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2011年7月16日

2443 綿花状白斑 cotton wool spots、軟性白斑 soft exudates、cytoid body

 網膜に白くてその境界がややぼやけていて扁平な病変、つまり軟性白斑(綿花状白斑)
を持った患者さんが当医院にもしばしばやってきます。綿花状白斑の本態は前毛細血管細動脈が閉塞したことによる神経線維層の限局性虚血で、蛍光眼底撮影では暗く写ります。

 今日は、最近気が付いたという片眼に感じられた多少の飛蚊症を主訴に受診した20代の女性の患者さんの眼底に、2つの独立した白斑だけが見つかりました。

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 この原因は何であるかを考えてみることにしましょう。

 下に示すのが綿花状白斑を来たすことがある疾患のリストです。

 この部分には眼底に見える網膜に綿花状の白斑を示すことのある疾患と病態のすべてを示しています。

1、•糖尿病網膜症Diabetic retinopathy
•糖尿病網膜症: 糖尿病網膜症は糖尿病において最も普遍的に眼に現れる変化で、米国では最も多い成人での失明原因です。この疾患は網膜の血管の変化で起きます。
•糖尿病において起きる網膜の変化は、網膜の小さな動脈瘤、滲出物(ここで問題にしている軟性白斑を含む)、出血、そして時には新生血管を示します。血糖やヘモグロビンA1(ヘモグロビンエーワン)が高ければこの糖尿病を考えます。眼底は、蛍光眼底撮影まで行えば、この疾患なら網膜の毛細血管床が閉塞した無還流域が検出されるでしょう。病変の広がりや、無還流域および新生血管の状態によっては光凝固がなされます。

2、•エイズHIV-1 disease
HIV-1というのはヒトに免疫不全を起こすウイルスの感染症つまりエイズのことです。HIV-1に感染したからと言って必ず肺炎などの重篤な症状を起こすわけではなくて、比較的長い無症状の時期があります。この期間から網膜には白斑が出ることがあるとされています。エイズには重症で視力喪失を来たすサイトメガロ網膜症が知られていますが、白斑はこのサイトメガロ網膜症の始まりというわけではありません。疑うならば採血で抗体や抗原を調べることが出来ます。

3、•高血圧性網膜症 Hypertensive retinopathy
高血圧網膜症とは、高血圧が原因で網膜に損傷が生じる病気です。
高血圧症などで血圧が高くなると、網膜が損傷を受けることがあります。軽度の高血圧であっても、長い間治療しないでいると網膜の血管が損傷を受けます。高血圧によって網膜の毛細血管が損傷を受けると、血管の壁が厚くなり、そのため血管の内径が狭くなって、網膜への血液の供給が悪くなります。網膜のうち血液の供給が不足した部分だけに、小さな島状に損傷が生じることがあります。高血圧網膜症が進行すると網膜の中に血液がにじみ出ることもあり、このような状態になると視力は徐々に低下します。特に網膜の中心部にある黄斑でこれが起こると、視力の低下が進みます。

「高血圧眼底」の所見に加えて、網膜そのものにも異常が起きている場合は、「高血圧網膜症」と診断されます。網膜の異常とは、血管の壁から血液や血液成分が染み出してできる出血斑・滲出斑〈しんしゅつはん〉、血流が不足している所にできる軟性白斑、血管から漏れ出た血液成分が網膜内に溜まって起きる網膜浮腫などのことです。
(詳しくはhttp://www.skk-health.net/me/04/index.html等をごらんください。)
高血圧は内科で治療がなされます。眼科では眼底を評価し、必要な治療があれば行います。

4、•Lupus erythematousと•Systemic lupus erythematosus
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全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡、羅: systemic lupus erythematosus; SLE)は、全身の臓器に原因不明な炎症が起こる、自己免疫疾患の一種です。膠原病の1つとして分類されています。全身性は文字通り体中どこにでも症状が起こることを意味し、エリテマトーデスは紅斑(エリテマ)症を意味していて、本疾患に特徴的に生じる皮疹に由来すしています。英語の病名中にあるlupusはラテン語で狼の意であり、「狼に噛まれたような」と称されるSLEの皮膚症状より名づけられたものです。
その眼底所見には 綿花様白斑 cotton-wool spotsが知られており、 網膜の細動脈が閉塞して生じた網膜梗塞が基盤にあります。この治療も膠原病内科に依頼します。
そのほかのぶどう膜炎でも、網膜脈絡膜の炎症に伴って網膜神経線維層に微小な梗塞を生じ、綿花状白斑を生じることは少なくないでしょう。

5、自己抗体 (抗リン脂質抗体 lupus anticoagulant,LAC や抗カルジオリピン抗体)を持つ抗リン脂質抗体症候群 antiphospholipid syndrome, APS も鑑別に加えてもよさそうです。習慣性流産等の病歴を持つこともあり、それを疑うならば上記の抗体を血液中で探して診断します。
以前、この病態は394a 抗リン脂質抗体症候群に伴う眼症状(リンク)に解説しました。

6、•眼虚血症候群 Ocular ischemic syndrome
眼虚血症候群は眼球への血流がひどく低下した結果見られる状態です。一過性視力障害(Amaurosis fugax) は起こりかけている脳卒中を警告する症状で有るかもしれないという様な一時的に視力が低下する症状で眼球への血流の低下で起こります。
この状態は眼球への血流低下で起きますが、
患者は耐えがたい眼球の痛みを訴えます。瞳孔を開いての眼底検査では、点状のしみだし出血が拡張して数珠状になった網膜静脈を伴って見られます。
眼還流圧は低下しています。角膜は浮腫状で線条を示します。軽い前部ぶどう膜炎を示すこともあります。黄斑部にサクランボ状に赤い斑点が見えることがあって、他の部分には綿花状白斑も見られます。この綿花状白斑は網膜神経線維層の出血によるものです。網膜動脈は自然に拍動しているのが見られることもあります。

7、•プルチャー網膜症 Purtscher’s retinopathy
交通事故や家屋の倒壊などで胸部を強く圧迫されるような状態に遭遇した患者に見られることがある病変で、網膜に複数の微細な脂肪塞栓が起きるというものです。

8、•脊髄病変Spinal cord injury
敢えて脊髄外傷を白斑の原因に挙げるのが正当かどうかには疑問がありますが、或るページにはそれが白斑の原因として挙げられています。外傷では、骨髄の脂肪状の組織が血液に混入して微小な脂肪塞栓を起こす場合があるもようです。

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