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2012年5月27日

3357 アトピー性皮膚炎には白内障や網膜剥離が合併することが有る

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アレルギー相談室 Q&A 眼科
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清澤眼科医院院長
東京医科歯科大学眼科臨床教授

清澤源弘
Key ward: アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、白内障、網膜剥離、円錐角膜
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Q:アトピー性皮膚炎には白内障や網膜剥離が合併することが有ると聞きましたが本当ですか?
A:日本人のアトピー性皮膚炎は軽いものも含めると1000万人にも及ぶともいわれています。アトピーには皮膚の症状だけでなく、様々な眼の症状もあります。その中でももっとも代表的なのが白内障と網膜剥離です。

私は以前、アトピー性皮膚炎患者の眼の症状を調べたことがあります。この結果ではアレルギー性結膜炎が最も多く34%に見られました。ついで多かったのが白内障で25%、角膜表面の細かい傷が12%、そして網膜剥離も11%に見つかりました。円錐角膜もアトピー性皮膚炎に伴うものとして知られていますが、これは1%のみでした。
 白内障は本来透明な水晶体が白く曇る疾患です。多くは老人に見られますが、アトピー性皮膚炎では若い人にも見られます。アトピーに伴う白内障の年齢分布は14歳から43歳に広がっていて、その平均年齢は23歳と若年でした。性差はなく、男性では31%、女性では18%が白内障を持っていました。アトピー性皮膚炎患者の白内障有病率は日本や海外の文献でも10-37%です。そのうち左右両眼に水晶体の混濁があるものが75%で、アトピーの白内障は両眼に出やすいのです。また水晶体混濁は通常の老人性白内障と違って、水晶体の前後嚢に多く見られました。
 白内症手術では術後の水晶体嚢収縮も強く、場合によっては正しい場所に入れた人工水晶体が暫くしてから偏移を示すことがあります。水晶体の前嚢切開は大きく開け、水晶体嚢をしっかり押し開く強い足を持った人口水晶体を選ぶことが推奨されています。
 次にこの疾患での重要な合併症である網膜剥離は患者の11%が持っていました。男性では16%、女性では5%であり、年齢分布は14-30歳でその平均は21歳でした。これは国内の諸文献でも0-8%です。この比率は、網膜剥離の自覚症状がない患者さんを対象としたものですから、一般市民における網膜剥離の日本人での発生率である一年間で1万人に1人という比率と比べれば、大変に高い頻度です。日本人のアトピーには網膜剥離が特異的に多いと言うことがあるかもしれません。
私が見た症例での経験では、両眼性の網膜剥離症例が4例で片眼のみの症例は5例でした。普通に比べると両眼性網膜剥離の比率も低くはありません。このち77%は白内障も合併していましたので、眼底のよく見えない白内症患者では白内障手術を行う際に、網膜剥離が眼底に隠れていないことをよく見極めることが重要です。
 さらにこのアトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離は網膜の最周辺部、即ち網膜鋸状縁での断裂が多く、網膜格子状変性からおきることが多い通常の網膜剥離とは違った特徴を持っています。アトピーの患者さんは、あまりの痒さに眼球を叩く傾向があり、そのために発生する外傷性の剥離が多いからこのような特徴をもつのだ言う説や、炎症で特にこの鋸状縁が弱っているから剥離が多いのだろうなどの緒説があります。

1)Taniguchi H, Ohki O, Yokozeki H, Katayama I, Tanaka A, Kiyosawa M, Nishioka K.
Cataract and retinal detachment in patients with severe atopic dermatitis who were withdrawn from the use of topical corticosteroid J Dermatol. 1999 :26:658-65..

アレルギーの臨床32(5)2012 (92巻478ページ)

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