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2011年6月20日

2362 眼科を訪れる一過性視力低下(一過性黒内障)、一過性脳虚血発作について

数分間だけ片方の眼の視力が下がり、そのあと回復して、視野の欠損さえも残さない。そんな症状を眼科では一過性視力低下とか一過性黒内障と呼びます。英語ではAmaurosis Fugaxアマユローシス・フューガクスです。

590_593_1その眼底は多くの場合には正常ですが、時にはこのように白色のホーレンホーストプラークと呼ばれる白点が網膜血管内に見られたり、もう少し激しいと網膜動脈分枝閉塞症が見られたりすることもあります。

MMHE_06_086_03_eps そんな患者さんが来院しますと眼科ではまず内頸動脈と外頸動脈分岐部付近のアテローマ(粥状動脈硬化症)の存在を疑って、脳のMRIとともにMRA撮影をMRIの機械を持っている町の放射線科診療所に依頼します。持続的に血栓が飛んでいるならば、MRIやCTに脳梗塞や散在性ラクナ梗塞が有るかもしれません。
inf_ct(散在するラクナ梗塞:http://www1.ocn.ne.jp/~benkc/e-yougo.html)

M1750335-Atheroma_plaque,_doppler_ultrasound-SPL
 そして、必要があればさらに大学の血管外科に対して頸動脈の超音波ドップラー検査を依頼します。内頸動脈のアテローマはその状面が潰瘍化しやすく、そこに生じる壁在血栓を持続的に産生し、それが頸動脈血管内に流れて飛べば、一過性視力障害の原因になります。血管外科ではアテローマがある程度よりも強ければ血栓の除去をしてくれるかもしれません。
心臓内刺激伝達系
(http://www.heartandaf.com/blog/より借用、不整脈は興奮伝達系の問題です。)
 もう一つの血栓の飛散を起こす場所は心臓です。心臓に心房細動などの不整脈が有りますと、心臓内に血栓が形成され、大動脈に向かって間歇的に血栓を放出します。この飛散した血栓も一過性視力低下の原因になります。というわけで、一過性視力低下の患者さんが眼科を受診した場合には心電図を直ちに依頼し、そこに異常があれば、不整脈の治療と可能性のある抗凝固療法を求めて循環器内科に患者さんを直ちに紹介をしなくてはなりません。

眼科、殊に神経眼科を専門にする医師は何があれば誰に患者さんを渡すのかを予め考えておかなくてはなりません。

このあたりの事情を説明した妥当な新聞記事が最近のネットに出ていますので引用して紹介いたします。(清澤 記載)

ーーーー引用開始ーーーー
人間ドックの上手な受け方
(2)脳卒中予防 ポイントは首の動脈

私が医学生のころは、頭の中はブラックボックスと言われ、何も分からなかったものです。しかし、CTができ、MRIができ、今では正確に詳しく脳の中が分かるようになりました。

 それでも脳梗塞(こうそく)の原因で、意外と盲点になっているのは頚動脈という首にある血管です。頚動脈は首の上の方で2つに分かれまして、その一つが内頚動脈となり脳の大部分に血液を送ります。この分岐部分や前後に動脈硬化がよく起こります。その結果、そこに血の塊ができて、その場で血管が詰まったり、血の塊が脳血管に飛んでいったりします。小さな血の塊の時には、2つのことが起こります。

 1つは、最初の枝が眼動脈といって目に行きますので、突然片目だけが真っ暗になって見えなくなります。症状が出て5分から10分ほど経つと目が見えるようになるので、今のは一体何だったんだろうと、そのまま医者に行かないことがよくあります。

 もう1つは、その先の脳血管に行き、半身がしびれたり、ちょっと手足に力が入らなくなったり、もつれたりします。しかし、5分、10分、多くは1時間以内にすっかり治ってしまうことがあります。このように一時的な脳の症状が出て、すぐ消えてしまうのが「一過性脳虚血発作」と言われます。これは実はこれはとても危険なことなのです。

 これが起きた場合、早い人はその日のうちに、または1週間から1か月ぐらいで大きな血の塊、血栓がはがれ脳血管を詰めて本当の脳梗塞になってしまう危険があります。非常に早い時期の症状なので、これを覚えておいてください。すぐに医師が予防薬を投与することで脳梗塞にならないですむのです。皆さんやみなさんの周りでこのような症状、エピソードが起きた人がいたら、すぐに医者に行きなさいとアドバイスしてあげて下さい。

早期に予防治療を 
以前は、私ども医者の間でも、一過性脳虚血から脳梗塞に進むのを防ぐ予防はゆっくり検査して治療していこうという感じだったのですが、ここ数年では、一刻も早く治療をしないと脳梗塞になってしまうことがわかり、強調されてきました。早期に予防の治療をしなければいけないと、脳卒中専門家の認識が変わってきました。
 頸動脈がそこで詰まってしまったり、その先へ血の塊が飛んでいったりすると、脳梗塞の原因になります。このため、首の血管の病変、動脈硬化をいち早く見つけるということは大事なことなんです。

 検査は首に超音波の機械をあてて行います。首の血管の状況がモニターに見えてきます。程度のひどい動脈硬化があれば血管の内側に血管の壁から山のように動脈硬化の場所が盛り上がるので、異常は簡単に分かります。これは動脈硬化の巣、プラークと呼ばれます。この状態をいち早く見つけ出すことが大事なことです。

 今では、多くのドック施設で頸動脈超音波検査が受けられるようになっています。特に45歳以上になったら必ずこの検査を受けてください。

 頸動脈などに進んだプラークを見つけると、脳梗塞の予防に、抗血小板剤を使ったり、内膜を剥離する手術をしたりする必要が出てきます。ステントと言う金属を入れて血管を広げる手術もできるようになりました。脳梗塞の予防治療はこのように進んできています。

大切な血圧コントロール 
脳血管疾患の危険因子として、高血圧があります。

 1955年ごろから、高血圧の薬が出てきて、血圧をコントロール出来るようになってきました。さらに高血圧を引き起こす塩分の摂取を控えるキャンペーンが行われ、脳卒中、特に脳出血がだんだん減少してきました。現在では、高血圧による脳出血は脳梗塞に比べ発生がかなり低くなりました。

 しかし、高血圧の人の中には、血圧の薬を飲みはじめると「一生だ」と考えて、飲まない人がいます。このような人は、多くは朝から非常に早起きで、バリバリ仕事をしている元気な方ばかり。元気なのにどうしてこれが悪いのかと、そのまま過ごし、あるときに突然にまひなどで倒れ、脳出血だった、ということが今でもあります。

 脳梗塞に関しては、脳出血と違い、動脈硬化がそのもとになっています。この原因には高血圧はあまり関係がないと思いがちです。しかし、脳梗塞においても、高血圧が最大の原因になっていることが分かっています。高血圧の放置は、脳梗塞、脳出血のどちらも引き起こす要因となります。

 高血圧を放置することは、命取りにつながるのです。

心房細動 放置しないで 
もう1つ、高血圧によく似て、みなさんが放置してしまいがちなのが心房細動です。これは心電図をとればすぐに分かります。心房細動は何も症状がないことが多く、5年も10年も心房細動と言われているよ、という方もよくいらっしゃいます。

 この心房細動は非常に危険で、心臓の中に血液の塊を作りやすいんですね。この心臓の中に出来た血の塊が頸動脈をへて脳の血管をふさぐと、脳塞栓を引き起こすわけです。

 この予防治療にはワーファリンの投与。これでぜんぜん違います。飲んでいない場合は年間100人あたり、4、5人の方が脳塞栓になりますが、投与で1人弱に減らすことができるのです。

 ※注:この4月からワーファリン以外ににも新しい薬が使えるようになりました。


 昨年11月、東京・赤坂の山王病院で開かれた天野隆弘・山王メディカルセンター院長による講演「人間ドックの上手な受け方」の内容を、詳しくお伝えしています。

(2011年6月16日 読売新聞)
ーーーー引用終了ーーーーーーーーーー

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