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2013年11月20日

4919 老人の視覚の特徴は?とのご質問でした。

「老人の視覚の特徴は?」、そして「老人に解る絵は一般的にどう描いたら良いのか?」とのご質問を戴きました。

お答え:
1、まず第一には「142 老人の色覚」(⇒記事にリンク)で説明した内容で、

老人では視力、調節力、視野内の光に対する感度も低下する。さらに、主として青錐体系の反応が加齢に伴って低下することによって色覚が変化する

◎これらの加齢変化の要因としては、
1) 老人性縮瞳や水晶体の透過率の減少による網膜照度の低下などの眼球の光学的要因
2) 網膜から視覚中枢にいたる視覚伝達路の機能低下の2つの要素が関与する。

○眼は光の波長で色を知覚するが、ヒトの色覚は、照らした光の波長によらず(つまり青い光で照らしても、赤い光で照らしても、はたまた白い光で照らしても)、赤いりんごは其の周囲の物の色との対比から赤く(補正して)感じる。これをヒトの脳の高次機能による“色の恒常性”と呼ぶ。

光学シミュレーションで老人の視覚を再現しようとする場合、加齢に伴って起きる水晶体の黄変を勘案し、視界を単純に黄色化したものがしばしば用いられるが、しかし、実際には『加齢に伴う色恒常性』(の為の脳内処理)が働いているため、高齢者の視界はそれほどには黄色味を帯びてはいない様です。

2、そして、これよりも一般的な老人の資格の特徴は、「4790 富士通らくらくホンに見る高齢者に使いやすいUIのあり方」:という記事の内容で、老人の視覚は次の諸要素を持つとされます。即ち

○ 視覚機能の低下では
1)老眼による近見視力の低下、
2) 暗順応の低下、
3)視野の狭まり 、
4)短い波長の色(青、緑)の感度低下。
この辺りに注して絵を用意されれば、高齢者にも見やすい絵とすることは出来ることでしょう。

この質問をくださった画家先生は、視野の狭まりなどで高齢の観覧者に絵のメッセージが伝わらぬのではないか?と言うことを危惧しておいででした。近視があるにしろ無いにしろ、日本の美術観覧者は絵を近くで見すぎる(ほかの人が前に立つから後ろでは他人の後頭部しか見えないはず)と言うのは事実かも知れません。

3、そこで話を終わってから思い出したのが、先日購入して読んだ本の話、(2013年04月23日)
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清澤眼科医院通信の4301で「世界で一番美しい名画の解剖図鑑 [編著]カレン・ホサック・ジャネスほか」と言う記事(⇒リンク)もあります。

「観ずる」という言葉がありますが、これは「見る」「視る」「監る」という西洋的で論理的な概念とは違って、ファジーで東洋的な見方であるように感じられます。

「観ずる」の例文 かん・ずる〔クワンずる〕【観ずる】[動サ変][文]くゎん・ず[サ変]であって、1 心に思い浮かべて静かに観察する。「改めて世界の情勢を―・ずるに」、2 思いめぐらして物の真理・本質を悟る。観念する。「人生を無常と―・ずる」というのです。この本は逆に、絵画を細かく解剖してみようという誠に西欧的な考えの本です。

 確かに、絵に余り近づいて、厳密に見てしまうとその絵の世界を観ずる(感ずる)事が、しにくくなるかと思われます。それは老人だから若者だからと言う様なことではなくて、絵の全体の物語ををまず「感じてくださいな」、と言う画家の観客に対する正当な要望なのかもしれません。そのためには、本日、質問者の画家の先生とお話したのですけれど、全体を観じ易い様な何らかの工夫が展覧会場にも入り込む余地があっても良いのかもしれません。まあそれは、門外漢の身の程を知らぬたわごとなのでしょうけれど。

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