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2011年12月18日

2907 眼科で未破裂動脈瘤を見つけてしまったら、どう説明しようか?

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神経眼科学を専門にしておりますと、主訴が視神経炎にしましても、或いは眼球運動障害にしましても、MRIは諸採血とともにほぼルーチンで撮影することになります。さらに、経済的な負担を患者さんに掛けないで済むならば、MRAも一緒に撮ってスクリーニングをお願するということが多くなります。

そうしますと、無症候性の未破裂動脈瘤が数パーセントの割合で見つかってしまいます。(MRAによるスクリーニングの結果では、成人における未 破裂脳動脈瘤の保有率は約5%であり、家族歴を有する場合は10~15%です。)脳動脈瘤の外科的処置は必ずしも安全なばかりのものとはいえませんから、患者さんに対してこれをどのように説明し、脳外科を受診していただいたら良いのかと考えておりました。そうしましたら、このような記事が有りました。今後の診療の参考にさせていただこうと思います。

要点はこの記事の最後に有ります「動脈瘤の一部に、瘤形成後数日から数週以内に破裂するものがあり、これらが普段目にするくも膜下出血症例であると考えられる。危険な時期を過ぎ、破裂する危険性が低くなっているものが、未破裂瘤として偶然あるいは他疾患と併発して発見される。その「安定期」に入った未破裂瘤については、危険因子を踏まえて、破裂や増大のリスクを考慮する必要がある。

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 高血圧患者、多発瘤、4.0mm以上、比較的若年者、女性、喫煙者などは、動脈瘤の破裂や増大の可能性があり、注意深い経過観察か、破裂予防処置を考慮する必要があると考えられる。一方、これらの危険因子を持たない症例に関して、その手術適応は慎重でなければならない。」という事のようです。

今後もこのような未破裂の状態で無症候性の脳動脈瘤症例を見つけてしまった場合には、脳外科への紹介はしないわけにはゆかないでしょうけれども、紹介状を書く前に”高血圧患者、多発瘤、4.0mm以上、比較的若年者、女性、喫煙者”などの危険要因を持っているのかどうかを聞き取った上で、或る程度の予見を患者に伝えた上で、知り合いの脳外科に判断を仰ぐことにしようかと思います。そうすることで、脳外科医が診察するまでの間に不要で有害な心配を患者さんに抱かせなくて済みそうです。

ーーー記事の引用ーーーー
日本脳卒中学会合同シンポ

未破裂脳動脈瘤のリスク因子
高血圧、多発瘤、4.0mm以上、喫煙者などは、動脈瘤の破裂や増大の可能性

2011年11月28日 山崎友郷(国立病院機構水戸医療センター脳神経外科)
カテゴリ:一般内科疾患・循環器疾患・脳神経外科疾患

 2011年10月20日に行われた第39回日本救急医学会学術集会で、未破裂脳動脈瘤にどう対処すべきか、日本発の最新エビデンス(SUAVe研究)を題材に解説した。

 SUAVe研究では、未破裂脳動脈瘤の破裂率、増大率とそれぞれに関わる危険因子を前方視的に検討した。結果、高血圧患者、多発瘤、4.0mm以上、比較的若年者、女性、喫煙者などは、動脈瘤の破裂や増大の可能性があり、経過観察もしくは破裂予防処置を考慮する必要がある。一方、危険因子を持たない症例への手術適応は慎重でなければならない。

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山崎氏が当日発表したスライドをご覧いただけます
 脳動脈瘤はひとたび破裂すると、重度の後遺症や死に至る可能性を秘めている。近年のMRアンギオグラフィーやCTアンギオグラフィー、脳ドックの発達により、未破裂脳動脈瘤が発見される機会が増え、その対応が問題となってきた。

 日本で行われたSmall Unruptured Intracranial Aneurysm Verification Study (SUAVe研究:Stroke. 2010 Sep;41(9):1969-77)は、小型未破裂動脈瘤の自然歴に関する研究である。未破裂脳動脈瘤の破裂率、増大率とそれぞれに関わる危険因子を前方視的に検討し、未破裂脳動脈瘤の合理的な治療指針作成の一助となるように計画された。

対象・方法
 参加施設は全国の12の国立病院を中心とし、登録は2000年9月から2004年1月の間に行われた。径5mm未満の脳動脈瘤を持つ374患者を対象に、平均41カ月(1306.5人・年)にわたり外科的治療の介入を行わず経過観察した。放射線学的検査として、脳血管造影検査、MR angiography、CTアンギオグラフィーを用い、約半年ごとに経過観察を行った。既往歴として、高血圧が24.9%、くも膜下出血が9.6%であった。脳動脈瘤の発見理由は、脳ドックが53.2%にのぼった。

結 果
 観察期間中7症例(1.9%)にくも膜下出血を生じ、年間の破裂率は0.54%(単発瘤0.34%、多発瘤0.95%)であった。破裂に関わる危険因子は、年齢50歳未満、動脈瘤径4mm以上、高血圧、多発瘤であった。25症例(6.7%)に動脈瘤の増大を認め、その危険因子は動脈瘤径4.0mm以上、女性、多発瘤、喫煙であった。

危険因子を踏まえた対応を
 臨床医が日常遭遇する破裂脳動脈瘤は5mm前後のものが多く、ここに破裂瘤、未破裂瘤の疫学的不一致が生じる。動脈瘤の発生から破裂までの過程を4つのタイプに分けて考える説が提唱されている。タイプ1は動脈瘤の発生後、数日から数週で破裂してしまうもの。タイプ2は動脈瘤の発生後、数カ月から数年かけて増大し破裂するもの。タイプ3は動脈瘤の発生後経年的に大きくなるが、破裂しないもの。タイプ4は動脈瘤の発生後、経年的に変化をきたさないものである。今回のSUAVe研究の結果では、タイプ2が7個、タイプ3が30個、タイプ4が411個と、タイプ4が大半を占めていた。

 本研究の結果から考察すると、動脈瘤の一部に、瘤形成後数日から数週以内に破裂するものがあり、これらが普段目にするくも膜下出血症例であると考えられる。危険な時期を過ぎ、破裂する危険性が低くなっているものが、未破裂瘤として偶然あるいは他疾患と併発して発見される。その「安定期」に入った未破裂瘤については、上記の危険因子を踏まえて、破裂や増大のリスクを考慮する必要がある。

 高血圧患者、多発瘤、4.0mm以上、比較的若年者、女性、喫煙者などは、動脈瘤の破裂や増大の可能性があり、注意深い経過観察か、破裂予防処置を考慮する必要があると考えられる。一方、これらの危険因子を持たない症例に関して、その手術適応は慎重でなければならない。
ーーー引用終了ーーーーーーーーー

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