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2011年5月11日

2256 病原性大腸菌O-157感染重症患者にみられた網膜出血と綿花様白斑::中尾雄三

病原性大腸菌O-157感染重症患者にみられた網膜出血と綿花様白斑
Retinal hemorrhage and cotton-wool patches observed in serious patient infected with pathogenic E. coli O-157.

中尾雄三, 丸山耕一, 大鳥利文 (近畿大)

週刊日本医事新報 No.3774, Page23-24 (1996.08.24)

抄録:病原性大腸菌O-157の感染による溶血性尿毒症症候群では,Vero毒素のために腎臓や脳の微小血管と同様,毛細血管にも高い頻度で異常が生じるものと思われる。今回の対象例では視機能異常をきたさなかったが,糖尿病性網膜症,網膜中心静脈閉塞症,ぶどう膜炎などの眼底血管病変を有する患者がO-157に感染し重症化した場合,眼底血管病変が更に増悪する危険性が予測される。感染が全国的に拡大する傾向がみられる今,O-157感染重症患者,特に溶血性尿毒症症候群患者の眼底検査や神経眼科的検査の必要がある

清澤のコメント:
病原性大腸菌O-157の感染による溶血性尿毒症症候群では,Vero毒素のために腎臓や脳の微小血管と同様,毛細血管にも高い頻度(40%)で異常が生じるという報告です。

病原性大腸菌感染症での網膜病変の報告がないという私の先の記事は誤りでした。
(先の記事2227 溶血性尿毒症症候群にリンク)

以下に本文の重要部分の抜粋とJPEGを置きます;
4. 眼科所見
 病原性大腸菌O-157感染重症患者における眼科所見についての報告は未だない。
堺市での病原性大腸菌O-157による食中毒で、近畿大学医学部附属病院、ベルランド総合病院、泉北記念病院、温心会病院に入院している重症患者について眼科検査を行った。対象は46人。
全例46人とも視力低下などを自覚することはなく、眼科検査では視力、中心フリッカー値、色覚検査に異常を認めなかった。前眼部や中間透光体にも異常所見はなかった。
 眼科検査の結果のうち最も注目すべきは眼底所見で、8人(いずれも溶血性尿毒症症候群またはその疑いの幼児と小学生)の眼底の視神経乳頭周囲の網膜表層に、火焔状ないしは線状の出血がみられ、また同様の部位に綿花様白斑もみられた。病原性大腸炎O-157Vero毒素が毛細血管の血管内皮細胞にも障害を与え、毛細血管閉塞により綿花様白斑を生じ、破綻により火焔状ないしは綿状出血を生じたのであろう。まだ不明な点も多いが、これらの出血や白斑の出現機序としてはVero毒素による直接の血管内皮細胞障害が第一義的な要因であり、血小板減少や疑集能の亢進がそれを修飾するのであろう。出血・白斑は何ら視機能に影響はなく、治療による全身状態の改善とともに約2週間で自然に消退した。その他にも7人に視神経乳頭の発赤と混濁、眼底後極部のvascular arcade に沿った網膜の異常反射がみられた。その他に、瞳孔が散大し瞳孔径に左右差のある瞳孔不同は二人にみられた。視神経症状発現機序については、脳血管障害の他に中枢神経の神経細胞やミエリン鞘へのVero毒素の直接毒性による障害が原因との考えもある。
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