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2012年5月20日

3331 所見に乏しい視力障害を来たす疾患:講演会を聞いてきました

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所見に乏しい視力障害を来たす疾患:というタイトルの眼科講演会(第45回日本眼科講演会)を聞いてきました。私も東京都眼科医会学術委員として少々関係しています。私的なメモと印象記です。

演題1:基調講演
「所見に乏しい視力障害をきたす疾患-ロービジョンケアを含めて」溝田淳 帝京大学教授 

 ERGには国際臨床視覚生理学会(アイシェフ)のスタンダ-ドがあります。
 最近でてきたものでは光干渉断層計(OCT)が有用。COST(cone outer segment tip)ライン等を見ます。
 眼底自発蛍光(fundus autofluorescence)は網膜色素上皮中のりポフスチンを観察します、今回保険収載されました。

 最近の話題としては日光網膜症の話題紹介。このほかにはロッドモノクロマートでは眼底のOCTで正常との差が見えるという話。ロービジョンに関してはDLTVと言う質問表があって有用であると言う話もありました。

 DLTVを導入して「どの程度生活上で困っているか」を評価してあげると、点にはならずとも私の様な開業医でも患者サービスにはなるかもしれないと思いました。

演題2:ミニシンポジウム

1)「眼底所見の乏しい遺伝性網膜疾患」東京医療センター角田和繁先生

オカルト黄斑ジストロフィー(三宅病)とは、眼底所見に異常の見られない家族性黄斑症です。2010年8番染色体短腕にPR1L1が特定されました。視力低下と中心比較暗点。羞明を訴えることもあります。白内障手術をしたが視力が出ないという様なケースで見つかることもあります。発見は10歳から60歳と幅広く、ゆっくり進行します。黄斑部におけるERGは低下。常染色体優性遺伝です。ハンフリーは10-2でみます。眼底はまったく正常であり、黄斑部局所ERGか多局所ERGでの異常検出で専門の病院奈良確定できます。肉眼的には正常でもOCTならCOSTラインやIS-OSラインに異常があるそうです。

清澤のコメント:抄録も詳しく、この疾患のアウトラインもよく理解できるました。国際的な遺伝子リストには(Miyake’s disease)と併記されたそうです。

2)眼底所見の乏しい後天性網膜疾患 帝京大学 篠田啓 先生
AZOORとその類縁疾患(AZOOR complex)の紹介。
中毒性網膜症:ジゴキシン中毒などの症例提示。
癌関連網膜症(パラネオプラスチックシンドローム):抗リカバリン抗体を持ち急激に進行する網膜色素変性様の症状を示す。
難治性の癲癇に用いられ、視野変化を来たすことが知られている抗てんかん薬のビカバトリンが再び日本に導入されると言うプレスリリースの話題。
白質脳症に伴う視野変化の話題。(=可逆性後頭葉白質脳症

清澤のコメント:ビカバトリンの視野障害に付いては、海外からの論文もあって、以前外資系製薬会社主導ででしたかその調査を行い多数例の視野を集めて戴いたことがありました。若倉先生、藤本先生と私とが其の視野の異常正常を判定しました。確かに少なからぬ症例に異常が有ったのですが、その時点で日本への導入が断念されてしまいましたので、此の時の調査結果は学会で話されることもまた論文になって世に出ることもありませんでした。この薬が市販されるとなれば、「エタンブトールは視神経症をおこすがその害よりも治療効果が有用」として使用されるように、視野障害に注意しながら使うと言うことになるのでしょうか?

可逆性白質脳症も最近話題になることの多い単語ですね。

3)「乳頭所見の乏しい視神経疾患」 慈恵医科大学 酒井勉 講師

視神経炎:年齢が15-45歳で眼痛を伴う急性で片眼性の視力・視野障害が特徴です。血液検査に依る自己抗体の存在を確認することは重要です。

視神経脊髄炎(NMO)は比較的高齢な女性で再発性で両眼の視力・視野障害。抗アクアポリン4抗体陽性です。家族例もあるとのこと。パルス、血漿交換、ステロイドなどが行われます。MSは細胞性免疫で、NMOは液性免疫だそうです。

虚血性視神経炎は年齢50歳以上、急性片眼性無痛性の視力視野欠損。発症2週間以内でのウノプロストンの有効性を調べる研究が慈恵医大では進行中。
 
リウマチ性多発筋痛症にも言及しておいででした。此の単語もしばしば神経眼科外来で見かけます。動脈炎型前部虚血性視神経症はリウマチ性多発筋痛症(発熱、食欲不振、体重減少、両肩と大腿部などの近位筋の痛み、赤沈の亢進、CRP高値)を合併しやすいとされています。

可逆性後頭葉白質脳症:ポリコナゾルとタクロリムスで生じた例を提示されました。これも最近神経眼科の外来で話題になることが有ります。(リンク

4)「非器質性(心因性)視神経障害と外傷性視神経症」慈恵医科大学 敷島敬悟 教授

最近の英語論文では心因性(psychogenic)とは呼ばず「非器質性nonorganic」ないし「機能性funkusyonal」と呼びます。RAPDを確認することが重要で、近方字一つ視力、雲霧法、トリック検査も有効です。視野検査も有効です。

外傷性視神経症が実際に視神経管に骨折を持つのは20%に過ぎません。①眉毛部外側の受傷痕、②片側性、③受傷直後に発症、④RAPD陽性、⑤正常な視神経乳頭が診断の必要項目です。もし多少なりと蒼白なら、前からあった変化と言うことです。

診断書の注意点としては、(判断はボードがするから)因果関係は明記せず「医学的に不明である」「自覚所見と高く所見にかい離がみられる」と記載します。「事故後に視力低下が有ったので外傷性の可能性が有る」とは記載しないこと。
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眼科医会の参加者は150名と盛会で有りました。

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