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2011年10月9日

2684 薬の副作用による眼瞼痙攣の発症(10月22日の環瞼痙攣患者友の会講演要旨)

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「眼瞼・顔面けいれん友の会」会長の東海林さんからお題を戴きました。
今月22日の患者交流会で患者同士の話し合いになる前に私は「薬の副作用による眼瞼痙攣の発症」を15分でお話します。

ーーーあらすじーーー
 デパス(チアノジアゼパム)を常用すると薬剤性眼瞼痙攣になることが有ります。精神薬理学では、遅発性ジスキネジアという言葉で呼ばれる現象です。

50歳過ぎではなくて、20歳から30歳代で発症する眼瞼痙攣の多くはそのようなものだと思います。そのような患者群には1)眠り薬を処方されて、あるいは自分で勝手に飲んでいる人、そして2)統合失調症等に対してその治療の一環でベンゾジアゼピン系の精神安定剤を処方されている方が含まれています。どうも、実際に調べてみますと、べンゾジアゼピン系の薬剤ばかりでもないのですが、話を単純にして今日は話してみましょう。

薬剤性眼瞼痙攣に出会った場合、私たちの対応としては、基本的にはそれまでに投与されているすべての向精神薬を減量していただく様に処方を出している精神科医や心療内科医に手紙でお願いします。しかし、協力いただける場合と減量は無理ですと言う返事を戴く場合が有ります。

内科医等が不眠を訴える患者に漫然とデパスを処方しているようなケースではその対応が難しいです。それは、一か月以上もデパスを飲み続けると、患者さんの体が内服のデパスがなくては生きていられないようになる、つまり依存性を持ってしまうからです。

この依存性とはどういうことなのでしょうか?脳の中には興奮性の神経伝達系とともに抑制性の神経伝達系というものが有ります。その抑制性の神経伝達のもっとも代表的なものが中枢性ベンゾジアゼピン系と呼ばれるシステムです。

この神経受容体は2つの受容体が複合されていて、ナトリウムの細胞内外の通過を制御神経細胞の興奮性をコントロールしています。それはGABA-A(ギャバエー)受容体2個とべンゾジアゼピン受容体2個がそれぞれくっついた4量体で存在すると言われています。

眼瞼痙攣では、このベンゾジアゼピン系の受容体の密度低下(不足)が見られるのので、ベンゾジアゼピン(薬でいえばデパスやリボトリールです)を投与すると、眼瞼痙攣の症状を一時的に抑えることが出来ます。

しかし、これらを与え続けると、体がベンゾジアゼピン系の受容体を減らすことで元のバランスに戻そうとするので、やがてベンゾジアゼピン受容体は更に不足して、病気の症状が更に悪化するということになります。

さて、向精神薬の減量がうまくゆけば、半年とか一年後には眼瞼痙攣が弱まったり止められたり出来る場合が有ります。しかし、中止したからと言って明日から眼瞼痙攣が止まるほどこの副作用は甘いものではありません。

精神科でベンゾジアゼピンが処方されていて、精神科医がこの精神科の薬は統合失調症のコントロールにははずせません、という場合にはボトックスの投与量を倍くらいまで増やします。不完全ながらもそれで、眼瞼痙攣は何とかコントロールできる場合が多いのです。

注意しておきますが、精神科の先生に無断で精神安定剤やデパスなどの服用を急に止めると禁断症状が起きて明け方に救急車を呼ぶようなことになりますのでご注意ください。

よく、それでは眠剤を何に変えたらよいのですか?と聞かれますが、基本的に眠り薬ならなんでも駄目、つまり代替出来るもるものはなしと言うのが基本的な私の答えです。

 しかし、何かないかというひとには、エスエス製薬の「ドリエル」などは試せるかもしれません。若倉先生が以前この会で紹介したのはこの薬です。

 通常、睡眠薬は医師の処方なしでは入手することができませんが、薬局・薬店で購入できるものに「睡眠改善薬」というものがあります。日本で初めて、エスエス製薬の「ドリエル」が不眠に対する効能があるとして、OTC薬(薬局・薬店で購入できる薬)として認められました。

ドリエル以降、各製薬会社から類似の製品が販売開始となりましたが、これらは「睡眠改善薬」と呼ばれ、医師の処方なしでは入手することができない睡眠薬とは区別されています。

睡眠改善薬は、一時的な不眠を対象としていて、継続的な不眠症は対象にしていません。そのため、以下のような一時的な不眠の症状がある場合にのみ使用されます。

・ストレスが多く、寝つきが悪い
・気になることがあり、イライラしてなかなか寝つけない
・試験の前日や大事な仕事のある前日など、緊張してなかなか眠れない
・海外出張などの時差ぼけで眠れない
・旅行など普段と違った環境であるため寝つきが悪い
・不規則な生活が元で眠れない
・いったんは眠れても、途中で目が覚めてしまう
・眠りが浅い
・朝、スッキリと起きられない

そのようなものには、
・エスエス製薬  「ドリエル」、「ドリエルEX」
・グラクソ・スミスクライン  「ナイトール」
・大正製薬  「ネオデイ」
・サトウ製薬  「マイレスト」そのほかが有ります。

これらの睡眠改善薬は、すべてが主な成分として中枢作用の強い抗ヒスタミン剤である「塩酸ジフェンヒドラミン」が配合されています。塩酸ジフェンヒドラミンは、皮膚のかゆみを鎮める、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を抑える目的で広く使われていますが、服用により眠気を催すという副作用があります。

つまり、睡眠改善薬は、塩酸ジフェンヒドラミンの持つ催眠作用を利用してつくられているのです。

上記の睡眠改善薬は、錠剤タイプ・カプセルタイプ、1回1錠・2錠などの違いはありますが、すべて1回あたりの塩酸ジフェンヒドラミンは50mgと共通です。そのため、期待される効果・効能の面では、ほとんど同じといってよいようです。

球のお話はこの程度といたしましょう。
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本日いただいた東海林さんからのメール。

清澤 源弘 先生

いつも大変お世話になっており有難うございます。
今月22日の患者交流会で患者同士の話し合いになる前に
お話をお願いできますでしょうか。
お話のテーマ「薬の副作用による発症」15分
参加申し込みの返信はがきに話し合い希望が多くあったテーマです。
〈スライドを使用する時間は、取れないと思います)
若倉先生には、「ボトックス注射の効果と副作用」をお願い致します。
なお、昨日までの参加申し込みは、140人ほどになっております。

どうぞよろしくお願いたします。

「眼瞼・顔面けいれん友の会」 東海林雅子
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秋の患者友の会は、会員同士が10人くらいのテーブルに分かれて、お互いの思うところを話し合うというのが会の進行の基本にされているようです。ですから、私や若倉先生の話は伸びないようにしましょう。当日は単語を聞き落としてもよいように、上に書きましたあらすじ程度の短いハンドアウトを用意しようと思います。

では当日会場でお目にかかりましょう。

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