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2011年8月1日

2486 白内障手術中に角膜を潤すには粘弾性物質と生理食塩水とどちらが良いか?

白内障手術中の光学的角膜透明性を維持する為の粘弾性潤滑剤と緩衝塩類溶液の比較

Chen YA, Hirnschall N, Findl O、白内障と屈折矯正手術雑誌 (2011年7月)

目的: 白内障手術中における緩衝塩類溶液(BSS)と粘弾性潤滑剤による角膜の湿潤効果を比較する事を目的とした。

設定: ウィーン眼手術研究所、Hanusch病院、ウィーン、オーストリア

デザイン: 前向きの無作為化された研究。

方法: この対象者が無作為化され、術者も隠されたた研究が白内障手術の計画されていた患者に対して行われました。患者は、BSSかヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC)2%ゲルのどちらかを手術中に使われるように無作為に選ばれました。 フルオレセイン染色、手術中の角膜透明度、水かけの頻度、患者の主観的な不快感の等級付け、そして、患者の自覚的な感想の程度が評価されました。

結果: 97人の患者(平均73.6歳、53から87歳)の101眼が研究に含まれました。フルオレセイン染色の程度の平均値は、BSSグループが9.46±3.64(SD)で、HPMC2%群では9.76±3.27(SD)で(P=.67)有意差なし。 手術中の光学的な透明度の中央値は、BSS群が2.0、HPMC2%液群は1.0で、その差は統計的に有意(P=.03)でした。BSSの散水頻度は、HPMC2%液の平均塗布頻度の1回より10倍高く、これも統計的に有意(P<.001)でした。 結論: 白内障手術中のヒドロキシプロピル・メチルセルロース2%液の角膜への塗布は、BSS散水よりもかなり良い角膜の光学的透明性を与えた。 頻回の散水も必要ではなく、2%HPMC液塗布は術者によりはっきりした術野を見せた。またHPMC2%液の使用では局所麻酔下での患者自身にも心地いものであった。この方法は、より簡単で、より安全な手術手技で有るということが出来る。 経済的関心情報の開示: どの著者も、いかなる材料や方法への経済的的な関心を持ってはいない。 ーーーーーーーーー 清澤のコメント:この方法で角膜を湿潤させて白内障手術を行う術者の手術を清澤も実際に拝見させて戴いた事があります。人工水晶体を入れる前に前房に入れるために用意されているヒーロンを手術の冒頭に角膜上に置くだけですから、余分な費用もかかりませんし、実際には至って簡単な手技です。 この方法で行うならば、白内障手術に助手は要らないということになるでしょう。もし、術中に生理食塩水をレジデントに掛けさせる意味があるとするならば、注意を集中させて手術に協力させることで、より良い教育的な手術手技習得の機会を与えているということだけなのかもしれません。

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