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2011年9月28日

2646 レーシック術後感染症事件の判決が出ました

lasik
眼科医にとっては話題にもしたくない事件でしたが、レーシック術後感染症事件の判決が出ました。事件は昨日のことのように思い出されますが、もう3年も経ったリーマンショックの頃のことだったのですね。

 感染症で角膜感染を起こした患者数は7名。滅菌機器が正常に働いていなかったとすればその期間に恐らく行われたであろう多数の手術数に対しては、良くこれだけの数で済んだ物だともいえるかもしれません。噂ですが、原因菌は通常では見られぬような種類のもの(抗酸菌)であったとも聞きました。

 被告が「多額の負債を抱え、器具の丁寧な洗浄を省いて手術数を増やそうとした事情があったとも指摘」されるというのは誠に宜しくありません。医師の常識として、術後感染症が出たらどこに原因が有るのかを考えるため、その後の手術はすべて中止して、あらゆる原因の可能性を検討すべきだったのでしょう。

 新しい治療技術が開発され、普及してゆくことに私は反対するわけではありませんが、レーシック近視矯正手術に関しては、私は常に懐疑的です。(⇒以前記載した2009年08月05日971 レーシックは安全な近視矯正手段か?その合併症は?という記事にリンク)この様な感染症の発生というのは、手術技術以前の問題であり、レーシックという技術の可否は別の問題です。

しかし、新しい手術法で稼ぐ事を目的として宣伝をする陣営が多数いる半面、敢えてお節介にもその人々を敵に回してまで、その手技に懐疑的な自分の得にもならぬ意見を述べる医師はほとんどいないというのが現状です。

レーシック手術は実際には95%の患者さんが満足して手術を終わっているとされていて、この頻度は白内障、緑内障、それに網膜剥離手術の術後満足度よりも多いくらいです。しかし、術後のドライアイや遠視化に伴う極度の眼精疲労などで苦しむことになった5%の場合には、その結果は悲惨です。白内障や網膜剥離のようにその手術を受けなければ基本的に物が見えなくなるという状況から出発してはいませんから、不満足な結果となってしまった場合には、心理的にもその不利な結果を甘んじて受容するのはなかなか困難です。

患者は手術を受けた診療所でも納得できる治療が受けられず、「レーシック難民」として治療を求めて市中のあらゆる医師を訪ねまわる事さえもあります。時には職務に集中することが出来ず、気分に変調をきたして、やがては職を失う様なケースさえもあります。

というわけで私は、その辺りの現状も勘案して、この手の手術を敢えて受けようという患者さんにおかれましては、手術を施行する医療機関以外の医師の意見ももう一度聞いてから手術を受けることを決められることをお勧めいたします。

ーーー本日のニュースの採録ーーーー
レーシック手術裁判:元院長に禁錮2年の判決 東京地裁
 近視矯正のレーシック手術の際、衛生管理を怠って患者に感染症を発症させたとして業務上過失傷害罪に問われた銀座眼科(東京都中央区、閉鎖)の元院長、溝口朝雄(ともお)被告(49)に、東京地裁は28日、禁錮2年(求刑・禁錮3年)の判決を言い渡した。近藤宏子裁判官は「医療器具の滅菌など基本的な注意義務を怠った過失は大きく、被害者は人生を狂わされた」と述べた。

 判決によると、溝口被告は08年9月~09年1月、患者7人への手術で感染症を引き起こし、7人には不正乱視など後遺症が出た。溝口被告は多額の負債を抱え、器具の丁寧な洗浄を省いて手術数を増やそうとした事情があったとも指摘した。

 ◇
 東京都内の30代女性会社員は「被害者参加制度」に基づき、法廷で溝口被告に直接質問し、意見陳述で裁判官に被害を訴えた。

 銀座眼科でレーシック手術を受けたのは09年1月。Tシャツ姿の男性が助手をしており「衛生的に大丈夫か」と不安がよぎった。

 数日後、左まぶたに異物感を覚えた。角膜が白く濁り痛みも出始め、左目の視界がすべて曇っていた。診察に誠意が感じられず、やむなく大学病院で治療を受けたが、不正乱視や角膜混濁などの後遺症が残った。光がまぶしく、室内でサングラスが必要なこともある。仕事は服飾関係で縫製やデザインなど細かい作業も多い。「効率が落ちた」と感じる。

 女性は「被告の行為は実質的に故意だった」と思う。厚生労働省に医師免許取り消しを求めており、「謝罪の気持ちがあるなら、被告は免許を返上してほしい」と訴える。【野口由紀、和田武士】

毎日新聞 2011年9月28日 21時08分(最終更新 9月28日 21時11分)
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