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2013年3月15日

4166 第10回「眼瞼・顔面けいれん友の会」例会 質問リスト

2cef9a0e-s(この画像は過去の会のものです)
Q1:
①ボトックスの治療のタイミングが知りたいです。(現在クラッチメガネ使用中です)。
②ボトックスの追加接種の間隔について教えて下さい。質問者2人

A1:もちろんすべての眼瞼痙攣の治療ははまずボトックッス注射から始めるべきであり、経口薬の投与やクラッチ眼鏡をそれに先立って始めるべきではないというのが私の治療方針です。これは眼瞼けいれん治療ガイドラインの言うところでもあります。患者さんはしばしば、ボトックスの前に薬剤治療を求めますが、これは作戦としては正しいものではなく、薬剤の使用は補助的なものにとどめるべきです。そうしないとリボとリールなどへの依存体質を作ってしまいます。再投与は、眼瞼痙攣なら3月ごと、片側顔面痙攣なら6カ月をめどにしています。医師は本人が注射を求めてきたら打つというスタンスでよいでしょう。痙攣が再発し始めれば、我慢しても再発後2週間で強い痙攣になります。しかし、効かなくても2か月以内は保険請求で査定されるので原則打てません。

Q2:
片側顔面けいれんです。
①長期的にみた症状の変化、進行状況を知りたい。
②手術はどの様なものですか。 質問者3人

A2:
血管に依る顔面神経の圧迫は動脈硬化の影響を受けるので、年齢と共に増悪する可能性はあるのですが、必ずしも時間とともに症状が増悪するわけではありません。片側顔面痙攣へのジャネッタ手術は耳の後ろに直径2センチくらいの骨窓を開けて、神経とそれに触る小脳に行く血管の間にテフロン綿を挟むものです。血管に依る圧迫が明らかに有る例ではそれなりの有効性が見られますが、その接触が画像診断で示されないケースでは、そもそもこの手術はできません。また成功しなかった例での2度目の手術や、動脈硬化の強い高齢者では、合併症としての聴覚障害などの危険性を伴い、そもそも効きにくいともいわれています。この話は先に田草川先生がこの会で話した通りです。

Q3:
①メイジュ症候群について教えて欲しい
②声がれ、言葉が出にくく不自由しています。対処法があれば教えて下さい。質問者2人

A3:メイジュ症候群は眼瞼痙攣のなかでも口の周りに筋に特有な「水を吸う様な形の不随意運動」を示すもので、メイジュさんが発表したものです。高齢の女性に多い印象です。声帯にも痙攣が有ると②のような症状も出ることが有ります。明らかにその症状ならば、ジストニアに専門的な知識のある神経内科医に私は相談する様にしています。彼らは内服薬などを強化するでしょう。

Q4:
ボトックスを何十年打ち続けて大丈夫なのでしょうか。視力が低下等の障害(副作用)が出るのでしょうか。また効果(効能)はどのようになるのでしょうか。質問者6人

A4:何年打ち続けても効果は基本的には変わらないと考えていますが、その中には治ってしまう方と効かなくなるという方の両方が存在します。その割合は半々で、どの人が重くなり、どの人が軽くなるのかは予測困難です。ボトックスや原疾患による視力低下は原則的にはありません。

Q5:
①眼瞼けいれんにアモバンとデパスは良くないのでしょうか?
②アーテンとはどのような薬ですか?
③漢方薬の抑肝散には間質性肺炎の副作用が出るのでしょうか?
④眼瞼けいれんに、点眼薬ジクアスは効きますか。質問者6人

A5:アモバンはベンゾジアゼピンレセプターに結合し、GABAレセプターに影響をおよぼすことでGABA系の抑制機構を増強するものと考えられているそうです。したがって、ギャバ系が弱る眼瞼痙攣の治療薬にもなりそうですが、長期的には薬剤性眼瞼けいれんを誘発する方向の傾向があるでしょう。リボトリールも同じ方向性がありますが、補助的には使いやすい薬剤で、私もしばしばボトックスと併用しています。
 デパスは眠り薬や安静効果を求めて使われるベンゾジアゼピン系薬剤ですが、眼瞼痙攣には長期的には良くありません。それが眼瞼痙攣の原因になりやすいことは若倉先生が見つけて報告した事実です。治療には用いません。
 アーテンは神経伝達部室アセチルコリンの阻害剤で、ギャバ・ベンゾジアゼピン系には無関係なのですが、眼瞼痙攣の治療には良く用いられます。
抑肝散加陳皮半夏の副作用はめったにないですが、偽アルドステロン症.だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症などが書かれています。

Q6:
薬剤性眼瞼けいれんを発症させる薬の種類と、その薬をそれぞれどのように変えたら良いか具体的に教えてほしい。 質問者2人

A6:デパスやその他のベンゾジアゼピン系の薬が潜在的に眼瞼痙攣を誘発します。しかし、その他の向精神薬も広範に眼瞼けいれんを誘発しますので、避けられるならすべてを避けるのが良いでしょう。これらの薬剤は減らせれば減らすのが良いのですが、精神症状のコントロールのためには減らせないことも多く、「精神科では必要」という場合もあるので、その場合に私はむしろボトックス投与量を増やします。なお、眼瞼けいれんを起こす向精神薬についてはこのブログの別記事をご覧ください。眼科ケアに最近私が投稿した記事です。3851 抗不安薬で眼瞼痙攣がおきるって本当ですか?(眼科ケア12月号記事です)(こちらでリンク)関連する多数の薬剤が有ります。

Q7:
コブクロ(歌手)の小淵さんが、声帯ジストニアに罹り半年程の休業で良くなったそうですが、どんな治療か知りたいです。 質問者1人
A7:私はその答えを知りませんし、ネットで調べても休養をしたという以上には答えは出ておりませんでした。

Q8:
①ボトックス注射の効果が無いのはどうしてでしょうか。
②薬の量を増やしても大丈夫でしょうか。
③ボトックス以外に他にどんな治療法がありますか(方法、費用、治療先)質問者8人

A8:効果は一人ひとり違うので、効かないというお答の方も2割程度はおいでです。限界はあるでしょうが100単位までならボトックス投与量を増やすことが有ります。眼瞼痙攣なら、ボトックスのほかにクラッチ眼鏡、内服の併用、眼輪筋切除(手術代金は知りませんがこれも可能です。保険診療ならさほど高価ではないはずです。) 眼瞼けいれん治療を成功させる10のコツという記事は参考になるでしょう。945 眼瞼痙攣治療を成功させる10のコツ(眼瞼痙攣友の会会報原稿)⇒リンク
ご覧ください。

Q9:
眼瞼けいれんの患者です。
①この病気は長生きは出来るのでしょうか。20年間は大丈夫でしょうか。
②更年期障害と関連があるのでしょうか。
③片目だけのこともありますか。
④完治した人はいますか。 質問者5人

A9:眼瞼けいれんは死に至る病ではありません。更年期との関連は不明ですが、好発年齢は50-60歳前後で更年期と重なっています。片目の痙攣が強いこともありますが、その場合にはまず片側顔面痙攣の可能性も考えましょう。完治ではなくても通院して来なくなった人や、その後3年ほど経ってからに再来して戻ってきたという様な人は多数おいでです。

Q10:
①風に当たると瞼が垂れ下がり歩き難いです。瞼切除の手術は何回もできますか。
②眼瞼けいれんのことを考えて、眼瞼下垂の手術は控えた方が良いですか。手術可能なら手術を実施している病院を教えて下さい。

A10:皮膚の切除は何回かすることが可能ですが、風に対してドライアイになるので眼瞼挙筋の短縮は勧めません。やりすぎにはご注意ください。患者さんごとに状況が違うので、特定の医師の名をここで上げるのは不適当でしょう。お教えしますから、受診時に私に個別にお聞きください。

Q11:
私は眼瞼、顔面けいれんの二つの病気です。最近目元は楽になったが、頬から口元にかけけいれんがひどいです。けいれんが徐々に下に下がってくるのでしょうか。質問者1人
A11:顔面痙攣に眼瞼痙攣が合併するというのは稀です。両側に出ているならば、普通は顔面けいれんが両側に偶然起きたというのではなくて、ジストニア系の両側の眼瞼痙攣の存在をを疑います。

Q12:
ボトックス注射の効果を定量的に判断する方法を教えて下さい。質問者1人
A12:若倉先生の軽瞬、速瞬、強瞬を0点から3点に評価して足す方法が解りやすいでしょう。これですと、再発してボトックスを打つ時には3-5点、注射後1か月では0ないし1点を示すことが多く、改善が点数で見られます。当医院では検査員の評価と本人の評価した点数をカルテに併記しています。ノートに自分の善し悪しの評価を付けて置くことを若倉先生がお勧めでした。

Q13:
①ボトックスをして5日位は眼の腫れ以外に頭痛、腹痛、下痢等があり辛い。ボツリヌス菌が全身に回ったのでしょうか。
②副作用で、めまい、味覚障害はありますか。 質問者3人

A13:注射後の眼の周りの腫れト皮下出血は或る程度は御許容下さい。ボツリヌス菌はボトックスには含まれてはいないので、頭痛や腹痛がボトックスによるとは考えにくいでしょう。心因性の反応などほかの理由ではないでしょうか?
添付文書の副作用を見ますと、眼瞼痙攣を対象とした使用成績調査6445症例中、652例(10.12%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されていました。(此の集計には私の医科歯科大学で診ていた患者さん方も入っています。)その主なものは、眼瞼下垂141例(2.19%)、兎眼・閉瞼不全138例(2.14%)、流涙67例(1.04%)でした(再審査終了時)。
片側顔面痙攣を対象とした使用成績調査10288症例中、725例(7.05%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されていました。その主なものは、兎眼・閉瞼不全195例(1.90%)、局所性筋力低下、顔面麻痺各158例(1.54%)、流涙80例(0.78%)でした(再審査終了時)。ということです。(GSKのページに詳しく出ています。)

Q14:
ボトックスの打つ部位が先生によって微妙に違いますが、効果の差はどの程度ありますか。質問者1人
A14:ほかの先生と打つ場所の相談はしてないので比較はしにくいです。しかし多数打っている人の答えはきっと正しいでしょう。標準的な注射部位は添付文書に図示されていますが、実際には術者によって微妙に違うのでしょう。鼻根筋や皺鼻筋などが違いのポイントかもしれません。

Q15:
今後辛い症状が悪化するとしたらどのような原因が考えられますか。また眼瞼けいれんの病気の解明、最新治療法はどのような方向で進んでいますか。質問者4人

A15:症状が悪化する原因は不明ですが、私はGABAを含む神経伝達系の乱れを考えたいです。重症度と神経伝達物質量やその受容体密度との関連や、今後はこの疾患の遺伝などの解明が考えられます。ボトックスを越える治療法はまだ聴きませんが、ボツリヌスB毒素などボトックス(ボツリヌスA毒素)とは別の製剤は今後も出て来るでしょう。若倉先生は答えにdeep brain stimulation脳深部刺激が今後使われる可能性を挙げました。

Q16:
①眼瞼けいれんに付随して起こる精神疾患に対応できる心療眼科等は設立の方向で進んでいるのでしょうか。
②眼科、神経内科、心療内科、針灸医、漢方との連携は。 質問者2人

A16:鬱の症状が出ることが有り、場合によってはSSRI(パキシル)なども使われますが、その効果は未だに明白ではありません。症状が首に向かって広がってくるとジストニア治療が得意な特定の神経内科医に応援を頼むことが有ります。

Q17:
①加齢でも瞼が開かなくなることはあるのですか。
②神経の高ぶった事やストレスの溜った時も瞼は開きにくくなりますか。ストレスが軽減すれば症状は軽くなりますか。
③何をすると症状が悪化しますか。 質問者3人

A17:加齢自体は眼が開かぬ理由ではないでしょう。ただし老人性眼瞼下垂という別の疾患はあります。ストレスが悪いことは間違いないでしょう。受診時には安心するのか、痙攣が消失する患者さんは居ます。ストレスは一般に症状を悪化させるでしょう。

Q18:
眼瞼けいれんは難病疾患に指定されていますか。指定されていても診断基準で、介護が必要な者等縛りがありますが、この縛りをどのように、お考えでしょうか。質問者4人

A18:国の難病には指定されてはいません。但し、脊髄小脳変性など既に指定されている疾患の診断がある場合などであれば、そちらからの支払が受けられる場合がまれにあります。今後その指定を眼瞼けいれん全体に広げるためにも、生活の質への注射の効果を見る調査へのご協力をお願いしたいです。厚生年金の指定を受けられたという稀な例が有ります。その申請には前例に通暁した申請書を作る技術も必要なようです。普通に医師が診断書を書いても、まずその申請が通ることは期待できません。
若倉先生からの障害者年金3級への取り組みの話はこの会で本日、話されましたね。

Q19:
①白内障手術で眼瞼けいれんは発症しますか。
②日常生活で出来る緩和方法はありますか。
③鍼、お灸は効果ありますか。
④クラッチメガネは常時使用しても害はないですか。 質問者3人

A19:白内障手術などに発生した例は多数あります。もとから有った物が顕在化したのか、視覚的な状況の変化が眼瞼痙攣を引き起こすのかも不明です。緩和法は解りませんが私は温罨法と石鹸で洗うことを薦めています。針灸は有効な可能性が有りますが、それを保険診療で行うための指示書に私は署名していません。クラッチ眼鏡は大変有効ですし、いつでもお使いください。

Q20:
①私と同じように、統合失調症と眼瞼けいれんを患っている人はいますか。どのような治療をして回復に至りましたか。統合失調症の薬を減らせば良くなりますか。
②不眠や精神症状は軽減する事が出来るのでしょうか。 質問者2人

A20:統合失調症と眼瞼けいれんを患っているのではなく、私はそれは薬剤性眼瞼痙攣であると考えます。投薬は減らせるなら減らしてもらってください、ですが本人の意思で勝手に向精神薬を止めるのは大変危険です。不眠や精神症状も眼瞼痙攣に関連した症状は、それ自体を扱うのは容易ではありません。
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清澤のコメント:明日の集会までにと思ってとりあえず答えを埋めました。当日の若倉先生と山上先生の答弁を考えて、会の後で更に修正を行いました。(3月17日追記)

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