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2013年9月29日

4769 近視予防の現況 不二門尚先生 を聴きました

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近視には遺伝因子と環境因子の両方が関与する。強度近視は失明原因の10%(第5位)である。近視進行には眼軸延長の成分と閉経期以後の女性にみられる後部ぶどう腫の存在がある。遺伝因子に関しては単一ではなく、多くのスニップ(遺伝子変化)が関与している。

環境因子に関しては、実験近視での研究が進んでいて、ヒヨコからサルに至るまで、中心窩および周辺部網膜における遠視側のデフォーカス(網膜より後ろに結像)により眼軸の延長が促進されることが示されている。

これを応用した光学的な近視進行防止の方法として、眼鏡、コンタクトレンズおよびオルソケラトロジーによる周辺部網膜の遠視性デフォーカスの防止が臨床的に進められている。

通常の眼鏡、コンタクトレンズはレンズの周辺ほどマイナスのパワーが強いが、近視防止の眼鏡、コンタクトレンズは周辺ほどプラスのパワーが強くなっているため、近視眼においては周辺部網膜での遠視性ボケが少なくなる。そのボケを感ずる細胞はグルカゴン含有アマクリン細胞かとされている。8歳以降の近視進行の初期ではまず脈絡膜が菲薄化する。

点眼による近視抑制ではアトロピンやピレンゼピン点眼薬が注目されている。シンガポールのChinらは0.01%のアトロピン点眼で0.3D/年の近視抑制効果があり、副作用も点眼中止後のリバウンドも少ないと報告している。

オルソケラトロジーでも角膜中央部がフラットになるため、同じ原理が働き、近視の抑制効果は39%程度である。軸外網膜補正眼鏡の近視抑制効果は0.12D/年、近視進行の抑制は20%程度である。

Sankaridurgらの加入度+2Dの累進コンタクトレンズによる臨床研究では、一年間で34%の近視抑制効果が得られたと報告されている。演者(不二門)らの臨床研究では、加入度+0.5Dの累進ソフトコンタクトレンズで、一年間で32%の近視抑制効果が得られた。

今後はこれらの治療法と、」生活習慣として近視進行抑制の有効性が示されている屋外活動時間の増加を組み合わせて、近視予防を考える必要がある。
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清澤の印象記:

 非常に良く準備された講演で、殊に抄録の内容とお話の内容に乖離が無かったので、私には聞きやすい演題でした。近視進行を抑えるという治療に希望が持てるものでした。

 近視が進行することは、眼鏡やコンタクトレンズの装用が必要であることが煩わしいからではなくて、近視がー8Dよりも強い範囲に進行すると、近視性黄斑症や視神経症(緑内障)が発生して、眼鏡を用いても視力が出せない強度近視の眼になってしまうことであるとされています。

 夜間にレンズを載せて短期間の近視減少を図るオルソケラトロジーも、累進眼鏡レンズを用いる方法も、共にこの病的近視の発生を少しでも抑制しようというもの様です。

 と言う訳で、私も周囲の眼科医学界のコンセンサスが固まればすぐにでもこのオルソケラトロジーレンズ(夜間に装用して翌日の近視を減らすという特殊なコンタクトレンズ)と累進焦点の眼鏡を実際の臨床診療へ導入しようと、近々での導入を目指してその準備を進めています。

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