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2012年10月2日

3682 大脳皮質病変は視神経脊髄炎と多発硬化症を区別するための役に立っているか? と言う論文です

皮質病変は視神経脊髄炎から多発硬化症を区別するための役立っているか?
Do cortical lesions help us to distinguish MS from NMO?
Neurology (神経内科) 2012年9月19日。

英国、ロンドン、クイーンスクエア、UCL神経学研究所、脳修復とリハビリテーション科、Ciccarelli O

要約
視神経脊髄炎(NMO)は、しばしば多発硬化症(MS)と誤診された患者における別の正しい診断名になります。それはこれらの疾患を持つ患者が共有する類似性、つまりこれらの疾患が女性に多いこと、寛解と再発を示す事、視神経炎や横断性脊椎炎を示す事、そしてその発症が40歳以下である事などを反映しているのかもしれない。

視神経脊髄炎のための2006年改訂診断基準では、視神経炎、脊髄炎、そして診断を指示する3条件の内2つを持つことを必要とすることになった。

その3条件は、MRIにおいて縦方向に3錐体以上の長さを持つ脊髄病変が有ること。 アストロサイト上のアクアポリン4(AQP4)に結合する免疫グロブリンG(IgG)抗体が血清検査で陽性である事。 そして、脳MRIが多発硬化症を示唆しないことの3つです。
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清澤のコメント:
 私たちが担当する神経眼科でも原因不明の視神経炎をみたらこの疾患も考えて見よといわれています。視神経脊髄炎(NMO)を診断する条件の一つである「脳MRIが多発硬化症を示唆しない所見で有ること」と言うところがポイントのようです。これは「MSでの病変は皮質下白質部分に散在し、灰白質の大脳皮質自体にその病変は及ばない」という意味の様なのですが、どうもこのアブストラクトだけでは、必要な知識には不十分ですね。

 そこで、視神経脊髄炎(NMO)とはと言う文章を:藤原一男、東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄附講座 教授が同講座のホームページに記した物から以下に借用して復習してみました。

「多発性硬化症と視神経脊髄炎
 古くから日本の多発性硬化症では重い視力低下(高度な視神経炎)と下半身麻痺(横断性脊髄炎)を繰り返す頻度が高いと言われ、視神経脊髄型多発性硬化症と分類されてきました。実はこのタイプの多くは欧米でDevic病あるいは視神経脊髄炎といわれてきた病気と同一で、血液の中の抗アクアポリン4抗体という自己抗体が発症に強く関わっていることがわかりました。多発性硬化症は髄鞘が攻撃される自己免疫疾患と考えられるのに対して視神経脊髄炎では星状膠細胞という別の細胞が攻撃される別の病気との考えが主流です。

疫学
 視神経脊髄炎を発症する年齢は多発性硬化症よりもやや高齢で、30~35歳が平均とされています。患者さんのほとんどは女性です。

病態・症状
 血液中に自己抗体(抗アクアポリン4抗体)が高頻度に存在するのが特徴ですが、詳しい病態機序はわかっていません。自己抗体が関与する他の病気(重症筋無力症、橋本病、シェーグレン症候群など)を合併している患者さんがいらっしゃることから、これらの自己免疫疾患と共通した病態が関与している可能性が考えられています。
 初発症状としては視神経炎(視力障害)が多く、はじめに眼科を受診されて治療を受ける場合が少なくありません。視力障害が高度な場合には失明することもあり、早期の診断と治療開始が重要と考えられます。脊髄炎は体の一部分の感覚障害(しびれ、痛み、感覚低下)として認めることが多く、高度の場合には運動麻痺や排尿障害などもみられることがあります。脊髄炎の前駆症状としてしゃっくりや吐気が続くことがあります。まれに脳にも再発することがあり、意識障害や片麻痺、失語症や小脳失調などが認められることがあります。
 再発頻度は多発性硬化症よりもやや高く、平均すると年に1~2回認められます。」
:とおっしゃっていますが、理解には今一つ。

そこで、上の図をひかせていただいたNPOのページを見ますと、次の様に言っています。

「中枢神経系の神経細胞は、アストロサイトという細胞に支えられています。アストロサイトは神経細胞を固定し、また、神経細胞にとって必要な物質を供給しています。またアストロサイトは、血管表面に「足突起(そくとっき)」で接して、悪い物質が神経組織に入らないようにする血液脳関門を形成しています。

2011年現在NMOは「アストロサイトの足突起に豊富に存在するアクアポリン4(AQP4)というタンパク質を、自分自身で攻撃してしまうことで発症する」という説が最も有力です。

AQP4が攻撃されるとそこに炎症が起き、炎症はアストロサイトを細胞死に至らせながら拡大し、周辺の組織まで破壊していきます。その結果神経細胞が死んでしまったり、神経伝導が上手くいかなくなったりして様々な症状が出てくるのです。炎症によって組織が破壊された部分を病巣(びょうそう)または病変(びょうへん)といいます。NMOでは、放置されると、中枢神経系内のあちこちで、繰り返し炎症が起こりやすいのが特徴です。
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こう説明してもらうと、MS=髄鞘、NMO=星状膠細胞(アストロサイト)と言う図式がよく理解できた気がしてきたでしょう。

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