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2011年4月9日

2177 日本林業はよみがえる 梶山恵司 を読みました。

日本林業はよみがえる 梶山恵司 

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(植えて50年たつと木はこれ以上に大きくなります)

 この本を丸善で見つけて二月程前から読んでいます。半分すぎまで来たところで、東北関東大震災があり、中断したりしましたが、今日はその感想文をまとめてしまいましょう。

日本の林業は第二次大戦前後に大量の伐採を経験して、それ以後は木材が海外から輸入されるようになったことから、成長した森林の伐採自体は可能でしたが、伐採した後の森林を再生させるための活力を失ってしまいました。

その結果、国土の多くを占める森林は荒れ果てた状態になってしまいました。その現状を分析して、なんとか再度林業を活性化できないかというのがこの著者の主張です。

著者は第6章あたりで、小規模な森林の所有者と、実際に山林を運用する機関をうまく連結させることの必要を説いており、その主張はよく理解できます。欧米でもドイツあたりでは小規模で既に山を離れた職業に従事する小規模な山林所有者群があり、それを別の山林管理組織が利潤を上げながら運用する仕組みができているのだそうです。

日本でしばしば見られる皆伐ではなく、森林の成長に伴って間引きをすることの必要性も述べています。また、その間伐材を経済的に有効に利用できる仕組みを確立することが森林の再生には必要ということのようです。

その運用に成功しつつ有る森林組合の例では森林面積1万ヘクタール(人工林面積40%、年間間伐面責00ヘクタール、10年で一巡)程度だそうです。これだけの素材を糾合できれば再生への望みがあるということなのでしょうか?

私の父も引退後は死ぬまで植林を続けましたが、私が小学生の頃に手伝って植えた最初の木はもう樹齢50年を迎えたことになります。それが杉で有ったり、松で有ったりするのですが、その50年生というのが今の日本の典型的な植林された森だということです。

そうして残された里山も今や手を加える人が失われ、荒れています。このような森林は日本中に多く存在していることでしょう。

相続をして小規模の山林を所有している人々にとって、現在の山林はほとんど財産的な価値がありません。むしろ実際に所有している人にはとっては、放置する対象であるか、何かをしようとすれば出費だけを要する重荷となっています。

山林の所有と運用を上手に分離するというこの著者の主張は、大変魅力的なものに感じられました。それが実現すれば、都市生活者が別荘を求めるように、資産として小規模な森林を所有するということに魅力を感ずる時代がくるのかもしれません。

 この著者の書いた自著を語るという文が見つかりましたのでそれを再録します。

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自著を語る 2011/03/08
日本林業はよみがえる
梶山恵司さん
(内閣官房国家戦略室 内閣審議官)
かじやま・ひさし 1954年群馬県生まれ。日興証券、富士通総研等で、欧州通貨統合や欧州の産業政策、地球環境問題を現場にて研究。2009年11月に政治任用され、現職。著書に『マルクのユーロ戦略と円の無策』。

■今こそ地域経済の起点に
 日本林業は長年にわたり大変厳しい状況が続いてきましたが、ここにきて再生の可能性が高まっています。林業が、疲弊きわまる地域経済活性化の起爆剤となることも、いまや夢物語ではありません。その理由は、資源が利用できる段階に入りつつあるからです。

 わが国は戦後復興期に、森林を切り尽くしてしまいました。森林の八割が五十年生以下という事実が、このことを如実に物語っています。

 枯渇した国内資源に代わって、世界第二位の木材需要を支えてきたのが、外材です。外材のおかげで国内資源の育成に集中できたとも言えるわけです。いまでは世界有数の森林蓄積を誇るまでに成長しました。

 木材は重くてかさばる割に単価が低く、商品価格に占める輸送コストの割合が高いのが特徴です。このため、林業や木材産業は自(おの)ずと資源立地型産業になります。TPPなど貿易自由化の影響は、林業にはありません。

 林業が健全であれば、それを起点に、製材や合板、住宅や家具、観光、エネルギーなど、一大産業群が形成されます。減少する一方の土木建設の受け皿ともなります。自立した産業が地域に興ることの意義がいかに大きいかは、言うまでもないでしょう。

 この巨大なチャンスを実現するためには、森林所有者をサポートする体制や道路網を整備するとともに、その担い手となる高度な人材を育成しなければなりません。林業は知識産業への一大転換を迫られているのです。

 このため、菅総理は政権交代直後に、林業の抜本改革を指示しました。これを受け、全林業界で議論を重ねてできたのが、昨年十一月の「森林・林業再生プラン」です。これを具体化する実践事業もスタートしており、既に大きな成果を挙げています。

 このように、再生プランは、林業のみならず、日本がこれから歩むべき知識経済への道を切り開くフロントランナーの役割をも担っているのです。

 本書は、林業のあるべき姿を体系的に示したものであり、再生プランの理論的背景となるものです。

(日本経済新聞出版社・一八九〇円)
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