お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2012年3月19日

3159:患者さんに関る実験はヘルシンキ宣言を順守して行わなくてはいけません

現代の臨床医学実験は、その目的、内容、危険などのすべての研究内容を予め学内倫理委員会での承認を受けてから開始されます。またその実験に参加するすべての患者さんから同意を書面で受け取っておかなくてはなりません。さらに、そうした手順を踏んで実験を行ったということは、論文のなかでも明記しなくてはなりません。

そうしたすべての行為の基本になっているのがヘルシンキ宣言(wikipedia)です。ですから、現代の医学研究は昔に比べると大変、手間と時間のかかる物になりました。ヘルシンキ宣言のなかで重要な基本原則は以下のようなものです(上記引用のウィキペディアより)。

1.患者・被験者福利の尊重。
2.本人の自発的・自由意思による参加。
3.インフォームド・コンセント取得の必要。
4.倫理審査委員会の存在。
5.常識的な医学研究であること。

実際の臨床医学では、血液や組織など様々な検体が患者さんの体から採取され、通常の検査に回されて、その分析結果は主治医が報告を受けて治療に生かされます。しかし、ヘルシンキ宣言に照らせば、その検体の残った一部を患者さん自身に断りなく研究目的に使ったり、ましては臨床医学的必然性なく採取してはいけないということは明白です。

その辺りのルーズさは今の医学界では殆ど無くなって居たはずなのですが、最近こんな事件が明るみに出ました。

ーーーー記事の引用ーーーーーー
慶大医学部教授:無断で骨髄液採取 がん患者ら31人から

記者会見で頭を下げ謝罪する末松誠・慶応大医学部長(右)=東京都新宿区で2012年3月19日午後4時23分、竹内幹撮影 慶応大は19日、同大病院(東京都新宿区)の呼吸器外科の教授らが、臨床研究に使う目的で、肺がん患者ら31人から事前の同意を得ずに骨髄液を採取していたと発表した。厚生労働省が定める「臨床研究に関する倫理指針」に違反しており、同大は関与した50代の教授と40代の専任講師の懲戒処分を検討している。また同日付で2人の病院内での権限を停止した。今後1年間の研究成果の発表や新規臨床研究の申請停止も決めた。

 厚労省は「患者の同意を得ることは基本中の基本。適切な手続きを経ずに研究が行われていたことは残念」として、他の臨床研究の同意の取得状況や再発防止策について同大に詳しい報告を求めた。

 同大医学部によると、教授らは骨髄液からがん細胞を見つける臨床研究に携わっていた。学部の倫理委員会に申請する前の昨年10月24日から、肺がんの手術を行う40~84歳の患者26人に対し、事前の説明や同意のないまま、肋骨(ろっこつ)から骨髄液2CCを採取していた。さらに、「比較するデータが必要」として、がんでない患者5人から無断で手術中に骨髄液を採取。他に手術で切除された肋骨の断片からも骨髄液を採取していた。採取による健康被害の報告は今のところないという。

 今年1月に病院長あてに内部告発が寄せられ発覚した。教授らは大学の調査に対し、事実関係を認めた上で、「成果を急ぐあまり必要なプロセスを飛ばしてしまった」と話しているという。
ーーーーーーーーー

Categorised in: 未分類