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2013年11月9日

4879 視神経症とは その診断と治療

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4879 視神経症とは 診断と治療

視神経症 

視神経症は視神経に病変が起き、視力や視野が侵される疾患ですが、特発性視神経炎と虚血性視神経症や遺伝性視神経症との鑑別等もしばしば問題となります。病気を病名から探して行くと正しい診断にたどり着けない可能性がありますから、その与えられた診断名に余りとらわれずに症状の面からこの説明を通読していただくと良いかと思います。尚、虚血性視神経症の項目も、このブログ内(⇒リンク)に最近更改してありいますのでご覧ください。

週刊医学界新聞 第3049号 2013年10月28日でも東京医大後藤教授が「それまで特発性視神経炎と考えられていた疾患のうち,抗アクアポリン4抗体が陽性で,かつ視神経脊髄炎の診断基準を満たさない症例が,一定の割合で存在することが明らかになりました。また,抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎の患者さんは,重症で予後不良なことが多く,再発も多いことがわかってきました。近年これらの患者さんに対しては血漿交換療法等の新しい治療が試みられていますが,確実に有効な治療法はいまだ確立されていないのが現状のようです。」とコメントしています。

(この項目には私の過去の記事、日本眼科学会の記事等も参考にしています。)

■ 視神経は、網膜で集められた外界から光の情報を脳に伝える神経線維の集まりです。視神経線維の神経細胞は網膜にあり、そこからの情報を伝達してはじめて、脳で意味のある「ものを見る」ことができます。この神経に障害を起こす病気を視神経症と呼びます。原因がはっきりしていることもありますが、不明な場合も多くあります。

■視神経症の症状と診断
 片眼、時には両眼の急激な視力の低下や視野の中央が見えないといった中心暗点(図2)や上または下半分が見えなくなる水平半盲(図3)が主な症状です。眼球運動痛(眼球を動かすときの目の痛み)、或は目の圧迫感などを伴うこともあります。視神経症の原因を探るためには、視力検査・眼底検査・視野検査のほかに、核磁気共鳴画像(MRI)検査・血液検査・髄液検査などが必要に応じて行われます。

■視神経症の分類と治療

(1)特発性視神経炎
 特発性とは原因不明の意味です。20代から50代の、女性の方がやや多い疾患で、比較的急激に、片眼または両眼の視力低下が生じます。視力低下が生じる数日前ごろから、あるいはほぼ同時に眼球運動をさせると痛みを感じたり、眼球の後ろに種々の程度の痛みを感じる場合が約半数あります。見ようとするところが見えない中心暗点型の症状が多いですが、全体に霧がかかるとか、視野の一部からだんだん見えにくくなることもあります。

 視神経乳頭(視神経の眼球側の端)が赤く腫れる場合(視神経乳頭炎とも呼ぶ)と、視神経乳頭には当初所見がなく正常にみえる場合(球後視神経炎ともいう)があります。視神経炎は多発性硬化症という、視神経以外の脊髄や大脳の白質にも病変が及び、軽快と悪化を繰り返す病気の一部になることもあります。

 一方、最近では、多発性硬化症や視神経炎の一部に自分を傷つける自己抗体を作り、これまでの多発性硬化症などの概念とは別の炎症を起こす型(抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎)のものがあることも分かってきました。治療は疾患の程度や病態分類などで異なりますが、通常、副腎皮質ステロイドやビタミン薬の点滴が用いられます。

(2)抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎
 細胞の表面にある水チャネルのサブタイプの一つであるアクアポリン4に対する抗体が作られ、脳や脊髄、視神経の毛細血管に障害を起こします。多発性硬化症の一種で日本人に多いとされていた視神経脊髄炎の一部にこの抗体が同定されました。視神経炎の約10%にこの抗体が証明されます。ほとんどが女性で、両眼を侵し、重篤な視力低下を生じます。治療はメチルプレドニンの大量療法が用いられますが、反このほかに血漿交換療法、免疫抑制薬や大量ガンマグロブリン治療が施行されます。副腎ステロイドなどによる維持治療が必要です。

(3)虚血性視神経症 (非動脈炎型と動脈炎型とがある)
 ①非動脈炎型:特発性視神経炎と並ぶ視神経症の二大原因です。視神経の血管に循環障害が起こる病気です。脳梗塞や心筋梗塞と同様に、高齢者の片眼に、突然の視力低下や視野欠損が起こるのが特徴です。一気に視力が下がる場合と、数日で悪化する場合とがあります。視野は中心暗点や、水平半盲がよくみられます。高血圧、糖尿病、高脂血症、心疾患、血液疾患などの危険因子が存在します。若年者で生じたものには、視神経乳頭が生まれつき小さいなどの眼局所の危険因子が存在することもあります。

 ②赤沈の亢進を伴う側頭動脈炎などの膠原病がその原因となります。それを疑えば側頭動脈の生検が行われます。

(4)圧迫性視神経症
 視神経がその経路の途中で、腫瘍などに圧迫されると、視神経が障害されて視力や視野の障害が起こります。多くは脳外科的治療が必要です。

(5)外傷性視神経症
 交通事故などで前額部(特に眉毛の外側)を強打した場合に、片側の視神経障害で、視力や視野の障害が起こることがあります。受傷早期には副腎ステロイドの大量投与が試みられます。視神経管開放手術については議論があります。

(6)中毒性視神経症
 抗結核薬エタンブトールなどの薬物での中毒性視神経症が報告されています。医薬品以外では、各種シンナー(トルエン、メチルアルコールなど)、農薬などにも視神経障害が出現することがあります。

(7)遺伝性視神経症
 レーベル病と優性遺伝性視神経萎縮が比較的よくみられるものです。
前者は10代から40代までに発症し、両眼の中心部分の暗点と視力低下で発症します。男性に多く、母系遺伝です。ミトコンドリアDNAの変異の有無で診断できます。両眼とも0.1以下になる例が多いですが、周辺の視野は正常。
優性遺伝性視神経萎縮は小学生ごろから多少両眼の視力の低下がみられ、通常は著しい低下になりません。

(8)その他
 その他の原因としては「鼻性視神経症」や「栄養欠乏性視神経症」もあります。
視神経症の10~20%は原因不明で、眼底異常の乏しい網膜疾患もあります。
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