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2012年7月31日

3525 『死刑執行人サンソン』を読みました

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『死刑執行人サンソン』
─国王ルイ十六世の首を刎ねた男
フランス革命もう一人の主役!!

と言う本を数日かけて読みました。書評では「小説を超えた驚きの連続!”敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していたシャルル・アンリ・サンソン。彼は、代々にわたってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主であった。そして、サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王と王妃を処刑したことによってだった。

 本書は、差別と闘いながらも、処刑において人道的配慮を心がけ、死刑の是非を自問しつつ、フランス革命という世界史的激動の時代を生きた男の数奇な生涯を描くものであり、当時の処刑の実際からギロチンの発明まで、驚くべきエピソードの連続は、まさにフランス革命の裏面史といえる。」と、紹介されています。

著者の安達 正勝さんは一九四四年岩手県盛岡市生まれのフランス文学者。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修士課程修了。フランス政府給費留学生として渡仏、パリ大学等に遊学したそうです。

私よりも約10年程上の方ですが、年間40人ほどもいるのでしょうか?フランス政府給費留学生と言うところで関係が無くもない人です。しかし、アンシアン・ブルシエの会と言うものもあるのですけれど、彼が選ばれた文科系と私が行った理科系の学生では、帰国後においても殆ど接点は有りません。

さて、この物語は、処刑人としては初代のサンソン氏が地方の処刑人の娘と恋に落ち、世間からの差別を受けることを覚悟し、結婚して処刑人になったというエピソードから始まります。剣で首を落とすにしろ、その他の手段で行うにしろ処刑と言うのは大変なことらしいです。

フランスでの死刑と言えば、われわれの意識の中ではそれと直結するキロチンは、それまで死刑と言えば絞首刑が執行されていた市民にも、貴族と同等に斬首と言う意味で平等にしようとしたフランス革命の精神が生んだものであったとか。しかし、ギロチンで簡単に処刑ができるようになってしまったことが、フランス革命直後に続く恐怖政治と多数の処刑を生んだという話もありました。

フランス革命の中では、国土が外国の反革命勢力の攻撃に晒されて敗戦が続く中で、収容されていた多くの僧侶などの反革命的な政治犯に対して、反革命的な思想を理由に裁判に依らないリンチ的な殺人が短期間ですが集中的に行われた暗い歴史もあったそうです。ムッシュー・ド・パリ(パリ市の処刑人)であったシャルル・アンリ・サンソンは、この様な恣意的な殺害に対しては大いに反対であったということも書かれていました。

その事件の直後から、ナポレオンがそうであったように貴族でなくても優れた軍人なら将軍にもなれるという軍制を確立して、個々の兵も自国の革命政府の正当性を確信していたフランス軍は、雇われた兵隊という意識しか持たない周辺王制国家の軍を打ち負かすことになります。

ルイ16世とマリーアントワネットを処刑したのが、サンソンと言う人物であったという事は以前から聞いたことが有りましたが、フランス革命の裏面に王政と革命の中をこの様に生き続けた一族が居たという歴史は、この本を手にしなければ知らないままで通り過ぎてしまうところでした。

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