お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2013年12月23日

5035 中国企業が新出生前診断 日本医学会指針違反の疑い:の記事を見ました。

高齢の母体から生まれる子供にはトリソミーの発生率が高いことが知られています。それを確定的に判定するには羊水中の細胞の遺伝子を調べればわかるのですが、母体の血液を分析することによってでも、その可能性を知ることが出来るということのようです。中国の企業が医師会のガイドラインに抵触する形でその受託を始めたのが問題になっているようです。(参考記事1、参考記事2)

 11月22日の記事では妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新出生前診断を実施しているある病院のグループでは診断の実施件数は4月の開始から6カ月で3514人に上っており、うち染色体異常の可能性がある「陽性」だったのは67人、そのうち羊水検査で異常が確定したのは56人。中絶人数については「異常確定の大部分」としている。産婦人科の現場では急速に拡大しているとしています。検査理由は出産時に35歳以上が目安となる高齢妊娠が94.2%と大半を占めたということです。陽性は受診者の1.9%に当たり、内訳はダウン症39人、心臓疾患などを伴う18番染色体の異常(18トリソミー)が23人、同様の症状を伴う13トリソミーが5人だったと言います。これは子供のクラスに一人くらいの高いオーダーで、この集団における陽性率は実際には少なくはないです。(参考記事3、参考記事4)

 しかし、この出生前検査においては、この検査結果が示す意味を的確に説明するカウンセリングを行わないと、検査を行う意味が損なわれるので、日本医学会(実際にはその下部機関である日本産婦人科学会)ではそれを行うことが出来る施設を限定していたもようです。

 それに対して、このような高度なサポート体制の整わない施設までを取り込んで、しかも廉価でこの検査をさせようと計画したのは今回の中国企業の神戸にある子会社で有ったと言う訳です。この神戸にある会社のホームページ(http://www.bgisequence.com/jp/organization/)を開いて見ますと、遺伝子研究者でない私にはそのすべては理解できませんけれど、かなりの分析能力がある会社のようです。

 しかもその会社の顧問にはDNAの二重らせん構造を発見した遺伝子研究の神様の様な人物までが加わっており、世界の有名雑誌ネイチャーやサイエンスに発表された論文が130余編と並みのベンチャー企業ではないことが読み取れます。

 つまり、中国はこの日本における出生前診断の領域を例え私費であっても新たな収益をあげられる領域と読み切って侵攻してきているのです。この親会社の規模は、市内の血液検査を請け負う検査屋さんの様な規模のものではありません。学会の指針は法的強制力のある物ではありませんから、学会も採血に協力した医療機関に制裁を加えることは考えてはいないと呑気なことを言っています(参考記事5)。中国政府は学会が警告したくらいでこの会社に引かせるとも思えません。これは容易ならざる相手がそれなりの覚悟をもって進出してきていると考えるべきなのではないでしょうか? とりあえず日本医師会が安易な出生前診断を戒めるというのは良いとしても、今後日本政府や日本の医学界がこの現実にどう対応してゆくのかによって、日本の医療の鼎の軽重が問われる事態であると思うのですがいかがでしょうか。
ーーーーーーー
参考記事1)
中国企業が新出生前診断 日本医学会指針違反の疑い 2013.12.23 16:36

 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新出生前診断を、中国の遺伝子解析会社が日本国内で始めたことが分かり、日本医学会は23日、十分な遺伝カウンセリングができる施設で行うとの指針に違反した状態で行われている疑いがあるとの懸念を表明した。

 この会社は世界で遺伝子解析を手掛けるBGIの関連会社。日本では神戸市に事務所があり、ホームページでダウン症など3種類の染色体異常が分かると宣伝する。

 新出生前診断は、日本産科婦人科学会の指針で十分な遺伝カウンセリングの実施や臨床遺伝専門医の資格を持つ産婦人科医または小児科医の常時勤務などを求めており、体制が整っている医療機関を日本医学会が認定して4月に始まった。

 だが、この会社は認定施設以外で行っている可能性があるとして、日本医学会は「指針を順守した事業をしてほしい」とする文書を発表した。
ーーーーーー
参考記事2)癌検査PRのはずが格安出生前検査…中国企業

 妊婦の採血で胎児の染色体の病気を調べる新型出生前検査を手がける中国の遺伝子解析会社「BGI」が、神戸市に関連会社を設立し、検査の受け付けを始めたことがわかった。

 同社は、京都市で15日まで開かれていた日本婦人科腫瘍学会の学術集会(会長=小西郁生・京都大教授)に出展して、宣伝活動を行った。

 新型検査は現在、カウンセリング体制の整備などを条件に日本医学会の認定施設で限定的に実施されている。結果次第では人工妊娠中絶につながりかねないため、十分な説明や相談が必要との配慮からだ。

 一方、同社は検査の宣伝資料を認定外の施設に送付。検査を個別に請け負うことを狙っており、今後は認定外施設でも広がる可能性がある。

 読売新聞の入手資料によると、関連会社は今年7月設立、ダウン症など3種類の染色体の病気の検査を実施。1件当たり10万円で受注している。

 現在、認定施設での検査の患者負担は約20万円。出展した同社担当者は取材に応じなかった。

 小西会長は「がんの遺伝子検査技術を主にPRしたいとの申し出があり、認めた。懸念があるのは確かだが、反社会的勢力などでない限り、出展は拒否しない」と話している。

(2013年12月16日 読売新聞)
ーーーーーー
参考記事3)新出生前診断、半年で3500人が受診 陽性67人、異常確定56人

2013.11.22 14:17 [病気・医療]

 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新出生前診断を実施している病院のグループは22日、診断の実施件数は4月の開始から6カ月で3514人に上ったと仙台市で開催中の日本人類遺伝学会で発表した。うち染色体異常の可能性がある「陽性」だったのは67人、羊水検査で異常が確定したのは56人。中絶人数について関係者は「異常確定の大部分」としている。

 開始から3カ月時点の受診は1534人で、産婦人科の現場で急速に拡大している実態が示された。出生前診断は命の選別につながる恐れがあるとの指摘があり、安易な実施がないか厳しい検証が求められる。

 グループによると、4~9月に全国の25施設が3514人に実施。平均年齢は38.3歳、妊娠週数は平均13.5週だった。検査理由は出産時に35歳以上が目安となる高齢妊娠が94.2%と大半を占めた。陽性は受診者の1.9%に当たり、内訳はダウン症39人、心臓疾患などを伴う18番染色体の異常(18トリソミー)が23人、同様の症状を伴う13トリソミーが5人だった。
ーーーーー
参考記事4)高齢出産の本当のリスクや出生前診断の真実に迫る「本当は怖い高齢出産」

2013/12/19

『本当は怖い高齢出産 妊婦の4人に1人が35歳以上の時代』週刊現代編集部編

講談社は、『本当は怖い高齢出産 妊婦の4人に1人が35歳以上の時代』(週刊現代編集部編)を、12月17日(首都圏基準)に全国の書店・オンラインブックストアで発売した。価格は971円。

東尾理子さんなど著名人も多数登場

同書によると、現在35歳以上で出産する高齢出産の割合は、妊婦の4人に1人に当たるという。妊娠・出産年齢が上がるごとに流産や先天異常のリスクも増加すると言われ、胎児の異常有無の判定を目的として、妊娠中に実施する「出生前診断」が注目されている。

同書は、「週刊現代」で連載された特集記事「高齢出産・不妊治療・出生前診断」を加筆再構成。「高齢出産は、本当のところはどうなのか?」「出生前診断って、具体的にどんなことをするのか?」など、高齢出産の本当のリスクや、出生前診断について詳細に紹介している。

内容は、「出遅れ不妊に注意」「卵子の老化」「母体に迫る危険」「先天異常のリスク」「本当は多い男性不妊」「卵子提供の真実」「新型出生前検査で分かること」「命の選別という問題」「妊娠前検査とは」など。

また、高齢出産・不妊治療を経験した著名人の体験談も多数掲載している。著名人は、東尾理子さん、ジャガー横田さん、野田聖子さん、ダイアモンドユカイさん(※)、太田光代さん、松野明美さんなどが登場する。また、産婦人科の最前線で活躍する医師が、女性に知ってほしい妊娠・出産の最新事情についても語っている。

同社は、「妊娠・出産を考えている20代後半以上の女性」「特に高齢出産ゾーンにさしかかる35歳前後の女性」「妊娠・出産を考えている20代後半以上の女性や35歳前後の女性をパートナーに持つ男性や、娘に持つ親」に特に手にとって欲しいという。

※ダイアモンドユカイさんの正式名称は、「ダイアモンド」「ユカイ」の間に六芒星が入る
ーーーーーー
参考記事5:中国企業の出生前診断「由々しき事態」 学会が緊急声明
2013年12月23日18時44分

 新型出生前診断を中国のBGI社が日本産科婦人科学会(日産婦)の指針を守らずに実施している問題で、日産婦と日本医学会は23日会見し、医療施設などに指針を守るよう呼びかける緊急声明を出した。検査は遺伝カウンセリング体制が整った認定施設で行うよう求めた。

 この日の会見で、学会幹部らは「由々しき事態」と指摘。指針を守らずに検査を行った医療施設へのペナルティーについては「医学会は監督や罰則を加える組織ではない」として消極的な姿勢を示した。BGI社への聞き取り調査について「現時点では検討していない」という。遺伝子技術の社会への影響を検討する委員会の福嶋義光委員長(信州大教授)は「検査が不適切に広まれば、社会全体が先天性異常を排除する風潮につながる。ルールを守って欲しい」と話した。
ーーーーーー

Categorised in: 未分類