17時19分

 東京大学で怖れていた事態が再び発生した。 研究データの改竄である。

読売新聞
アルツハイマー研究、データ改ざんの疑い指摘
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140110-00000457-yom-sci

 前回、ハフィントンポストのご厚意もあり、東京大学を始めとする国公立大学のガバナンスの問題について論じさせていただいた。立て続けにスキャンダルに見舞われている。
 
ではまず、今回は一連のデータ改竄の背景を簡単に解説しよう。

 問題となったJ-ADNIとは、MCI(軽度認知障害)を持つ被験者を対象とした臨床研究のことで、このMCIというものがゆくゆくは重度の認知症(高次脳機能障害)へと発展していくのか、するとしてどのような形質や習慣を持つのかを確認するために、長期的な経過を見るための元となるデータを蓄積しようというプロジェクトだ。

 報道されている内容は限定的だが、臨床研究をする者としてこの問題の深刻さを表している。それが被験者の短期記憶の程度を知るために実施する「論理的記憶II」という心理テストだ。この基礎的なテストでデータが改竄されていたことが発覚したのであるから、その上に積み上げるべき分析の信頼性が根本的に失われるということは、医療従事者でなくとも容易に理解できよう。

 この「論理的記憶II」とは、被験者が解するであろう日常使う母国語の長文を読み聞かせ、読了30分後にどれだけの長文の内容を記憶していたのかを採点し判定するという、被験者の認知程度を知る極めて重要なデータである。

 MCI(軽度認知障害)は、いわゆる軽い物忘れであり、これが認知症のような経年によって重い問題を引き起こす障害であるのか、単純に疲労やストレスなどによって一時的に起こしているものなのか、外部的には判断しづらい。しかし、一定の日数をかけて定点的に観測し続ければ、それが認知症に至るプロセスか、それとも健常な状態に戻るのか分かるはずだ。

 そして、この「論理的記憶II」においては、30分という決められた時間が経過した後に長文が思い出せるのかどうかが重要である。今回のJ-ADNIは日本で行われている臨床データを海外の標準と揃えて互換性を持たせることも目的のひとつであるので、きっかり30分後に読み聞いた長文を被験者に思い出してもらって判定しなければならない。

 ところが、実際にはこの心理テストに応募した被験者に対して、10分後に長文を思い出してもらうよう指示をしてデータを作成していたことが明らかになった。当然、10分後と30分後では記憶している量や精度に違いがあるのは明らかであるので、これを30分後に聞き取りを行ったデータであると称することは、データ改竄以外の何者でもないという話になるのだ。

 当初は病院側のミスもあり、内容を訂正させたにすぎないと抗弁していたが、その後の調査で短期記憶の状態そのものも「記憶に障害あり」と「記憶以外に障害あり」の判定を書き換えさせるなどして、現在で確認されているだけで220件に及ぶ改竄と推定される訂正を出させている。

 さらに、本来はアルツハイマー型認知症の推移を長期観察することが目的であったにも関わらず、アルツハイマーにはまるで無関係の外傷性記憶障害(外傷性痴呆)や痴呆症状を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者までも被験者としていたことが明らかになっていた。問題となるデータだけでも545件が確認され、データ量でいえば16%が改竄、捏造されたものであろうと推測されることから、これらの臨床データはもちろん使い物にならない。

 そして、これらの臨床研究については、当然のことながら東京大学が指揮を執っているにせよ、実際の心理テストを行っているのは他の地方大学や医療機関など38の協力先であって、東京大学以外の研究者、医師だけでなく、海外の研究者も関与している。上記の改竄と思われる行為は、これら東京大学外の学識経験者の見ている前で起きていたため、データの取り方や訂正に対して異議の声が上がるのは当然であろう。

 このJ-ADNIのデータがおかしいという告発が行われたのは、プロジェクト開始初期の2008年末に遡る。東京大学とは縁もゆかりもない心療内科医たちは、カンファレンスや報告会で調査方法に問題があることを指摘、また事務局となっているバイオテクノロジー開発技術研究組合という名の、製薬メーカー寄り合い組織に対して改善要望を送っている。この時点で改竄の事実を認識し、問題を改めていれば何の問題もなかったのかもしれない。そして、当初問題を告発していた医師たちは、すでに全員J-ADNIプロジェクトから外れているのが現状だ。その後も、断続的にデータの信憑性について疑問を呈する内部関係者から少しずつ漏れ伝わり、他の医局でさえも問題プロジェクトと認識されるようになる。

 それから丸6年を経て、このJ-ADNIは目ぼしい成果を出すことなく、論文の一本も発表できていない中で、朝田隆筑波大教授と杉下守弘元東大教授らは、これらの基礎的なデータの改竄がある以上、学術論文を提出することはできないとして、ようやくJ-ADNIは不発に終わった内部告発から指導的立場にある教授陣の実名による問題指摘を経て、破局へ向かって動き出す。

 その中心人物は、誰もが知っている東京大学の神経病理学の権威・岩坪威教授だ。すでに研究に携わる助教や他大学の医師らからは続々と不正に関する証拠が届き、厚生労働省もついに重い腰を上げざるを得なくなった。

 だが、本件は言うまでもなく研究を主導し中核にいた東京大学自体が研究内容に対する監査を行わなければならない事案である。もちろん、国や医薬品業界から9億円強の研究助成が出ている関係で、産学連携による情報保全の責務を負う部分はあったにせよ、一義的な管理責任は東京大学にある。

 しかも、朝田教授や杉下元教授からの指摘や、多くの医療機関からの要請があったにも関わらず、岩坪教授はいまなお「データの確認・修正を行っている段階で、改竄であるとの指摘は事実誤認だ」として譲らない。

 データ改竄に手を染めた研究者は、ばれてしまった瞬間、研究者として死刑宣告であることは間違いない。だから、何としても改竄を認めたくないという気持ちがあるのだろう。ただ、国民の税金を使い、製薬会社から資金を巻き取っておいて、この顛末というのは情けない。また、これだけの証拠を揃えられても岩坪教授に引導を渡せない東京大学のガバナンスの欠如も悲惨なものがある。事勿れの批判が東京大学に寄せられたとしても反論がむつかしいだろう。

 何より、痴呆に悩む本人だけでなく家族の苦しみから、一刻も早く責任もって開放するという責務を担う研究グループが、功を焦ってデータを改竄していたのでは二重の意味で裏切りをしたに等しい。

 ノバルティスにおけるディオバン事件では問題を看過して権威の失墜した高血圧学会のように、認知症学会や老年精神医学会、認知症ケア学会も早めにコメントを出さねばならない立場だろう。しかし、公式にはいまなお音沙汰ない。

 そして、今回は国家プロジェクトによる失態であり、多くの心ある外部協力者の告発もあって、5年の時を経てようやくスキャンダルが表面化したのだが、実のところ、信憑性に疑問が感じられるデータを元に共同研究を行っているグループもないではない。

 必要なことは、勇気ある告発に基づいてしっかりとしたリスクマネジメントを行い、プロジェクトをいったん停止し、問題となった中心人物に対して厳粛な処分を早急に実施して問題を開示することだ。

 研究プロジェクトの相互監視も含めた適切な監査体制を早急に作らない限り、二度三度と問題を引き起こす。日本に冠たる研究組織として、パワハラや改竄、横領のような事案に対しては、積極的かつ適切な対処を断行する組織へ改革を施し、生まれ変わらなければならないのではないだろうか。
ーーーーーーー

Categorised in: 未分類