お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2011年2月27日

2074 ランダム化臨床試験に潜む“嘘”の危険性

ランダム化臨床試験に潜む“嘘”の危険性

という記事がネットにでていました。

jama(図はこの巻号ではありませんが)

この記事の言うところは、この実験でAとBとの間に有意の差がないという結果であるのに、その先の議論で論文著者にとって都合の良い議論が続いている”おかしな”論文が少なからずあると言っています。

ある薬剤Aが今まで流通していた薬剤Bよりも良いものであるかどうか?という設問に答えるためには、対象になる疾患の患者さんを多数集め、その患者さんをくじ引きでAとBとの2群に分けます。その2群の各々こ患者には患者さん自身にも、また治療する医師にもその患者がA,Bのどちらの薬剤を使われているのかは知らさないままに薬剤を投与して、その結果を比較します。

恣意的解釈(spin)は,spinが論文タイトルに含まれていたのが18.0%,さらに高レベルの恣意的解釈(spin)がアブストラクトで33.3%,本文で26.4%という高い頻度に認められたそうです。

医学論文を書く時のことを考えますと、善意で解釈すれば著者がその論文に何らかの意味のあるもので有ると言おうとするうちにそのような議論に踏み込んでしまうことが考えられます。或いは、著者の悪意を疑ってかかるならば、実験に資金を提供してくれた企業などに気を使った結果そのような偏った議論を展開した可能性もあります。

従来からもっとも基本的なことではあったのですが、論文を書く研究者ばかりではなく、これからの論文の採否を判断する査読者にも論議や結論がデータに基づいて無理なく展開されているか?が的確に判断されなくてはいけないということなのでしょう。

なお、この論文の出典はJAMAですから確かな医学雑誌です。

ーーーーー引用開始ーーー
—JAMA2010年5月号より

臨床試験,とりわけランダム化比較試験は,臨床診療における介入や治療の根拠となるため,その結果は完全で正確であることが求められる。しかし,主要なアウトカムに有意差が認められなかったにも関わらず,二次アウトカムやサブグループ解析の結果を強調して治療の効果を印象づける行為—“spin(都合のよい解釈)”—が多く行われていることがBoutronらの研究により示され,2010年5月のThe Journal of the American Medical Association誌に報告された。ここではその概要を紹介する。(編集部)

ランダム化比較試験でも結果の解釈はspinされる

この研究の対象となったのは,2006年12月に発表され,2007年3月までにPubMedに収載されたRCTのうち,並行群間試験かつ一次アウトカムに有意差のなかった72本。

これらについてspin(主要アウトカムが統計的に有意ではないにも関わらず,試験で実施された治療の有効性を強調したり,有意差がないことから読者の注意を逸らすような報告方法)の有無や内容について検証した。

その結果,spinが論文タイトルに含まれていたのは18.0%,アブストラクトの「結果」に含まれていたのは37.5%,アブストラクトの「結論」には58.3%であった。

本文でのspinは,「結果」には29.2%,「ディスカッション」には43.1%,「結論」には50.0%に認められ,spinが2ヵ所以上に記載されている論文が40%以上あった。また,結論部分で,報告している結果に何の疑念も述べず,新たなRCTの必要性も述べず,さらには結果に有意差がみられなかったことについてなにも言及していないにも関わらず,試験で検討された治療を臨床に応用することを推奨しているものを「高レベル」のspinとした。

このような高レベルのspinは,アブストラクトで33.3%,本文で26.4%に認められた。

アブストラクトでのspinの危うさ
アブストラクトは読者の論文全体に対する評価の基準となることが多く,また無料で配布されているため,単独で臨床上の判断の基準となる場合もあり,アブストラクトにspinが含まれていることは重大な意味をもつ。

スポンサーや試験関係者はRCTに多大な時間と費用を費やしているため,試験の結果に対して中立であることは少ない。そのため,RCTの結果が統計的に有意でない場合は,spinが行われるリスクが増大するとBoutronらは述べている。さらに,統計的に有意であったRCTにはよいエビデンスがあるとしながらも,「著者が二次アウトカムやサブグループ解析,群間比較から有効性を結論づけたり,統計的に有意でない結果について,有効性や安全性を”同等性を示すもの”として不適切に解釈している場合には,とくに注意しなければならない」とコメントしている。
ーーーーー引用終了ーーーーーーーーー

Categorised in: 未分類