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2011年6月15日

2346 子供によく見られる目の感染症

子供によく見られる目の感染症

清澤眼科医院 院長、
東京医科歯科大学 臨床教授:

清澤源弘

今回は、学童の目の周りの感染症をご説明しましょう。
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1、流行性角結膜炎
学校に関連のある眼科の感染症と言えばまずはこの流行性角結膜炎を忘れることはできません。ウイルス性の流行性角結膜炎ではかゆみ、灼熱間、異物感を示し、しばしば流行性角結膜炎患者との接触歴が見られます。通常片眼に発症して、数日で他眼にも起こることがあります。診断の鍵は、下瞼の濾胞が必発なことで、水状で粘性のある眼脂、赤くて浮腫状の瞼、耳の前のリンパ節の腫脹、結膜下の小さな出血なども伴います。その確定診断には結膜擦過物を用いてアデノウイルスの抗原を調べるテストを行います。治療は、人工涙液、一日数回の冷湿布、かゆみが強ければ抗ヒスタミン剤点眼。偽膜も綿棒で取り除きます。必要なら局所ステロイドも使用します。発症10日位は感染しやすいので、他人との接触は眼が赤い間は避けさせます。頻繁な手洗いも必須。一週間で良い方向に向かうことが多いですが、視力が更に下がりその後にやっと回復する例もあります。この流行性角結膜炎および急性出血性結膜炎では幼稚園、小・中学校では、感染症を予防するため、感染した園児・児童・生徒に対して出席停止を行うことがあります。これは、学校保健法第12 条に基づき、幼稚園、学校での集団発生を防ぐとともに、健康の回復を図るためでの措置です。出席停止になった場合でも欠席扱いにはなりませんので、家庭でゆっくり休養させてください。登校再開には主治医の完治証明が必要です。

chalazion-819(霰粒腫)
2、麦粒腫と霰粒腫
次に目立つのが、麦粒腫と霰粒腫。まぶたの辺縁にあるマイボーム腺からは、涙が角膜上で乾燥するのを防ぎ、涙を長く角膜上に留まらせるために油性の液が分泌されています。この油の層は涙液の3層構造のもっとも表面をなす薄い層ですが、涙の水分蒸発を抑えて正常な涙液層を維持するにはぜひ必要なものです。このマイボーム腺の分泌が減ると、まずマーボーム腺の出口に汚れが見られるようになります。 また細菌などの感染が少し加わればチーズ様の異常な分泌液が自然にこのマイボーム腺開口部から湧き出すようになります。

hordeolum(麦粒腫)
この感染が著しくて、マイボーム腺やモル汗線などの中に膿がたまり、急性の発赤と痛みを伴うようになったのが麦粒腫です。治療としては成人では麻酔注射をして切開を行います。しかし、小児で局所麻酔での切開を患者さんが嫌がる場合には経口と局所の抗生剤を投与して自然に膿か吸収を待ちます。自宅では、入浴時の蒸しタオルでの湿潤と、石鹸での分泌管開口部の洗浄、それにその後のシャワーでの洗い流しを推奨し、その後に抗菌剤を点眼していただきます。
マイボーム腺が詰まって、無菌的な異物反応を起こすと、内部にゼリー状の肉芽を生じて、痛みと発赤を伴う散霰腫とよばれる腫れものを作ります。先の麦粒腫とこの散霰腫をあわせた物が、ものもらい、のめ、目乞食などと通称されるものです。

3、フリクテン性結膜炎と眼瞼縁炎:
フリクテン(結膜フリクテン)
フリクテン性結膜炎というのは、結膜にできる灰色または黄色を帯びた隆起性の病変で、それは角膜の縁あたりにできやすいものです。フリクテン性結膜炎の症状は角膜に接する結膜が部分的に充血し、異物感を訴えるもので、この症状は数日から2週間続きます。その様な病変の多くは角膜の右端か左端の結膜に起こります。数日もすると充血の中心が隆起してきます。これらの隆起はやがて潰瘍化しますが,瘢痕を残すことはなくやがて治癒します。点眼に反応して炎症が治っても、アレルギーの増悪に伴ってまた再発することがしばしばみられます。小児に好発しますが、成人でも珍しくはありません。フリクテンの本体は一種のアレルギーですが、その原因は、ブドウ球菌やクラミジア、結核菌、カビなどに対するアレルギーだと言われています。疲労やストレスなどが誘因になることも多いようです。人から人に感染することはありません。治療にはステロイド薬を抗生剤とともに点眼します。そうすると、普通は数日で症状が治まり充血と痛みがとれます。ステロイド点眼薬には炎症やアレルギーを抑える作用があり、炎症と局所の痛みを抑えます。点眼の目安は2週間くらい。また、抗菌点眼薬は細菌を殺菌しますが、アレルギーが細菌に対する反応で起きていると考えれば有効性が説明できます。
blepharitis(眼瞼炎)
フリクテン性結膜炎が眼瞼の炎症を伴う場合には,瞼を蒸しタオルで温めてから眼瞼の縁に石鹸を付けてこすり洗いし、十分な除菌をすると再発を抑えることができます。フリクテン性結膜炎に気づいたら、早めに眼科を受診してその診断を確定し、投薬をお求めください。

単純ヘルペス眼瞼皮膚炎(眼瞼単純ヘルペス)
4、眼瞼ヘルペス
眼瞼ヘルペスは単純ヘルペスウィルスによるものと帯状へルペスウイルスによるものとに分けられます。単純ヘルペスウィルスによるものは,熱性疾患など全身の抵抗力が低下した際に多く発症し,幼児,思春期の子どもによくみられます。数個の小水疱がまぶたにでき,ときに結膜濾胞を生じ,角膜へルペスや口唇ヘルペスも伴うことがあります。まぶたの小水疱は1~2週間で治ります。
帯状疱疹(三叉神経の第2枝の支配領域の帯状疱疹)
帯状へルペスウイルスによるものは三叉神経の第1枝の支配領域にはげしい頭痛とともに多数の小水疱ができます。まぶたに限らず,額や頭にもできますが,顔の右か左かどちらか半分にだけ出るのが特徴です。3~6週間で治りますが瘢痕が残ります。約40%に角膜へルペスが現われ,虹彩毛様体炎や強膜炎、眼筋麻痺などの合併症も伴うことがあります。

082_03(伝染性軟属腫)
5、伝染性軟属腫 俗にみずいぼと呼ばれるのが伝染性軟属腫で、軟属腫ウイルスの感染によりおこります。 体幹をはじめ、体の様々な部分にできる軟属腫の大きさは様々ですが、普通は3ミリ位で皮膚が少し盛り上がり、わずかに赤みを帯び、その中心にへそのようなくぼみがあります。軟属腫をつぶすと、中から白いチーズのようなものが出てきます。その中のウイルスが、他の場所につくと、しばらくしてまたそこに新しい軟属腫ができます。 このウイルスが、プールや入浴などで他のお子さんの皮膚につくとうつる事がありますが、その感染力は決して強いものではありません。軟属腫はそれ自体では、重い症状を示さず、また、しばらくすると伝染性軟属腫ウイルスに対する抗体ができてきて、自然になおる様で、成人にはほとんど見られません。
 治療にはウイルスに対する軟膏もあるのですが効きが遅くあまり用いられないようです。感染性の疾患であるにもかかわらず、軟属腫を1つずつ小さなピンセットでつまんで取リ、あとを消毒しておくのが一番確実な方法とされているようです。 皮膚科での早目の治療が望ましいでしょう。

6、眼の症状を伴う蓄膿症
14i-f1(右眼球突出、粘液のう胞)
鼻の中を鼻腔といいますが、その鼻腔はそれを取り囲む空気を含み粘膜で覆われた多数の空洞である副鼻腔に囲まれています。これらの副鼻腔は、それぞれが鼻腔に細い管状の部分でつながっていて、分泌される粘液が常に鼻腔に排出されています。手術後の瘢痕や鼻茸の成長などの理由で、副鼻腔の排出路がふさがれると、副鼻腔の中には粘膜分泌物である粘液が貯留し出口を求めて中の圧力が上がり粘液膿腫をつくります。そこに細菌の感染を合併して内容物が粘液から膿に変わったものを膿嚢胞と呼びますます。やがて、その一部は眼窩の骨を突き破って眼窩内に進展します。こうして眼窩脂肪に感染が波及したのが眼窩蜂窩織炎で、これは命にかかわる大変な感染症です。この蜂窩織炎は涙嚢炎が原因で起きることもあります。眼科で鼻に原因がある眼窩炎症が疑われる症例をみたら、直ちに耳鼻科に紹介せよということになっています。

まとめ
目に関連する感染症には、ウイルスや細菌による直接の感染症ばかりではなく、その菌体や毒素に対するめ根気反応によって引き起こされるものもあります。これらの感染症に対抗するには、目の周りをや手指を常に清潔に保つことが大事です。目の周りの感染症が疑われる生徒さんが折られましたら、眼科をはじめとする専門医に早急にご相談ください。

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