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2011年5月1日

2224 「東京電力救済案の本当の意図 」という記事が出ています。

東京電力は、想定を超えた天災によるものであるから賠償責任はないという事を損害賠償訴訟への会社側の意見書でも、また国会における社長答弁でも述べ、社会からの大変な不興を買っています。

しかし、これはけしからんという世論を誘導するためのものかもしれません。「東京電力救済案の本当の意図 」という記事が山崎元のマルチスコープ2011.04.27に出ています。本文は長いのでその概略をまとめてみましょう。

ーーー概要ーーーー
被害者からカネを取る前に

 数日前に、福島第一原発事故に伴う東京電力の賠償に関わるスキームの政府案が報道された。

 賠償を支援する新組織「原発賠償機構」を作って、ここに政府から交付国債、他の電力会社からは将来の原発事故に備える名目での保険料的な負担金などのお金を集め、さらに政府保証付きで金融機関からの融資も行う形とするようだ。要は、東電を倒産させない仕組み。

 事故の被害者に対する賠償は東京電力が行う。東京電力は、この機構の負担金を、将来の収益から返済することとなるようだ。これでは足りない損失が発生した場合、東電も含む電力会社が納める保険料が充当され、さらに足りない場合、あるいは政府が贈与を決意した場合に納税者の負担になる。

 本件の利害関係は非常に錯綜しているが、東電管内の電力ユーザーから見ると、結局、将来の電力料金を通じた負担で、自分たちが東電の不始末の経済的尻ぬぐいをさせられることを意味するのではないか。

 地域独占企業である東京電力を官民で救済する今回のスキームでは、電力ユーザーが実質的なコスト負担者になる可能性が大きい。

負担の順序を考える

 賠償額の見積もりは難しい。原因は「想定外の天災」であって同社の責任範囲は限定的だと考える向きから数十兆円に及ぶ可能性もあるという向きまで、考え方には幅がある。

 政府として、損害の範囲が東電の負担能力を超える公算が大きいという認識を持っていることと、政府の意思としては、賠償の責任を東電に負わせようとしているということの二点は「かなり確からしい」。

 電力会社ではないごく普通の事業会社(仮にA社)があって、このA社が何らかの不始末をしでかして、賠償額が巨額になった場合、直接的には、A社が持っている現金や換金できる資産から賠償金が支払われる。

 この部分は、先ず株主が負担するが自己資本の範囲を超えると、次にこの銀行にお金を貸している形の金融機関、社債を発行していれば社債の保有者が負担せざるを得ない。

 金融機関や社債保有者が負担する段階の前あたりで、会社更生法の申請による会社の倒産などの法的整理が行われるのが普通だ。

 金融機関と社債の保有者は被災者と並ぶ「債権者」として賠償金の負担を分担することになるはずだ。

 東京電力が「普通の会社」だと考えると、賠償の実質的な負担者は、一に株主、二に金融機関、三に社債保有者、四に国、といった順序になろうか。

 しかし、東京電力の場合は独占会社なので、電力料金を上げるという選択肢がある。こうなると、実質的な賠償負担者が東電の顧客になってしまう可能性すらある。

東電の曖昧な存続の意味は?

 東京電力が会社として現在の延長線上で減資も上場廃止もせずに存続すると、株主はしばらく損をしているが、やがて東電が賠償負担から解放された時には利益が出るようになるだろうし、配当も復活するだろう。時間を掛けると損失を相当程度回復できる可能性がある。

 では、金融機関や社債の保有者の責任はどう考えるべきか。彼らは、彼らのリスク判断で原発事業をも営む東京電力に対して資金を出し「儲けて」いた。銀行の融資にも同様の性格がある。お金を貸した会社が倒産した場合の損失を彼らが負担することには、十分な正当性がある。「自己責任」だ。

 原発賠償機構に一種の保険料のような形で資金を拠出する他地域の電力会社は国策による資金拠出でもあり、現在の電力行政と電力業界の業界地図を守るためのコストなら、十分負担する意味がある。

 それでは、「東電の顧客」と「国(つまり納税者一般)」のどちらが先に賠償責任を負うべきか。原発事故に連なる管理の責任に応じて賠償を負担すべきだと考えると、国の責任が先に来るのではないか。

『原発賠償機構』の意味

 最終的には、大まかな原則論として、賠償の負担者の順番は、東京電力の株主→東電に融資している金融機関→東電の社債保有者→国(=納税者一般)→東電の(将来の)顧客、という順序になるように思われる。

 しかし、現実的には、おそらく、何らかの株主責任(減資等による損失負担)を前倒しで問うと共に、東電のリストラ計画を加える程度の「軽度のけじめ」を加える程度の修正を行って、今回のスキームに近い形が出来上がるのではないだろうか。

 金融機関も社債保有者も保護されて、国は責任問題の前面には出ずに済む。この場合、「原発賠償機構」の役割は何か。

 一言で言うと「(東電の)金融機関、社債保有者、国の負担を、東電の顧客負担にすり替えるための、時間と、曖昧さを作るための仕組み」ということになるだろう。
ーーー概要終了ーーーーーーー
清澤のコメント:いやはや、世の中は複雑怪奇です。この説明を読むとなるほど東京電力の電力利用者に今回の事故のつけをまわそうとしているということなのですね、ということが理解されます。(間違いのないように、ぜひ元の記事をご覧ください。)

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