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2011年7月9日

2419 空白の戦記(吉村昭)を読みました

空白の戦記
今回も日本橋丸善で新しく出た平積み本の中から買ってきました。発売日は1981/04ですが、平成23年6月5日第30刷の名作です。

さて、今回の空白の戦記は第2次大戦前から大戦に掛けての場面に取材した6つの作品を集めた本で、或る物はノンフィクションそしてあるものはフィクションであるとされています。 本書の内容は、日本のおもての歴史には残されなかったような戦争にからむ事件を題材にした短編集です。

まずは、闇に葬られた軍艦事故の恐るべき真相「艦首切断」です。
これは第四艦隊事件とも呼ばれるもので、新鋭の軍艦「初雪」と「夕霧」の艦橋直前から先が折れるという事故のはなしです。台風に突っ込んだ赤軍の艦隊は 巨大な三角波に船体を強打され、駆逐艦「睦月」は艦橋が圧壊しました。それまでの時代の鉄板をリベットで固定していた工法がこの時代から溶接に変わったことで強度が不足したのだと解説していました。

この「艦首切断」のほか、「顛覆」「敵前逃亡」「最後の特攻機」「太陽を見たい」「軍艦と少年」の六編を収録していますが、いずれも読みごたえのある作品です。

この本の著者の吉村昭氏は、第二次大戦頃の時代を得意とする戦記物等で知られる作家です。アマゾンの著者紹介を見ますと、吉村 昭は、”1927(昭和2)年、東京日暮里生れ。’66年『星への旅』で太宰治賞を受賞。その後、ドキュメント作品に新境地を拓き、『戦艦武蔵』等で菊池寛賞を受賞。周到な取材と緻密な構成には定評がある。主な作品に、『破獄』(読売文学賞)、『冷い夏、熱い夏』(毎日芸術賞)、『天狗争乱』(大仏次郎賞)等がある”、とされていますが、2006年7月31日すでに物故されたようです。

すでにこのブログで紹介した”深海の使者”の著者でもあります。これは第二次大戦時、杜絶状態にあった日本とドイツをつなぐ新連絡路をひらくため、数次にわたって大西洋に進攻した日本の潜水艦の、いきずまる苦闘を描いたものでした。

また、これも先日紹介しました、関東大震災当時の状況を克明に記載した関東大震災の著者でもあります。関東大震災は、”大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく―。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。”と紹介されています。逃がし日本大震災後の日本を考える良い資料です。

次は三陸大津波を書いた本を読みましょうか?それとも高熱隧道にしましょうか?それとも戦艦武蔵でしょうか?この作家の作品は、まだまだ多数あります。

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