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2011年11月16日

2810 イレッサ訴訟の高裁判決は国・企業の責任を認めませんでした。

イレッサ訴訟の高裁判決は国・企業の責任認めませんでした。 その記事が2011年11月16日の朝刊に出ています。

ーーー要点はーー
 肺がん治療薬「イレッサ」に重大な副作用の危険があったのに適切な対応を怠ったとして、死亡した患者三人の遺族が、国と輸入販売元の製薬会社「アストラゼネカ」(大阪市)に総額七千七百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(園尾隆司裁判長)は十五日、国とア社の責任を認めた一審東京地裁判決を取り消し、原告側の請求を棄却した。原告側の逆転敗訴となった。
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清澤のコメント
:この裁判に関しては大阪地裁一審の調停勧告が出された時点で、1月に国立ガン研究センターや日本医師会が1月に緊急会見を発表するなど、医療界からも注目を集めていた案件です。今回の判決は国と製薬会社の言い分を認めたものとなりました。

 この判決は、「警告欄や、副作用が致死的となり得るという記載がなくても、欠陥とはいえない」とア社の製造物責任を否定しました。一方で、処方する専門医は間質性肺炎による死亡の可能性を知っていたはずだとしたわけです。

 がんセンターの嘉山先生の会見記事にも有ります通り(記事にリンク)、残念ですが、ガンの治療薬には副作用の無いものは有りません。この事案も副作用で有って薬害ではないという見解です。医療者が、十分なリスクを説明したうえでも、その副作用の責任を問われるということになりますと、医療は何もしないという方向にしか向かえなくなります。「何かあったら医療者か国の責任」と言う流ればかりではなくなって来たようです。

 上のがん研究センターの会見での次の発言も注目されます。 「リスクと利益を知った上で患者さんは闘っている。多くのがん患者さんがこの瞬間にも新しい治療を求めて闘っている。 治療には常にリスクと利益が伴うということは言うまでもないが、新しい治療を求めている患者さんが必要以上にその受ける医療に制限を受けることがあってはならない。安全かつ迅速な承認が阻害されることがないように、患者の1人として希望したい。」

 小宮山洋子厚生労働相は「イレッサの副作用で苦しみを受けた方々、亡くなった方々に心からお悔やみを申し上げる。国として法的な責任はないと主張してきたことが認められた。判決の内容にかかわらず、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の徹底、医薬品安全対策の強化、抗がん剤による健康被害の救済などの政策課題を着実に実行していく。」とコメントしています。

 現場の医療者としては、有る程度のリスクは患者さんに負っていただくとしても、治療を行う際には今まで以上に十分なインフォームドコンセント確保を求められる事を自覚せねばならないでしょう。無過失で事が発生した場合に患者さんを救済するシステムの一層の充実が求められることも言うまでも有りません。

イレッサ判決記事についていた従来の判決の要点です。

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