お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2012年7月19日

3491 逃亡戦犯:翔田寛 を読みました

51caaoCgTfL__SL500_AA300_

水曜日午後の、医科歯科大学神経眼科外来の帰りに、お茶の水丸善に寄って「逃亡戦犯」という本を買ってきました。それを、昨日から今日に掛けて駆け足で読み終えたわけです。終戦直後のなまなましい雰囲気にどっぷりと浸ることができました。

アマゾンではその内容(「BOOK」データベースより)が、「八月十五日、大江山捕虜収容所から、日系二世の通訳・木島が戦犯逮捕を恐れ逃走した。やはり日系二世のマイク・ミヤタケが、GHQの先兵として木島を執拗に追跡する。敗戦直前の捕虜収容所で何があったのか。乱歩賞受賞作のベストセラー『誘拐児』の著者が描く、新たな“闇市小説”。」と、言う訳なのですが、私は自分の父親世代が生きた1945年前後の混沌とした社会とその中で必死に生きた人々の記述が好きです。

たとえば米国に移民していた日系人が収容された収容所の悲惨な状況は、「馬糞の悪臭のこもった部屋、仕切り壁も戸も付いていない共同便所、食堂で出されるのは、缶詰ばかりのひどい食べ物だ。しかも食事のたびに手桶を持って二時間も待たされる。八十五歳の老女でもだ。そのうえ、周囲を有刺鉄線で厳重に囲まれ、武装した兵士たちから昼夜を分かたず監視された」ーーー と記述されています。(307ページの記述)

また、尾行は「訓練された者の尾行を撒くことは容易ではない。つける相手の頭部や上体には絶対に目を向けない。目を離さないのは足元だけで、爪先の向きと動きだけで、相手の行動を予測してつけるのが、尾行の鉄則だ。だから、どれほど背後に気を配ろうとも、相手は誰が尾行しているか見分けがつかない。(301ページ)」と記載されています。これは先日引用した尾行者は目をみてはいけないという話(リンク)にも似ていました。

しかし、物語は基本的には前向きで明るいものです。京都府北部に有った米軍の戦争捕虜の収容所で、通訳を務めた2世の「木島」が、日本人からは侮蔑され、捕虜の米兵からは嫌われながら、ハーモニカで吹き続けたアメイジング・グレースという讃美歌は、決してたまたまではなかった。「捕虜たちの為に吹いていたのだ。彼らが故郷に帰れるように、祈りを込めて」と感動的に説明されていました。上の動画は、そのアメイジング・グレースです。日本語訳の付いたユーチューブから動画を選んでみました。白い巨塔がこの曲をテーマに放映されたのはもう9年も前になる2003年だったそうです。
ーーーーーーーー

Categorised in: 未分類