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2013年6月14日

4467 アレルギーの早期療法とインバースアゴニストのお話

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昨日の海老原伸行教授のアレルギー性結膜炎のお話の中には、アレルギーの早期療法と言う物の解説があって、その場合には花粉飛散が予想される2週間前から抗アレルギー薬を投与するのだということでした。その部分の聴講記です。

その効果にはアレルギーの発生を遅らせたり、重症化を防ぐなどがありますが、この初期療法を行うと「かゆみ」は半減するそうです。

たとえば、オロパタジン(アレロック)には直接の抗ヒスタミン効果だけではなくて、組織のヒスタミン受容体発現を低下させる効果があるのだそうです。

それを示すSenda Mの論文にはPETを使って脳でのヒスタミン受容体発現が抑制されていた事が示されています。

(J Nucl Med. 2009 Jun;50(6):887-92. doi: 10.2967/jnumed.108.058537. Epub 2009 May 14. Cerebral histamine H1 receptor binding potential measured with PET under a test dose of olopatadine, an antihistamine, is reduced after repeated administration of olopatadine.Senda M, Kubo N, Adachi K, Ikari Y, Matsumoto K, Shimizu K, Tominaga H.)

この話の続きではオロパタジン(アレロック)がヒスタミンのインバースアゴニストであるということのようです。

下の記事を読んで見ると、インバースアゴニストは内因性の活性がある受容体において、その内因性の活性までも抑制してしまうような薬剤なのだそうです。

アゴニストの反対がアンタゴニストだと信じていた私には全く新しい概念でした。そして紹介された論文では以前東京都老人医学研究所PET室長として私も研究を指導していただいた千田道雄先生のお名前がお話に出てきたのを見て無性にうれしくなってしまいました。しかも雑誌はJNM(核医学の最高峰)で2009年とつい最近のお仕事です。、

オロパタジンがヒスタミン受容体の発現を実際に抑えているのか、それとも強い結合力を持つアンタゴニストとして受容体をブロックし続けることによって見かけのヒスタミン受容体の密度を低下させているのだろうかなどと考えてみました。(この質問が見当違いならご勘弁ください。)

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インバースアゴニスト:逆作動薬とは(役に立つ薬の情報:のページから)

インバースアゴニストとは
インバースアゴニストは英語で「inverse agonist」と書く。そして、「inverse」とは「逆の」という意味がある。つまり、アゴニストは受容体の刺激薬であるが、それと逆の作用をするのがインバースアゴニストである。つまり、受容体を抑制するように刺激するのである。

インバースアゴニストはアンタゴニストとは異なっている。アンタゴニストは受容体に結合するだけで何も作用しない薬物のことである。

インバースアゴニスト

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アンタゴニストに対し、インバースアゴニストは受容体を抑制するように刺激する。つまり、ある意味インバースアゴニストはアンタゴニストよりも強力に受容体を阻害するのである。アンタゴニストの中にインバースアゴニストがあると考えれば分かりやすい。

   アンタゴニストとインバースアゴニスト

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 内因性の活性がある受容体
受容体はアゴニスト存在下で活性化する。これは当然のことであるが、アゴニストが存在しなくてもわずかに活性化している受容体も存在する。つまり、これらの受容体には内因性の活性があるのである。

通常のアンタゴニストではこれら内因性の活性まで抑えることが出来ない。なぜなら、アンタゴニストはただ受容体に結合するだけで何も作用しないからである。

これら内因性の活性まで抑えるのがインバースアゴニストである。インバースアゴニストが結合することでアゴニストが結合できなくなるだけでなく、もともと受容体がもっていた内因性の活性まで打ち消してしまうのである。

内因性の活性をもつ受容体には「GABA受容体」や「AT1(アンジオテンシン1)受容体」などがある。これらの受容体において、アンタゴニストでは抑えきれない作用をインバースアゴニストでは抑えてくれる。

 なぜインバースアゴニストとなるか
アゴニスト非存在下において、受容体は不活性のコンフォメーションをとっている。しかし、内因性の活性がある受容体においてはアゴニスト非存在下においても、わずかに活性化したコンフォメーションを取っていると考えられる。そして、「不活性のコンフォメーション」と「活性化したコンフォメーション」は平衡状態にあるとも考えられる。

アンタゴニストは、「不活性のコンフォメーション」と「活性化したコンフォメーション」の両方に等しく結合する。そのため、コンフォメーションの平衡状態に変化はない。

ところがインバースアゴニストは「不活性のコンフォメーション」を取っている受容体に選択的に結合する。これにより、「不活性のコンフォメーション」が安定化される。つまり、平衡は「不活性のコンフォメーション」の方へと流れていくのである。これにより、「活性化したコンフォメーション」を取る受容体数が減少する。つまり、内因性の活性が低下するのである。
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(私的な追記)
その昔、ヒスタミン受容体を追いかけていた頃の思い出の碑です。
Marked increase in [3H](R) alpha-methylhistamine binding in the superior colliculus of visually deprived rats after unilateral enucleation. Nakagawa Y, Yanai K, Ryu JH, Kiyosawa M, Tamai M, Watanabe T. Brain Res. 1994 Apr 18;643(1-2):74-80.

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