お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2012年6月2日

3362 『避けられない“老眼”』 「美楽」(発行:㈱夕焼け創造研究所)5月のインタビュー記事です

http://bigaku.asia/image/1205/feature_1.pdf

1205
『避けられない“老眼”』
日本の未来を考える新提案「美楽」5月のインタビュー記事です(ネットのPDFにリンク)
美楽講座45回
『避けられない“老眼”』
清澤眼科医院 院長
清澤 源弘

年齢とともに誰もが直面する“老眼”。老眼が起こるということは、眼のさまざまな病気を起こしやすくなる年齢に突入したということです。
 老化だと思っていたら別の病気だった・・・というケースもよくあるそうです。もし老眼だと思っても、一度はほかに眼の病気がないかを眼科で調べてください。 避けられない老眼に対する正しい知識を清澤眼科医院の清澤源弘院長にお話を伺いました。

Q1 老眼はどういう状態を言いますか?
A  老眼とは、眼の調節力が衰える現象のこと。正確には『老視』と呼びます。では、調節力とは何でしょうか?わかりやすくいうと、ピントを合わせる能力です。本を手に持って、できる限り目から離してください。
そこから徐々に顔を近づけてきた時、ある距離より近くなると、ピントが合わず、文字がボヤけて読めなくなると思います。この『顔から何センチの場所までピントを合わせられるか』を表すのが、『ディオプトリ―(D)』という単位です。100センチ÷『近づけられる距離(センチ)』で計算します。10センチまで近づけられる人なら100÷10センチ=10Dです。

Q2 いつくらいから始まりますか?
A  眼の調節力は、年齢を重ねるごとに落ちてきます。だいたいのピークは、13~15歳ころ。思っていたより早いでしょう。 眼の調節力は、年齢ごとに平均値が決まっています。10歳で12D、20歳で9D、30歳で6D、40歳で4D、50歳で2D、60歳以降はあまり数値が変わらず1Dです。4Dは、『100センチ÷Xセンチ=4D』の計算から導いて、顔から25センチの場所までピントを合わせられるということです。50歳の2Dは、50センチの場所までピントを合わせられるということになります。
 私たちは本や新聞を読むとき、顔から33センチ前後の辺りにそれらを持ってきます。33センチは100センチ÷33センチ=約3D。つまり、3Dより数字が小さくなると、顔から33センチ以上先まで手を伸ばさないと本を読めないということで、それが老眼ということになります。『40歳=4D』と『50歳=2D』の間なので、45歳前後が老眼の始まりになります。

Q3 遠視と老眼は同じですか?
A 眼に光が入ってくると、角膜と水晶体を通って屈折され、眼球の奥にある網膜に到達します。そして、網膜にある水晶体の厚さを調節して、ピントを合わせます。一般的に、水晶体をカメラのレンズにたとえ、網膜をカメラのフィルムにたとえます。
老眼は、老化によって水晶体の弾力性が弱まり、近いところを見るときに網膜にピントが合いません。つまり、調節異常です。一方、遠視は遠いところを見るときの屈折異常が問題。眼軸の長さが短いので、網膜にピントが合わないのです。 遠視と老眼は違います。

Q4 老眼を予防することはできますか?
A ごく一部に、『近くを見る訓練をすると老眼になりにくい』と提唱している先生がいます。歩く訓練を毎日すれば筋肉が老化しないだろうというのと同じ考えで、毎日遠くと近くを交互に見る訓練を繰り返していれば、水晶体の厚みを変化させる毛様体という筋肉が鍛えられるという理屈です。 確かにそういう側面もあるかなあとは経験的に思いますが、学説としてはあまり受け入れられていません。

Q5 老眼になりにくい人はいますか?
A 近視の人は老眼になるのが遅く、遠視の人は老眼になるのが早いとよく言われます。しかし、これは間違えています。近視の人はもともと近いところにピントがあっているので、老眼になっても正視(正しくピントを合わせられ、見えている人)や遠視の人と比べて水晶体の調節があまり必要としません。実際は老眼でも、見かけは老眼じゃないのです。 老眼になりにくい人はいません。個人差はありますが、加齢とともに、必ず調節力は落ちていきます。

Q6 老眼を放っておくとどうなりますか?
A 肩凝り、眼性疲労、頭痛、吐き気などの症状が出てきます。老眼は誰でもなる眼の老化です。『年をとったみたいではずかしいから』とやせ我慢をせずに、必要なときに適切な程度の老眼鏡をかけることを勧めます。

Q7 『老眼の治療』はありませんか?
A 最近はいくつかの老眼の治療が登場しています。最近注目されているのは、『アキュフォーカスリング』です。特殊なリングを手術で装着します。リングの穴から見るようになり、ピンホール効果で、“焦点深度”が深くなり、近くが見やすくなります。ただ、近視、乱視、遠視などでメガネやコンタクトレンズを使っている人は、そのまま使い続ける必要があります。細かい文字を長時間見るような人には向いていません。
 また、『モノビジョン』もあります。意図的に左右の眼の視力を少し変えることで、遠近両用を見られるようにします。老眼レーシックや、コンタクトレンズで左右の眼の視力を調節するなどの方法があります。
慣れるまで時間がかかります。
 ほかには、視力の矯正手術の『CK』。角膜に高周波エネルギーを照射し、角膜のカーブを強くして老眼でも近くを見られるようにします。また、遠近両用の眼内レンズを入れる『マルチフォーカルIOL』という方法も。ただ、私は『老眼治療』について、患者さんから聞かれたら紹介しますが、あえて勧めることはしませんし、もし私の家族が受けたいと言っても絶対に許しません。たとえばレーシックを例に挙げると、術後の不満を施術した施設で真剣に取り合ってはもらえず、いくつもの眼科医を渡り歩いて私のところに来た『レーシック難民』を何人も見ているからです。老眼治療は、保険診療でもありません。新しい治療法のため、今後何十年先にどうなるかも分かりません。 老眼は、老眼鏡で十分に対処できる眼の老化なのです。わざわざ高額なお金を払って治療を受ける必要はないというのが私の考えです。受ける時は、リスクをよく把握した上で、自己責任で受けるべきです。

Q8 老化だと思っていたら別の病気だった・・・ということはありますか?
A それはとても多いです。よく見られるのが、老眼だと思っていたら白内障だった、というケースです。気がついたら悪化していたケースも少なくありません。ですから、もし老眼だと思っても、一度はほかに眼の病気がないかを眼科で調べるべき。老眼が起こるということは、眼のさまざまな病気を起こしやすくなる年齢に突入ということなのですから。
 
Q9 先生の美学を教えてください。
A どれだけ患者さんを集められるかやってみよう。清澤眼科を開院するとき、そういう気持ちが私の中にありました。病院のブログを始めたのも、患者さんに少しでも清澤眼科のことを知ってもらいたいという気持ちがあったからです。 ブログのいいところは、読んでくださっている方からいろんな質問が投げかけられることです。知識にはあるのですが、分かりやすく説明しようとするには不十分・・・という場合は、イチから調べなおして回答します。これは治療中でも同じで、ふとわいた疑問をそのまま放っておかず、必ず調べ、ブログにアップするようにしています。それによって、私も知識の確認になりますし、患者さんやブログの読者に対しても、いい結果につながると思っています。すべては患者さんのために。それがまさに私の美学。そしてそのためには、清澤眼科の職員の働きやすさも重要だと考えています。
みんなで作っている眼科だから、一丸となって患者さんの事を考えられるからです。
ーーーーーー
清澤眼科医院 院長
清澤 源弘
東北大学医学部卒業
北里大学病院、フランス原子力庁研究員、米国ペンシルバニア大学
フェロー、米国ウイルス眼科病院臨床フェロー、東北大学講師、東京医科歯科大学眼科助教授を経て、清澤眼科医院開院。順天堂大学非常勤講師、東京医科歯科大学眼科臨床教授も務める。日本眼科学会眼科専門医、日本神経眼科学会理事、日本緑内障学会会員など。

Categorised in: 未分類