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2012年9月2日

3612 目の難病に初の遺伝子治療 来春にも九州大病院::の記事です

網膜色素変性症は遺伝が関係した夜盲や視野狭窄を特徴とする疾患であり、現在の保険診療ではアダプチノールに其の暗順応の改善効果があるとして使われたり、強い光を浴びることでその網膜変性が進行することから遮光眼鏡の使用が勧められたりしていますが、いまだに本質的な治療法が確立できないでいます。

最近は2つの国内のグループから日本人に多い網膜色素変性症の遺伝子変異が発表されたりもしておりますが、本日の眼のニュースとしては九州大学眼科が眼内にウイルスベクターを介して遺伝子を導入すると言う治療法の治験を開始すると言う記事が出ています。

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目の難病に初の遺伝子治療 来春にも九州大病院
2012年8月30日 共同通信社 カテゴリ: 眼科疾患・投薬に関わる問題・その他

 九州大病院(福岡市)は29日、光を感じる網膜の視細胞が徐々に失われ、失明する恐れのある難病、網膜色素変性(色変)の患者に、日本初となる遺伝子治療の臨床研究を来春にも開始すると発表した。

 治療を計画した石橋達朗(いしばし・たつろう)教授によると、色変は約5千人に1人の割合で起こる遺伝性の病気。約50種の遺伝子異常が原因だが、これまで有効な治療法はなかった。

 石橋教授らは、視細胞を保護するタンパク質の遺伝子を組み込んだウイルスベクター(遺伝子の運び役)を患者の網膜に注射することで、視細胞の喪失を防ぎ、視力の低下を遅らせる考え。

 まず低濃度のベクター溶液を患者5人に注射し、異常がなければ、治療に有効な濃度の溶液を患者15人に投与してそれぞれ2年間、問題がないか調べる。計画は7月、厚生労働省の厚生科学審議会の部会で承認された。

 治療には、世界で初めてサル由来のウイルスベクターを使用。ベクターは茨城県つくば市のベンチャー企業が開発した。

 石橋教授は「安全性が確認されれば、治療薬の開発につながり、失明防止に役立つ」と話している。
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清澤のコメント
この記事での、視細胞を保護するタンパク質の遺伝子とは神経保護遺伝子(PEDF)の事のようです。詳細は九州大学遺伝子治療準備室のページで見ることが出来そうです。これの欠損が証明できる患者さんを探すのでしょうか?

これで問題が解決ではありませんが、机上の空論からは一歩も2歩も踏み出したもので、一般の眼科医としてみても正当性のある「筋の良い研究」の様に見えます。

当ブログ内の関連記事

1)手前味噌で恐縮ですが、当医院では東京医科歯科大学、東京都健康長寿研究所との共同研究プロジェクトの一環として、網膜色素変性で求心性視野狭窄のある患者さんにおける脳内糖代謝の変化を調べるプロジェクトに協力しています。その検査は東京都健康長寿研究所で行われますが、ご興味がおありの患者さんがおいででしたら、視野や眼底を拝見したうえで紹介いたしますのでご相談ください。(もう用意したものと思っていましたが、概略しか書いてはありませんでした。この詳細記事は追って準備します)

2)以前に私が多少参加した網膜色素変性に関連した研究は、ビタミンE代謝遺伝子に異常があって脊髄小脳変性に伴う網膜色素変性症を示すものががあるという知見に関連したものでした。

(1)Friedreich-like ataxia with retinitis pigmentosa caused by the His101Gln mutation of the alpha-tocopherol transfer protein gene. Yokota T, Shiojiri T, Gotoda T, Arita M, Arai H, Ohga T, Kanda T, Suzuki J, Imai T, Matsumoto H, Harino S, Kiyosawa M, Mizusawa H, Inoue K. Ann Neurol. 1997 Jun;41(6):826-32.

(2)Postmortem study of ataxia with retinitis pigmentosa by mutation of the alpha-tocopherol transfer protein gene. Yokota T, Uchihara T, Kumagai J, Shiojiri T, Pang JJ, Arita M, Arai H, Hayashi M, Kiyosawa M, Okeda R, Mizusawa H. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2000 Apr;68(4):521-5.

(3)Clinicopathological report of retinitis pigmentosa with vitamin E deficiency caused by mutation of the alpha-tocopherol transfer protein gene. Pang J, Kiyosawa M, Seko Y, Yokota T, Harino S, Suzuki J.Jpn J Ophthalmol. 2001 Nov-Dec;45(6):672-6.

3)2012年02月07日
3044 今話題の網膜色素変性症の遺伝子変異EYSとは、
今回の日本人における劣性遺伝を示す網膜色素変性の主要な原因となる遺伝子に関する原初的な論文の解説(リンク)です。こちらも大きな話題になりました。

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