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2011年5月30日

2309 リポ蛋白の受容体関連タンパク質はアルツハイマー病の視神経症で減少しているという論文

低比重リポ蛋白の受容体関連タンパク質はアルツハイマー病の視神経症で減少している

Low-density lipoprotein receptor-related protein is decreased in optic neuropathy of Alzheimer disease;
Cuzzo LM, Ross-Cisneros FN, Yee KM, Wang MY, Sadun AA; Journal of Neuro-Ophthalmology 31 (2), 139-46 (Jun 2)

背景: アルツハイマー病(AD)は視神経萎縮をおこします。しかし、この病気の基本的な病態生理学と視神経の障害は不十分に理解されないままです。
脳から体循環にへのベータアミロイドの輸送を調節することによって、低比重リポ蛋白受容体関連タンパク質(LRP)はアルツハイマー病の発生に関係します。
中枢神経系損傷への反応における重要な部分として、アストロサイト(星状細胞)はアルツハイマー病の低比重リポ蛋白受容体関連タンパク質と共に働いています。 この研究ではアルツハイマー病の視神経症での病気の発生で低比重リポ蛋白の受容体関連タンパク質(LRP)と星状細胞の役割を検討します。

方法: アルツハイマー病視神経症の発生で低比重リポ蛋白の受容体関連のタンパク質(LRP)と星状細胞の役割を調査するため、低比重リポ蛋白の受容体関連のタンパク質(LRP)の存在を調べるために、アルツハイマー病患者の死後視神経(n=11)の免疫組織化学的検索を年齢を合わせた対照(n=10)で施行しました。
画像ソフトウェアを使用した量的分析を、低比重リポ蛋白受容体関連タンパク質(LRP)の分布を神経組織で記録するのに使用しました。
軸索の全体像は、神経フィラメント(NF)タンパク質抗体で対象の視神経に免疫組織学を実行することによって評価しました。
二重免疫蛍光が低比重リポ蛋白の受容体関連のタンパク質にグリアの繊維状の酸性タンパク質を発現しているアストロサイトと共存するかどうか見る目的で施行されました。

結果:
コントロールと比べて低比重リポ蛋白の受容体関連タンパク質の発現はアルツハイマー病の視神経で減少していました(P<0.001)。低比重リポ蛋白の受容体関連のタンパク質免疫反応性は、微小血管と星状細胞の突起に極めて接近している血管周囲組織に観測されました。 また、視神経中の星状細胞での低比重リポ蛋白の受容体関連のタンパク質の共局在が示されました。 コントロールと比べて、アルツハイマー病で視神経症が存在することは、神経フィラメント(NF)タンパク質に対する免疫染色が大幅に減少していることを示すことによって確認されました。 結論: アルツハイマー病における変性した視神経での低比重リポ蛋白の受容体関連タンパク質LRPの減少は、低比重リポ蛋白受容体関連タンパク質LRPがアルツハイマー病視神経症の病態生理学における何らかの役割を果たすという仮説を支持します。 ーーーーーーーーーーー 清澤のコメント:  この発表をまとめたサドゥーン博士らは古くからアルツハイマー病における視神経症を報告しています(1)。また視覚障害も分析しています(2)。  アルツハイマー病の患者の中には立体視や空間認知などが特に侵されているサブグループがあって、それらの患者では記憶の障害よりも視覚認知が優位に侵されている。またその脳での糖代謝低下は頭頂後頭接合部の視覚連合量の代謝低下に対応しているということを私清澤はボーズレーらとペンシルバニア大学のPETを使ったデータで示しました(3)。またアルツハイマー病で侵される成分は視覚誘発電位で見ればマグノセルラー系だったわけです。 今回の発表でサドゥーンらのグループはこの特徴的な視覚の障害が脳というよりもむしろ視神経障害によるということを示そうとしたようです。 確かにそうなのかもしれませんが、視覚連合領における脳細胞の変性も報告されているはずですから、アルツハイマー病のもっとも重要な変性が視神経なのか大脳皮質なのかの結論はもうしばらく様子を見てもよいかもしれません。  なおこのサドゥーン先生は、私が今医科歯科大学の神経眼科外来を一緒に診療してくださっている江本博文先生が最近まで留学して見えた教室の主催者で、臨床神経眼科と基礎視覚研究の両方に優れた指導力を発揮して、米国の神経眼科学界に強い影響力を持っておられる先生です。 1)Optic-nerve degeneration in Alzheimer's disease.Hinton DR, Sadun AA, Blanks JC, Miller CA.N Engl J Med. 1986 Aug 21;315(8):485-7.

2)Assessment of visual impairment in patients with Alzheimer’s disease.
Sadun AA, Borchert M, DeVita E, Hinton DR, Bassi CJ.Am J Ophthalmol. 1987 Aug 15;104(2):113-20.

3)Alzheimer’s disease with prominent visual symptoms. Clinical and metabolic evaluation.Kiyosawa M, Bosley TM, Chawluk J, Jamieson D, Schatz NJ, Savino PJ, Sergott RC, Reivich M, Alavi A.Ophthalmology. 1989 Jul;96(7):1077-85; discussion 1085-6.

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