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2013年7月27日

4598 両側の後頭葉を犯す脳梗塞と言う言葉。Stroke Affecting the Occipital Lobes on Both Sides

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側頭葉や前頭葉ではなく、後頭葉にだけ。「両側の後頭葉を犯す脳梗塞」と言う言葉があります。それは、後頭葉にだけは両側に脳梗塞が起きる可能性があるからです。以前、どこかの神経眼科の図譜的な教科書に図示されていたのを見ました。(⇒PETを使った私たちの研究)Circle_of_Willis_en_svg
みなさんご存知のように後大脳動脈はともに脳底動脈から分岐します。そしてその脳底動脈は左右の椎骨動脈が脳幹の前で合流してできています。ですからこの脳底動脈の上端辺りが狭窄して血栓を作り始めるとそこから飛散する血栓は左右の後大脳動脈に流れてゆき、やがて両側に後頭葉の脳梗塞を作ると言う訳です。

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このほか、腹部や胸部の大動脈破裂、様々な原因でのショック状態などで遷延する数時間に及ぶ全身血圧の低下があったときにも、後頭葉は両側的に委縮を残すことがあります。MRIをざっと見ただけでは見落としそうな委縮で、脳画像の世界ではこれを層状萎縮lamellar necrosisと呼ぶようです。一酸化炭素中毒の後などでもその報告があります。(⇒症例報告)

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次に、後頭葉は視覚に関する働きを担っているので、その片側が脳梗塞に合えば半盲を生じます。その分布によっては広範な半盲になったり某中心視野に偏った暗点であったりもします。それが上記の理由で両側に起きたならば、その視野は両側の半盲になるのですけれども、後頭葉固有な働き方の特徴として、やや奇妙な訴え方をすることがあります。

両方の後頭葉に影響する脳梗塞は「皮質盲」を起こします。脳の後頭葉が脳梗塞によって完全に影響を受ける場合、その最終結果は「皮質盲」と呼ばれる現象です。これは、本質的には私たちが「失明」と呼ぶ現象と同じものです。しかし、医師はその患者の失明した特定の理由が大脳皮質への損害であると伝えるために、この用語「皮質盲」を使用します。皮質盲の人々は、さらに時々視覚的なanosagnosiaと呼ばれる状態に苦しみます。この別名はアントン症候群(皮質盲があるのに患者はそれを否認する症状を示す症候群)です。

このほか後頭葉周辺では視覚に関連した多くの高次視機能障害がありますのでそれに関しては別項目をご覧ください。⇒105 視覚認知とその異常
視覚認知の異常としては
1.半側空間無視すなわち空間認知障害、
2. 物体失認および相貌失認、
3.純粋失読および失読失書、
4.視覚性運動盲、
5.半側色覚異常
などがあります。

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