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2011年5月22日

2280 頑張れ東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター

本日の読売新聞では今回の東北関東大震災で東北地方の研究施設が大きな被害を被り、中でも青葉山地区に有る理工学関係のキャンパスの被害が大きいということを報じていました。サイクロトロンRIセンターもその存続に拘わる本質的な故障に直面しているようです。

もう20年も前ですが、眼科医の私が放射線核医学分野の教室に預けられて、学位を取得する研究をするのにお世話になったサイクロトロンRIセンターもその例外ではなかったようです。

センターではその中心的な機械である量子加速器が使えなくなってしまっているようです。東北大学サイクロトロンセンターのサイクロトロンはAVFというフランス製の大きなもので、私がいたころには住友重機械がその運用を担当していました。

このセンターの特色は物理や工学系の研究と並行して、18F(フッ素18)等の極短半減期の放射性元素を作り、それをセンター内のラボラトリ―で自動合成してポジトロンCT(PET)用の検査試薬を作って、新しい医学的な画像診断検査の開発を進めていることでした。

PET医学に使われる核種は半減期が短いのが特徴で、酸素15(15O:2分)、窒素13(13N:10分)、炭素11(11C:20分)、フッ素18(18F:110分)などがあります。そのため、投与直前にサイクロトロン等を用いて製造されるのです。当時は、必要な量子線の種類とエネルギー量(メガ電子ボルトで示される)、照射時間、それに量子線をうちつけるターゲットの設計図を付けて機械の使用申込書を数か月ごと提出していたものでした。

現在、医学用のポジトロン核種の製造には普通はベビーサイクロトロンというもっとずっと小さな室内に設置できる程度の装置で行われる時代となっています。

サイクロトロンという機械は上と下に分けられたD(ディー)と呼ばれる大きな電磁石によって磁場を作り、その中に投入されるイオンを加速して、標的となる原子にうちつけて希望する新しい原子を作るというものです。このD(ディー)型の電磁石は厳密に水平に設定されて、その間を飛行する荷電粒子が正確に同心円の軌道を描く様に設定されなくてはなりません。

その、軸がつぶれこんでしまったというのですから事態は容易ではなさそうです。(しかし環境汚染などの心配はなさそうです。)

サイクロトロンセンターのホームページを開いてみても、故障のため共同利用は一切中止ということしか書かれてはいませんでした。下記はそのセンターのページに有る機械の説明です。

AVF サイクロトロン( AVF CYCLOTRON )
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サイクロトロンの大きな特長は陽イオンと負イオン加速の二つの加速モードを持っていることです。陽イオンは半径930mm(K=130MeV)まで加速されてデフレクターを通って引き出され、一方負の陽子並びに重陽子イオンは半径980mm (K=50MeV)に置かれた炭素薄膜を通過し、電子をはぎ取られて引き出されます。陽 イオンビームは二極電磁石に写真はイオン源室とECR イオン源よって運動量分析され、更にビームエミッタンス測定装置でビーム輸送系との整合性をデフレクターの調整などで計った後に実験サイトまで輸送されます。大電流の負イオンビームには運動量収差の無い輸送系が用意されています。ビーム輸送系にも工夫が施され、数秒単位の交流を二極電磁石に印可しビームを3コースまでタイムシェアリング出来るようになっています。ロングランの物理実験の合間にRI 製造を同時に行ったり、複数の長時間実験を平行に走らせることが可能です。

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清澤のコメント:私が主任教授の水野勝義先生に言いつけられてPETの眼科的応用の研究を始めるため松澤太樹教授の研究室に通わせてもらう様になったのは昭和56年でした。
世界で初めてフルオロデオキシグルコースを合成することに成功した井戸達夫先生が帰国しサイクロセンターの放射性薬剤の教授に就任されたばかりでした。

よその教室員が潜り込んだ訳ですけれど、その頃のこの研究室はまさに梁山泊を想わせるものでありました。時代に立ち会うというのはこういうことなのですね。

その頃の歴史は松澤大樹先生のオフィシャル頁に詳しく書いてあります。
http://www2.ocn.ne.jp/~taijudr/pet1.htm
良かったらご覧ください。

なお、その数年前に米国のブルックヘブンで井戸達夫先生が世界で初めて合成したFDGは(消滅しない最短時間で)セスナでニューヨークを飛び越えて、フィラデルフィアのペンシルバニア大学に運ばれ、そこでライビッチ教授のもとで初めての人の脳の糖代謝の測定に使われています。

M Reivich, D Kuhl, AP Wolf, J Greenberg, M Phelps, T Ido, V Casella, J Fowler, E Hoffman, A Alavi, P Som and L Sokoloff. The 18F-fluorodeoxyglucose method for the measurement of local cerebral glucose utilization in man. Circ. Research 44, 127-137 (1979).

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