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2013年12月21日

5020両耳側性半盲とは、下垂体腫瘍にみられる視野です

両耳側性半盲

両耳側半盲(りょうじそくはんもう、bitemporal hemianopsia)とは視野障害の一種で、視野の外側すなわち耳のあるほうが見えなくなった状態を指します。
 これには、良性の脳腫瘍である下垂体腺腫などを示すという特異的な意味がありますので、今日はこの視野を説明してみます。

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図1 両耳側性半盲の視野:これはゴールドマン視野計で測定された完全な両耳側半盲の視野の図です。右側に示された右目の視野では右半分が見えなくなっており、左側に示された左目の視野では左半分(耳側)が見えなくなっているので、両耳側半盲です。視野の中心部から周辺部まで一様に耳側半盲を示しています。

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図2 一方こちらは同様の両耳側半盲を眼科臨床でもっともよく使われるハンフリー型の視野計で記録したものです。これも完全な半盲を示した例です。この例では左目の鼻側にもすでに視野の沈下が始まっています。imagesCAP3AXVY

図3 視神経の走行と視野
各眼の網膜の視細胞で電気信号に変換された視覚情報は、網膜上のいくつかの神経細胞で中継されて、網膜神経節細胞のアクソンで構成される視神経へと伝えられてゆきます。この視神経は眼球後方約5センチメートルほどのところに有る視神経交叉で、視神経の鼻側(左右の内側と言う意味で内側(ないそく)と言うことも可能)半分の線維が左右で交差して、外側膝状体へと導かれます。この交叉している部分が視神経交叉です。
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視神経から脳に繋がる視路の各部分における病変で視野がどのように障害されるかを示すのがこの図3ですが、この図の上から2段目に視神経交叉で交差する線維だけが障害された時に特異的にみられる両耳側半盲が示されています。

両耳側半盲の原因
と言う訳で、この両耳側半盲は視神経交叉を分断するような腫瘍で見られるのですが、そのような視野を起こしうる腫瘍には、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、鞍結節髄膜腫などが含まれています。と言う訳で、この視野が見られた場合には脳の画像診断、つまりMRIまたはCTが必要です。そして、腫瘍の存在が画像上に確認されたならば、私はその患者さんを脳外科にお渡しします。

両耳側半盲の原因となる腫瘍の治療
ここから先は、脳外科医の判断するところなのですが、その腫瘍はゆっくりと大きくなるでしょうから、通常は腫瘍を摘出する手術の手段が選ばれます。鼻から鍵穴を覗くように腫瘍を取る方法や、頭蓋骨を開いて直接腫瘍を上から取る方法などが考えられますが、その選択は脳外科医の説明をお聴きください。
下垂体にはいろいろなホルモンを分泌する機能があって、その活動も外からのホルモンによって制御されています。そこで、この下垂体の活動を抑える薬剤を投与すると、大きな下垂体を小さく縮められる場合があって、ブロモクリプチンと言う薬剤を投与するという非手術的な処置が選ばれる場合もあります。
また、手術が困難な場合などにおいては放射線を当てる治療法が選ばれる場合もあります。
繰り返しますが、どのような治療法を選ぶかは、脳外科医と患者さんとの相談で決めていただく事ですので、眼科医はあまり余計な口は挟みません。しかし、患者さんからコメントを求められれば、それなりの情報はお出しできると思います。

両耳側半盲の予後
視神経は比較的圧迫には強い組織ですので、下垂体腺腫が手術で摘出できますとかけていた視野に回復が見られる場合が少なくありません。その病気の期間が長くて、視神経線維の一部がすでに死滅してしまっていれば、なにがしかの視野欠損や、さらに進行していれば視力低下を残してしまうこともあります。
 眼科では、最初は毎月、数か月が過ぎましたら間を長めにとって視野検査を続けて患者さんに対する助言を差し上げますので、その先は気長に脳外科医だけではなく眼科医にも状態をお見せ下さい。

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