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2011年3月6日

2091 視神経再生:マウスを用いた実験で視神経を再生させることに成功との報告


元記事:http://journal.mycom.co.jp/news/2011/03/03/108/index.html

山下 俊英 先生は間違いなく
大阪大学大学院医学系研究科 分子神経科学 教授
大阪大学大学院生命機能研究科 教授 (兼任)です。

神経再生を抑制する因子と促進する因子の説明はゆっくり考えなおさないと理解できませんが。

従来の知見は:
軸索再生阻害因子であるMAGがPIR-Bに結合することで、PIR-Bの細胞内ドメインにチロシン脱リン酸化酵素であるSHP-1およびSHP-2が集積する。PIR-Bと神経成長因子BDNFの受容体であるTrkBが結合する。SHP-1/2はTrkBを不活性化することで、TrkBによる軸索の伸展作用を抑制する。

今回の実験では:
成体マウスの視神経を損傷させ、RNA干渉薬であるSHP siRNAを眼内に投与したら、通常では再生しない視神経の軸索が再生した。

中枢神経の軸索を再生させるためには、軸索の再生を阻害する因子の作用を阻止するだけでは不十分で、軸索の成長を促進させる作用を持つ薬剤を併用することが必要であるということのようです。

ーーー概要はーーー

大阪大学 大学院医学系研究科の山下俊英教授らによる研究グループは、傷ついた視神経の再生を抑制するメカニズムを明らかにするとともに、マウスを用いた実験で視神経を再生させることに成功したことを明らかにした。

中枢神経回路が障害されると再生しにくい。ほ乳類の中枢神経系には、神経回路の再生を抑制する機構が存在していること、また中枢神経自体の再生力が低いことなどが原因として上げられていた。

これまでに中枢神経の細胞の軸索の周りを取り巻く髄鞘(ミエリン)に発現しているMAG、Nogo、OMgpという糖たんぱく質が中枢神経の軸索の再生を抑制することが示唆されており、これらは軸索再生阻害因子であると考えられているほか、これらのたんぱく質と結合する受容体がPIR-Bであることが報告されているが、PIR-Bがどのようなメカニズムで神経細胞の軸索の再生を抑制しているのかについては不明のままであった。

研究グループでは、神経細胞におけるPIR-Bのシグナル伝達機構を解明することで、新たな分子標的の探索を試みた。その結果、軸索再生阻害因子であるMAGがPIR-Bに結合することで、PIR-Bの細胞内ドメインにチロシン脱リン酸化酵素であるSHP-1およびSHP-2が集積すること、ならびにPIR-Bと神経成長因子BDNFの受容体であるTrkBが結合することと、SHP-1/2はTrkBを不活性化することで、TrkBによる軸索の伸展作用を抑制することを発見した。

これらの発見を元に研究グループでは、成体マウスの視神経を損傷させ、RNA干渉薬であるSHP siRNAを眼内に投与することでSHPが働かないようにしたマウスの観察を行った。その結果、薬を投与した14日後には、通常では再生しない視神経の軸索が再生したことが確認された。この作用は、PIR-Bが持つ軸索の再生を阻害する作用をブロックするとともに、軸索を成長させる機能を持つTrkBの作用を促進させたことによってもたらされたものと考えられるという。

実際に、PIR-Bを欠損しているノックアウトマウスで視神経を損傷させても、再生は認められなかったが、このマウスで損傷後にTrkBを活性化させるBDNFを投与すると、視神経の再生が認められたという。

PIR-Bノックアウトマウスでの視神経損傷後の軸索再生を評価した結果。このマウスにBDNFを投与すると、視神経の軸索再生が認められた。このことからPIR-Bの抑制とTrkBの活性化の両者が、軸索再生に必要であることが示唆された

この結果、中枢神経の軸索を再生させるためには、軸索の再生を阻害する因子の作用を阻止するだけでは不十分で、軸索の成長を促進させる効果を持つ薬剤を併用することが必要であると考えられるとしており、今後の中枢神経の再生を誘導する治療法の開発に方向性を与えるものになると研究グループでは説明しており、将来的には失明原因となる視神経損傷や緑内障などの眼疾患の新たな分子標的治療法の開発につながるものとの期待を示している。

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私が同じラットで以前視神経損傷の実験をしていたころには、なぜ再生しないのか?という疑問さえも持てなかったのですが、とてもここまでの洞察は働きませんでした。

Motohiro Kiyosawa, et al Unilateral eyeball enucleation differentially alters AMPA-, NMDA- and kainate glutamate receptor binding in the newborn rat brain. Neuroscience Research 26,1996, 215-224

Motohiro Kiyosawa et al.
Neuroreceptor Bindings and Synaptic Activity in Visual System of Monocularly Enucleated Rat Jpn J Ophthalmol 2001;45:264–269

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