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2011年3月29日

2151 加齢黄斑変性  50代から急増

加齢黄斑変性  50代から急増

昭和40周年男 10

名前に〝加齢〞とあるだけでうんざりしてしまう病名だが、その名のとおり歳をとると起こってくる重大な疾患だ。最近ふえているというこの病気の原因や予防策などについて、詳しくきいた。

 ここまで記事をまとめてきて思うのは、とにかく視力というものは年齢の経過で大いに劣化するものだということ。それだけデリケートな部分ということだろうが、この加齢黄斑変性も歳をとると増えてくる眼の病気の一つである。「欧米では中途失明原因のトップがこの加齢黄斑変性です。日本でも増えていて、失明原因の4位になりました。女性より男性に多いという特徴があります」

 とはいえ、ほとんどなじみのない病名である。どんな病気なのだろう。
「視野の中央がよく見えない、ゆがむ、暗く見える、などが主な症状です。最初は片方の眼に起きて程度も軽いために、患者さん本人は年のせいにして放置していることも少なくありません。しかし、徐々に、視力は低下してしまいます。中央部以外の視野まで光を失ってしまうことはまれですが、見たいところが見えず読みたい文字が読めないという、大変不便な状態となります」

 写真によるとずいぶん奇妙な見え方である。酔ってしまいそうだ。
「人間の網膜は黄斑と呼ばれる中心部分では大変良い視力が得られますが、それ以外の部分では正常な人でもあまりよくみえません。ですから、黄斑が障害されるとそれ以外の網膜に異常がなくても視力が著しく低下してしまいます」

 黄斑とは網膜の中心にある直径1・5〜2㎜程度の小さな部分の名称で、見ているところからの光が直接当たる部位。ここに異常が生じるのが加齢黄斑変性だという。

「この黄斑に新生血管と呼ばれる異常な血管が発生し、網膜側に伸びてくると、新生血管の血管壁は大変もろいために、血液が黄斑組織内に滲出して網膜が収縮して黄斑機能を障害します。新生血管はある時期がくれば、その活動を停止しますが、その段
階ではすでに黄斑の網膜組織は破壊され、高度の視力障害が残ってしまいます(※)」

 この新生血管というやつは実にやっかいだ。前ページの糖尿病網膜症でも問題の主役である。

昭和40周年男 11

「網膜細胞は機能している限り、新陳代謝を繰り返しています。そのときに生じる老廃物は、若いうちは消化されて消えてしまいますが、加齢によってその働きが低下すると、消化されない老廃物がブルッフ膜に溜まり、慢性の弱い炎症反応が持続します。するとその炎症の治癒を促すために、脈絡膜から新生血管が生えてくるのです」

 以前は治療法のない難病とされていたそうだが、現在ではいくつかの治療法が開発され、早期発見できればある程度の視力が維持できるようになっているという。

「レーザー光を使って新生血管を凝固させたり、新生血管を作らないような抗体を眼球に注射するなどです。しかしいずれも進行して失った視力を回復することは無理ですから、少しでもおかしいな、と思ったらすぐに眼科医に相談しましょう。もちろん、自覚症状がなくとも40過ぎたら一度は検査するべきです」

 しかし、いくら治療法が開発されたといっても、他の眼病に比べてかなりダメージが大きい。今から予防する手立てはないものだろうか。

「たばこが加齢黄斑変性の危険因子であることは世界中の研究でわかっていま すので、禁煙することは有効でしょうね。それと、ビタミン類の不足がちな人がなりやすいとも言われます。普段から野菜をよく摂るような食生活に切り替えましょう。難しければ、サプリなどを利用するのでもかまいません」

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眼科検診のススメ
 さて、今回の健康講座で取り上げた眼病であるが、年を重ねていくにつれてさまざまな眼病リスクが高まることが分かってもらえたのではないだろうか。

視力の低下ばかりでなく、視野が欠けたり、最悪の場合は失明につながるなどの重大な機能低下を招く可能性があるだけに、できるだけ早めに治療する必要がある。

 そのために必要なのが眼科検診である。「昭和40年男なら、1年にいっぺんぐらいね、何か機会を見つけて、眼科に行ってみてください。それで視力を測って、眼圧を測って、眼底写真を撮って、普段気になっていることを相談なさるといいのではなかろうかと」

 メニューはこの三つで十分だという。もし検査の結果、他の病気の疑いが出れば追加で検査を行えばいい。

「その三つで費用は2400円です。もちろん、健康診断のメニューに含まれている場合もありますから、その場合は必要ないでしょうし、地域の成人検診で測定するところもあるようです」

 実際に筆者もやっていただいたが眼圧は一瞬、眼底写真は2分で終わる。緑内障が疑われる場合はこれに1800円を追加して、視野を測定する。これも両眼で15分あ
れば終わる。どの検査も痛いことは何もない。これで眼病を早期発見できるなら安いものではないだろうか。

ーー(図は本分のpdfを見てください。)ー
図:加齢黄斑変性の受療率

加齢黄斑変性の患者は50代から徐々に増え始め、60歳を境に急増している。しかもその有病率は年々増えており、最近では50代以上の1%が加齢黄斑変性だとされている。
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図:新生血管によって黄斑部が盛り上がると、像を正しく結ぶことができなくなってこのように中央部のみ歪んで見えるようになる。また、出血するとその部分に暗点ができてしまう。
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図:黄斑とは網膜の中央部分にあり、ここの異常の状態によって見え方が変わってくる。どんな風に見えるのかを示したのが右図となる。治療は患部にレーザー光を当てて新生血管を破壊したり、新生血管を作ろうとする因子を阻害する抗VEGF剤を眼球内に注射するなどの方法がとられる。
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■加齢黄斑変性のセルフチェック

この格子状の図を見て、見え方に異常がないかどうか確認できる。30㎝ほど離して図の中央にある白い点を片目ずつ見つめ、線がぼやけて薄暗く見えたり、線がゆがんで見えたり、部分的に欠けて見えていたら加齢黄斑変性の疑いがある。すみやかに眼科に相談したい。
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図:眼圧検査のようす。装置から眼球に向けてパシュッと風が出て、そのときの眼球の形状変化を測定することによって眼圧を知る。ちょっと驚くが、驚いたときには検査は終わっている。
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誌面にもいくつか出てきた眼底写真だが、それを測定するのが眼底カメラと呼ばれる装置。眼の中を撮るなんて怖い気がするが、眼球に触れるわけでもなければ痛くもかゆくもない。

スリットランプでは、この眼底を見る他、眼球の表面を検査することもできて、右写真のように記録することも可能。その結果をプリントして次回検診結果と比較するなんてこともする。
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