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2011年4月14日

2187 PTSDになるから地震の被害映像を子供に見せてはいけない というお話

【犬を抱いて孤立する家族の元に向かう男性】朝日新聞掲載
今回の地震の後、被災地ばかりではなく全国の小学校で子供が不安になっているようです。子供の心は大人とは違って傷つきやすい(PTSDを生じやすい)ですから、地震の被害映像を大人が見るように見せてはいけないということのようです。

アピタル震災特集(出典にリンク)は地震後の、ごく早い時期 [11/03/20]から”震災映像、子どもに負担” という警告をしています。その記事の要点を抜粋しますと:

浦安震災3

ーー要点はーー
子どもがテレビから流れる大津波や原発事故の映像に長時間接することで、ストレスを訴える事例が出ている。専門家は「繰り返し災害の映像を見続けると、不安が募る。映像から離れ、『大丈夫だよ』と言葉に出して伝えてほしい」と呼びかけている。

臨床心理士の本田恵子・早大教授も「繰り返し災害の映像を見続けると、フラッシュバックを強制的に起こすことになり、不安をあおる」と話す。特に小学3年生以下は、いま起こっていることと過去のことの区別がつけにくく、漠然とした不安感に襲われるという。

日本小児科医会の「子どもの心」対策部担当常任理事、内海裕美さんも「全国の人が被災地の体験を共有することは、決して悪いことではないが、幼い子どもにとっては有害でしかないことを知ってほしい」と話しているそうです。

日本小児科医会は「子どもの心のケアのために」と題した心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関するリーフレットを作成しています。

<幼児や小学生が見せる主なサインは>
赤ちゃん返りをする
親や保育士にまとわりつく
無口になる。または攻撃的になる
夜一人になることを怖がる
地震ごっこをする
それまで好きだったことをしなくなる

<大人ができる支援は>
「大丈夫だよ」と言葉に出して伝える
何度でも子どもの話に耳を傾ける
睡眠や食事などの日常生活を今まで通り続ける
地震ごっこをしても「やめなさい」と言わない
刺激を避ける(ニュース番組は見せない。無理に思い出させない)

※日本小児科医会「子どもの心のケアのために」より。一部を今回の地震向けに改変。
とのこと:ご参考になりますでしょうか(清澤)。

さらに【緊急アピール】子どもに被害映像を見せない配慮を!
―子どもの心を守るために、マスメディアの方にお願いしたいこと― というものも
日本小児神経学会から出ています

これはマスコミへの警告ですが、親御さんにもご注意願うのがよいでしょう。要点は、子供の心はか弱いものだから、大人には耐えられるからと言って、子供が怖がる映像を大人の感覚で見させてはいけないということのようです。

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ーーー日本小児神経学会からの引用(出典)ーーーー

 今回の地震は東日本に広く生じたものであり、被災地以外のお子さんも揺れや停電を体験しています。そのため、そのニュース映像に触れたお子さんにも心的外傷が起こりえる状況にあります。マスメディアの方にはその点をご理解いただき、子どもの視聴に対してのご配慮をいただけたらと思います。

 報道を見ることによる子どもへの影響は、以下の特徴から来ると言われています。

[発達の特徴から]

・ 言葉での理解がまだ大人のようにできないため、映像や画像に伴う事実の把握ができず、その映像や画像の衝撃が大きい。

・ 自分中心に世界や物事を捉える特徴があり、自分の見たもの聞いたものが自分とは無関係であると思いにくく、すぐに自分の近くでも起きるのではないか、あるいは自分に何か責任があるのではないかと思ってしまう。

・ 時間感覚の発達がまだ途上であるため、過去の出来事を録画再生したものであるということが理解しづらく、今また起きていると思ってしまう。

・ 小学校中学年くらいのお子さんであれば、自発的にニュースやインターネットでの情報収取が可能であり、映像に触れる時間が増加する。感受性が豊かであるために、出来事に感情移入しやすい。

[脳の機能から]

・ 視覚・聴覚などの感覚刺激は視床などがフィルターとなって刺激の減弱などの処理をしていると考えられている。子どもの脳は発達が途上であるため、それらの機能も未発達であることが一般的に認められており、刺激過多の状況では許容範囲以上の刺激を取り込んでしまう恐れがある。処理能力を越えた量の映像は結果的に脳神経細胞の障害をきたすことになる。このことは、心的外傷を負った子どもに海馬の委縮が認められるという報告からもうかがえる。

・ 日常の出来事の認知的な要素は大脳辺縁系の海馬で保管され、情緒的要素は扁桃体で保管されるとされている。通常の出来事はそのことを考えたり話したりすることで右の大脳辺縁系から左の大脳新皮質へと移行していくが、生命の危機的状況に遭遇するとこの情報処理システムが壊れるという説がある。このような状態では、脳は副腎髄質に信号を送り、逃走逃亡反応(fight or flight response)を起こさせるような沢山のホルモンを発生させるとされており、この多量のホルモンは左脳にある言語や理解を司る部分の働きを妨害し、トラウマ体験は感情やイメージや感覚といったものを扱う右脳だけに閉じ込められてしまうと考えられている。それにより引き起こる子どもの様子は、言葉が出なくなる、音や匂いに敏感になる、悪夢を見る(しかしその内容などを言葉で説明できなくなる)などがあるとされている

 この戦後最大の震災を体験している私たちは、大人も子どもも未だ大変なショック状態にあり、不安と恐怖と隣り合わせにいます。そのような中で、子どもを更に災害報道にさらすことは、脳への情報を更に増し、様々な身体症状を呈する原因となってしまうと考えられます。また、このような身体症状は子どもの健康な発達過程をも阻む可能性があり、より問題が複雑化してしまう可能性があると思われます。

 小さなお子さんが災害報道を見る機会をできるだけ最小に抑えられるよう、この事実を視聴者に伝えたり、「小さなお子さんには見せないでください」というテロップを付けるなどのご配慮をいただきたいと思います。

2011年3月25日

日本小児神経学会理事長

大澤真木子(東京女子医科大学小児科)
ーーー引用終了ーーー

清澤のコメント:

私が小学校に入る前の子供のころ”7人の刑事”とか”脳動脈瘤の手術のビデオ”
とか、親が珍しがって見ているテレビ番組がとても恐ろしくて見ていられなかったのを思い出します。

50年経った今でもそれを覚えているくらいですから、その衝撃は大きかったのでしょう。

お化け屋敷などでも子供は本気で怖がります。それは脳の働きが大人と子供では異なっているからであって、同じものを見ても大人には普通であっても子供には危険だという場合があるわけですね。 

ワサビの入った寿司が大人には美味しくても、味に敏感な子供には辛くて口にできないというのとも通じる現象かもしれません。大人になってワサビを美味しく感ずるのは辛さに対して強くなったのではなくて、子供のころの敏感さを失っただけのことかもしれませんね。

くれぐれも小学校低学年以下の子供さん方には、被災地の悲惨な動画を不用意におみせにはなりませんように。

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