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2012年12月1日

3849 認知症の原因疾患のひとつ「シェーグレン症候群」

眼科医にとってシェーグレン症候群はドライアイを起こす疾患、そして神経眼科を扱う眼科医には視神経炎を起こす原因になりうる重要な疾患の一つなのですが、これが認知症の原因としても今は注目されているようです。

ーー記事の引用ですーーー
認知症の原因疾患のひとつ「シェーグレン症候群」その関連は?

 認知症の原因疾患のひとつであるシェーグレン症候群(SS)は、外分泌腺が関与する自己免疫疾患で、目が乾く、口が乾燥するなどといった症状が認められる。高齢者の1.9~3.0%が発症すると言われており、20%の患者で認知症などの中枢神経系疾患を合併する。

星ヶ丘厚生年金病院 吉川 健治氏らは、メモリークリニックを受診している患者におけるSSの有病率と影響を明らかにしようと試みた。Journal of the neurological sciences誌オンライン版2012年11月15日号の報告。

 対象は2007~2010年にメモリークリニックを受診した認知機能障害を有する症例。認知症の検査に加え、抗SSA抗体および抗SSB抗体レベルを測定した。また、必要に応じてシルマーテストや口唇生検(両方またはどちらか)を追加した。SSの診断は米欧のコンセンサス基準に基づき実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・試験を完了した276例のうち、265例は認知機能の低下が確認されなかった(男性97例、女性168例、平均年齢:77.9歳、MMSEスコアの中央値:23)。

・抗SSA陽性は16例(6.3%)、抗SSB陽性は7例(2.7%)であった。

・20例は一次性シェーグレン症候群と診断された(平均年齢:77.2歳、MMSEスコアの中央値:21)。そのうち、以前MCIと診断された症例は7例(VCIND:5、aMCI:2)、認知症と診断された症例は13例であった。

・すべての症例においてSPECTで非対称の局所的な低灌流が認められ、18例はMRIで皮質下の病変が認められた。

・認知症治療中の症例12例(治療期間中央値:2.1年)は、MMSEスコアが有意に改善していた(MMSEスコアの中央値:26、p=0.0019)。また、SSでない症例のMMSEスコアは減少していた(126例、MMSEスコアの中央値:22)。

・シェーグレン症候群の有病率は、メモリークリニックを受診する認知機能低下症例の7.5%を占めており、皮質下白質病変と非対称の血流低下の特徴を有する。
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清澤のコメント:この記事の後半は論文の抄録としてはよいのですが、一般人が読む記事としては論点がよくわからりません。そこで、私なりにこの抄録をまとめてみますと、

「認知症が疑われた267例のうちで認知機能低下が確定できたのは11例だけであった。しかし、認知機能低下が疑われて受診した総数276齢のうちでSSAまたはSSBで診断できたシェーグレン症候群は20例あった。そのすべてにSPECTで(血管変化に原因があるのか、機能低下がその原因かは触れられてないですが)脳局所の低潅流域が見られ、その多くは皮質下のMRI変化を伴っていた。シェーグレン症候群の治療は認知症の治療としても有効なようです。よってシェーグレン症候群は認知機能低下症例の7.5%と多くを占め、その症例は脳局所血流低下を伴っていると言える。」ということでしょうか。

そもそも、この著者は臨床的に認知症にシェーグレンが多そうであると感じたのでこの研究をしたのでしょう。認知症外来を訪れたけれども、敢えてシェーグレン症候群の症状を訴えていない連続した症例にまでに対して、SSAとSSBの採血をしたというのは?ではありますが、(SSAまたはSSBで確定される)シェーグレン症候群がそれなりの比率で検出されたということには意味がありそうです。

シェーグレン、口腔唾液腺
眼科医の立場で申し上げるならば、シェーグレン症候群の診断にシルマーテストを加えてくださるのは大変結構ですが、シルマーテストは自覚的な涙液分泌の低下を支持するだけのものであり、値が低くてもドライアイを訴えない患者も多いですし、またシルマーテストの再現性も絶対的なほどのものではないことはコメントしておきたいです。その点、病理検査でリンパ球の浸潤があったとなればその診断は盤石なのでしょう。

当ブログの「ドライアイとシェーグレン症候群」の記事もご覧ください。

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