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2011年3月5日

2088 急激に進行する垂直注視麻痺と抗Hu抗体関連脳幹脳炎

急激に進行する垂直注視麻痺のお話を先にいたしましたが、小林禅先生が抗Hu抗体関連脳幹脳炎でもこのような症状が現れるという文献を教えて下さいました。

私が拝見した患者さんにもこの抗体が検出されたケースがあったようです。ご参考までに再録いたします。

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抗Hu抗体関連脳幹脳炎
J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009;80:404–407.

[目的]抗Hu抗体関連脳幹脳炎の臨床症状を明確にし、本疾患の理解を深めるために患者情報をまとめる。

[方法]臨床情報は、傍腫瘍性神経症候群ヨーロッパネットワークメンバーによって診断された14名および文献上の8名の患者から収集した。これらの患者は脳幹脳炎を発症し、抗Hu抗体を有していた。

[結果]
22名の患者の平均発症年齢は64歳(範囲42-83歳)で、半数は男性であった。すべての患者で、神経症状は数日~数週の経過で亜急性に進行した。脳MRIは正常であった。軽度の髄液細胞増多が2名でのみ認められた。入院時に11名(50%)の患者で延髄障害の症候がみられた。このうち7名に嚥下障害、構音障害、中枢性低換気を認めた。他の4名の患者では中枢性低換気は認めなかったが、橋障害の症候を認めた。

22名中6名(27%)の患者は入院時に橋障害の症候を示し、外転神経麻痺、顔面神経麻痺、眼振、(垂直性が多い)、歩行失調を認めたが、すべての患者で延髄への急速な病変進展が認められた。5名の患者は橋―中脳障害の症候で発症し、片側性あるいは両側性の動眼神経麻痺および滑車神経麻痺を示したが、急速に完全注視麻痺および延髄障害を示した

[結論]本研究では、本疾患で延髄が障害されやすいことが確認されたが、約半数の患者では延髄障害の前に上部脳幹(主に橋)の障害を示す臨床徴候を示した。
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清澤のコメント:
これは先日の”1890 抗Ma2関連傍腫瘍性脳炎についての解説”(記事にリンク)の続報です。この疾患は稀な病気ですが、先に抗Ma2関連傍腫瘍性脳炎についてBrainの論文のabstractを小林禅先生が訳して見せてくれました。

本日の話題は、これと似ているのですが別の傍腫瘍性脳炎の解説です。

眼球運動障害の症例に興味のある諸先生方のご参考までに再録いたしました。

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