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2012年8月26日

3599 酸化ストレスと緑内障 (結城賢弥先生)を聞いてきました

NMDA
酸化ストレスと緑内障 (結城賢弥先生)を聞いてきました。

第6回慶応緑内障オープンカンファランスの演題です。

ミトコンドリアがぶどう糖からNADHを作るとき電子が作られて、これは最終的には水分子になるのだが、これが酸素に付くとスーパーオキサイドアニオンになってこの活性酸素が害をなし、DNA損傷、蛋白変性などが細胞死を起こす。活性酸素を解消するにはSODやカタラーゼによる酵素分解と、ビタミンなどにより自己が酸化される場合がある。

活性酸素は食生活や運動で制御できる点で研究の対象とする意味がある。

POAGでは線維柱帯の酸化物がその進行に影響していると言う話が有る。血中のSOD1やビタミンCも関連している。また、POAGでは視野の進行群は全身のDNA酸化損傷ストレスが強かった。

SOD1欠損マウスを使った実験:一般に短命で、40週齢で網膜変性も来たすが、この動物の硝子体にNMDAを注射して起きる神経細胞死を評価することができる。

NMDAに依る障害のメカニズムは細胞膜に有るNMDA受容体からカルシウムが流入して、ミトコンドリア膜を穿孔するというもの(Seki Mのレビューあり#)である。この過程にも強い活性酸素が関与している。

(#Invest Ophthalmol Vis Sci. 2010 Feb;51(2):1198-207.Protection of retinal ganglion cells by caspase substrate-binding peptide IQACRG from N-methyl-D-aspartate receptor-mediated excitotoxicity.のことか?)

種々の抗酸化条件はNMDAに依る網膜神経節細胞のアポトーシスを抑制できるから、緑内障での網膜神経細胞死の抑制にも有効である可能性がある。

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清澤のコメント:NMDAの細胞毒性の話がよく解かりました。
NMDAの神経毒性はアルツハイマー病などでも以前から論じられています。NMDAに依る細胞死がNMDA受容体を介したカルシウム流入、そのカルシウムに依るミトコンドリア膜の破壊と言う事は了解しました。

視神経の主な神経伝達物質が興奮性アミノ酸であるという事は1980年頃から漠然とは予測されていましたが、そのコンセプトが固まってきたのは比較的最近のことだと思います。
古い知識ですが、興奮性アミノ酸のグルタミン酸受容体はイオノトロピック受容体とその後注目されるようになった非イオノトロピック(メタボトロフィック受容体?)に分けられると思います。NMDAは他に比べて反応電位の維持が長いという特徴が有る様な話があったようです。

NMDAで細胞障害を受けると言う事は、このイオノトロピック受容体と呼ばれる3種のうちのNMDA受容体を持つ細胞だけが障害を受けると言うことなのでしょうね。或いは、神経細胞の多くがそれをメインにしているかどうかはともかくとして、多くの神経細胞はNMDA受容体を細胞表面に多少に関らず持っているということなのでしょうか。

昔の私の論文です。
Neurosci Res. 1996 Nov;26(3):215-24.
Unilateral eyeball enucleation differentially alters AMPA-, NMDA- and kainate glutamate receptor binding in the newborn rat brain.
Kiyosawa M, Dauphin F, Kawasaki T, Rioux P, Tokoro T, MacKenzie ET, Baron JC.

この記事に関連する以前の記事
2010年04月18日
1377 緑内障眼圧非依存因子への挑戦:ネズミ、サル、そしてヒトへ(新家教授講演)(リンク)

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