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2013年10月28日

4846 視力障害、視野障害(物が見えにくい)Visual disturbance, and visual field loss

神経・精神疾患診療マニュアル

IV 神経・精神症候からのアプローチ~主要神経・精神症候と鑑別診断~

(日本医師会雑誌第142巻特別号(2)が送られてきました。そのs103-4に私たちの担当分が出ています。長さ調整で割愛された部分を復元してここに転載いたします。)

視力障害、視野障害(物が見えにくい)
Visual disturbance, and visual field loss

江本博文 清澤源弘
Hirofumi Emoto Motohiro Kiyosawa

視力・視野は眼科領域のバイタルサインである。視覚路の障害で、様々なパターンの視力低下・視野障害が生じる。

病態生理
視覚伝導路は眼球に始まり、視神経、視交叉、視索、外側膝状態、視放線、後頭葉一次視覚野、視覚連合野に至るまで、非常に広範囲の組織が関連している。また、感覚の中でも鋭敏な視覚は精神疾患とも関連が深い。

考えられる疾患
図1にあげられるような疾患がある。
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図1視力低下・視野障害を呈する疾患

眼科的疾患
角膜疾患    帯状角膜変性など
前房の異常   前部ぶどう膜炎など
水晶体疾患   白内障など
硝子体の異常  星状硝子体症など
網膜疾患    網膜色素変性症など
視神経疾患   視神経炎など
眼窩内疾患   特発性眼窩炎症など

脳疾患
視交叉部病変  下垂体腫瘍など
視索病変    頭蓋咽頭腫など
外側膝状体病変 脳梗塞など
視放線病変   脳腫瘍など
後頭葉病変   脳塞栓など

精神疾患
心因性視覚障害など
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診断の進め方

1.視力検査
視力にも種類がある。裸眼視力(レンズで近視や遠視を矯正していない視力)、矯正視力(レンズで近視や遠視を矯正した視力)、近見視力(30cm程度の近くを見る視力)、遠見視力(5m離れて測定した視力)、立体視力(両眼で立体的にものを見る視力)、動体視力(動いているものを見る視力)などである。一般的には、遠見で矯正視力が低下した状態を視力低下としている。

2.視野検査
a) 対座法
患者と検者の距離を約1mとし、患者の1眼を遮閉し検者の鼻を注視するよう指示する。上耳側、下耳側、下鼻側、上鼻側の4象限で提示した指の数を数えさせる。以下に述べる他の視野検査より手早く、視野異常があるかスクリーニングするのによい。

b) 静的視野検査
コンピューターを用いた視野検査。中心視野異常の検索によい(図1)。動かない視標を用いて行う。緑内障、視神経症などの診断に用いられることが多い。
図1

c) 動的視野検査
検査員が視標を動かしながら、患者が見えているか確認しながら作図する。周辺視野を含む全視野を調べることができる(図2)。
図2

検査所見
矯正視力が1.0未満であれば、視力低下と考える。視野障害は、視覚伝導路のどこで障害されるかによってパターンが異なるため、病変部位検索のヒントとなる(図3)。表1にあるように、病変部位、病因により専門診療科が異なるが、まず眼科的な精査が必要である。

図3
専門医へ紹介するタイミング
視力低下を呈する疾患は、ドライアイや白内障など、軽微なものから網膜剝離など速やかに診断治療を要する疾患がある。また、視野欠損を呈する疾患も脳梗塞や脳腫瘍などの場合もあり、眼科、神経内科、脳外科などでの精査が必要となる。視力低下、視野欠損を自覚している時点で、眼科での評価が必要である。

(図3追加済)

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