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2012年11月6日

3782 発達緑内障(先天緑内障)の治療 とは

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乳児の緑内障の治療に関する相談を受けました。

これは発達緑内障(Developmental glaucoma)または、先天性緑内障とも呼ばれるものですが、それは通常は隅角部分の形成が不良であって、その原因とされるいくつかの遺伝子も提唱されておりますが、ふつうは遺伝子までの追及はなされないと思います。発達緑内障を見つけるのは、患者が若くて赤ちゃんであったりするので言うほど容易ではありません。

しかし、眼圧が高く眼球が拡張するのでこの緑内障では、成人の緑内障とは違って角膜径が大きくなります。また時には光に対して異常に敏感(羞明)になります。広がった角膜が混濁することもあります。視力低下に伴い眼振を示すこともあります。また片眼の視力低下に関連して斜視(内斜視、外斜視、上下斜視)を示すこともあります。このような兆候から精密な検査をすると、乳児の緑内障は見つけられる場合があります。
虹彩の前方への移動(海外頁から)

そもそも、発達緑内障という診断をつけるのには、視診や抑制して外眼部や前眼部を見て角膜直径の拡大などを指摘するだけではなく、全身麻酔下で隅角や眼圧、眼底の詳細な診察を行う事が必要であろうかと考えられます。しかし、外来のクリニックでは乳児を抑制して眼底を見て視神経の陥凹を見る程度のことしかできませんから、さらに詳細な検査は上位の診療施設に依頼することになります。

さて、その診断がついたとして、現在、日本で最も準拠されるべき緑内障治療のガイドラインは日本眼科学会に答申された緑内障ガイドラインの第3版(日眼会誌2012年1月号)かと思われますので、それを採録してみます。

それによりますと、発達緑内障に対する治療の第一選択は手術であり、薬剤治療はそれに併せて行うとされています。(注:しかし、治療には様々な要因が絡みます。ですから、ケースバイケースの事もありますから、この順番ではないから間違いということもないでしょう。)

手術は(1)が隅角切開で、(2)が線維柱帯切開術です。隅角切開ではキノコ型のレンズを載せて隅角が直視できるようにし、向こう側の隅角部分を虹彩と平行に切開します。次の線維柱帯切開は輪部に強膜フラップを作り、その中でシュレム管を探して、その中に押し込んだトラベクロトームを前房に向かって回転させて線維柱帯を切って前房とシュレム管の連絡を作るものです。隅角切開を行うか、線維柱帯切開を行うかは術者の慣れた方法でよいとしています。(3)濾過手術とは成人の開放隅角緑内障にも行う線維柱帯切除術ですが、これは種々の理由で第一選択ではありません。以下にガイドラインの本文を引用しておきます。(原文は日本眼科学会HPに公開されています。)

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第5章 緑内障の病型別治療 から

Ⅲ 発達緑内障
.早発型発達緑内障
治療の第1選択は手術療法である.これは本症発症の原因が隅角の発育異常であり多くは手術的に解決可能であるという経験的事実,また乳幼児では薬物治療の実効ならびにその効果確認が困難であることによる.薬物治療は手術療法後の補助手段として行われる.

) 手術療法
(1) 隅角切開術
透明な角膜を有する例に対して適用される.1 回の隅角切開術で90〜120 度の切開が可能である.3 回までは手術の追加効果がみられることが多い.本術式と線維柱帯切開術との選択は術者の経験による.

(2) 線維柱帯切開術
隅角切開術に比べて角膜の透見が困難であっても施術できる利点を有するが,施術に際しての結膜弁,強膜弁を作製する必要があり,将来濾過手術を要した際にその施術を困難にする可能性がある.また,巨大角膜例ではSchlemm 管の同定が困難である場合もあり,施術に際しては豊富な手術経験を必要とする.

(3) 濾過手術
隅角切開術あるいは線維柱帯切開術の無効な例が適応となる.早発型発達緑内障患者の強膜は薄く,強膜弁の作製が困難であるばかりでなく,虹彩,毛様体の解剖学的異常が多いことを念頭に置く必要がある.また乳幼児では代謝拮抗薬を併用しても濾過胞形成が困難である例,あるいは濾過胞が形成されても,その後の長い人生で術後感染の危険にさらされることを考慮して適応を決定しなければならない.

(4) チューブシャント手術

(5) 毛様体破壊術

) 薬物治療
原発開放隅角緑内障に準じて,薬物を組み合わせて使用するが,乳幼児では点眼薬であっても体重,体表面積に比して投与量が多くなることを念頭に置き,可能な限り低濃度薬剤から使用すべきである.またどの薬物も乳幼児,小児における安全性および効果についてのデータは確立していないことを忘れてはならない.

.遅発型発達緑内障
原則的に原発開放隅角緑内障の治療に準ずるが,隅角形成異常や著しい高眼圧など早発型と重なる部分も大きいため,その点も考慮に入れて治療にあたることが必要である.

.他の先天異常を伴う発達緑内障:無虹彩症,Sturge-Weber 症候群,Axenfeld-Rieger 症
候群,Petersʼ anomaly,第一次硝子体過形成遺残,Marfan 症候群,神経線維腫症,風疹症候群,先天小角膜,先天ぶどう膜外反,Weill-Marchesani症候群,ホモシスチン尿症,Pierre Robin 症候群,Lowe 症候群,Rubinstein-Taybi 症候群,Hallermann-Streiff 症候群など 
以上の疾患が緑内障を併発することが知れられているが,発症確率は十分に検討されていない.また,発症時期も生下時から成人まで多岐にわたり,さらに眼圧上昇機序も異なるため,治療法も一定ではない.原則として乳幼児期の発症例に対しては早発型発達緑内障に準じて手術療法が第1 選択であり,小児期以降の発症では薬物治療を第1選択とする.

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