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2011年5月25日

2291 新しい概念の医学雑誌PLoS ONE:をご存じですか?

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新しい概念の医学雑誌PLoS ONE:をご存じですか?

米国のスケペンス研究所ではiPS細胞を使ってラットの網膜再生の実験に成功したという記事が日本経済新聞社から昨日リリースされています。(この話題に興味のある方はこちらにどうぞ)

こういった記事を見ると、その話の真偽を確かめるために私は元の雑誌のページを確かめに行きます。

通常このような記事には、なんという雑誌の何月号にこういう記事が出たとか、どこそこの医学会でこれこれの発表があった、という書き方をするはずなのに、今回の記事にはその出典がまったく出ていませんでした。

そこでいろいろ探してみますと、スケペンス研究所のホームページにその本記事らしきものがありました。それによりますとPLoS ONE: (an inclusive, peer-reviewed, open-access resource from the PUBLIC LIBRARY OF SCIENCE)という雑誌の今月号に掲載されたということのようなのです。

この雑誌のどこが変なのでしょうか?それがPLoS ONEをごぞんじですか?という私の質問です。

“かたつむりは電子図書館の夢をみるか“というブログに面白い話が載っていました。
(PLoS ONE初のインパクトファクターは4.351:「これは福音か、それとも呪いか?」
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20100701/1278015869)これによりますと。

PLoS ONEは掲載料を著者が支払う代わりに読者はただで閲覧できる、いわゆる「著者支払い型」のオープンアクセス雑誌です。かつ、「研究手法と結果の解釈が科学的に妥当なものであれば、論文の中身の質は問わず採録する」という方針のもとに、スピーディな出版が行われる雑誌でもあります。質を問わない、と言っても手法や結果の妥当性は問われるので、要は研究の作法の部分がしっかりしていれば、結果が人目を引くようなものかどうかは問わない、というのがPLoS ONEの査読方針というわけです。その採択率はなんと7割とか。

従来の常識でいえば、つまらない論文まで何でも採択したら、その雑誌の格が下がってサルベージ雑誌になると思われそうですが、これが実際にはPLoS ONEの2009年のインパクトファクターには4.351という高い値が付いたのだそうです。これは自然科学系に収録された7,347誌の中でも585位と上位10%以内に入っているのだとか。Nature(IF34.48)、Science(IF31.052)、CELL(IF31.152)と言った超有名誌には及びませんが、眼科の雑誌にはまずないような高い値です。

インパクトファクターがすべてではないとは言いますが、たとえば教授選では、候補者が関連したすべての論文のインパクトファクターの総計というものが計算され評価されます。ですからサイエンスに共著の論文が一報あるというのは並の英文雑誌(IF2点程度)の15倍にも相当する威力があるわけです。

というわけで、私はもう論文のIFを競うことはないのですけれども、このようなオープンアクセスの雑誌が台頭してくることで、これからは後輩の皆さんが実験をしてからそれを投稿してもらうために投稿する雑誌の選定基準もずいぶん変わってくるだろうなーと思った次第です。

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