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2011年2月16日

2046 目の外傷および視力低下について(第五砂町小学校講義)

目の外傷および視力低下について

1)注意の必要な目の怪我と対処法について

前房出血
打撲:眼球に正面から野球のボールなどの物がぶつかると、眼球の中で角膜と虹彩(茶目)の間がさけて眼球のなかに出血が起こります。大概は安静にしていると数日で出血は止まりますが、網膜剥離などが隠れている場合もありますのでご用心。

吹き抜け骨折
骨折は、鉄棒で自分の膝が目にあったったり、手で叩かれたりすると起こることがあります。目の後の骨は下側と鼻側がとても薄いので眼表面を覆う様な圧力がかかると空気の入った副鼻腔に向けて脂肪が押し出されて眼球の動きが乱されるので物が2重に見えるようなことが起きます。バスケットボールなどでも起きます。

外傷眼の保護刺し傷、裂けた傷、切れた傷は、圧迫しないように紙コップを切った覆いでもかけて、洗わないですぐ眼科医に見せましょう。縫合するかもしれません。この学校の先生のまとめをみますと、角膜表面をかすめて傷が付いたという程度の、後遺症を残さぬ怪我が多いようです。

異物は水道水で洗って取れたら、そのあと眼科へ。まぶたの裏や角膜に刺さると、生体顕微鏡の下でとらないと取れないような場合があります。

アルカリ火傷酸やアルカリが目にかかったというのを化学火傷といいます。生コンクリートや石灰等のアルカリが特に危険です。徹底的に水道水ですぐに洗ってください。眼科に行くのはその後です。

全身の怪我と目の怪我を合わせて受けた場合には、どちらが緊急かを考える必要があります。

学校安全会なお、医療費の自己負担の3割をカバーする区の小学生医療費補助金は学校での怪我には使えないことになっていて、3割を自己負担した後に、4割相当分を給付金(旧:学校安全会)でもらうのが正しい対応ということになっています。日本スポーツ振興センターは、学校での事故などが原因で死傷した児童・生徒に対して災害共済給付金を支給しています。

2)視力低下の原因と予防のポイント、遺伝との関係は?

先生やご家族が視力低下という場合には近視とそれに重なった乱視のことを言っている場合が多いです。

毛様体
近視は毛様体の緊張ではじめに起き一時的な仮性近視と、眼球の軸が伸びてもう治らないようになった軸性の近視に分けられます。ミドリンの意味は次の質問で答えます。

近視 遠視怖いのはむしろ遠視で、後からメガネをかけても見えない目に育ってしまう弱視というものができがちです。また、遠視があるとそれによって内斜視になることがあります。正しい目の成長を助ける為には遠視では早い時期(7歳まで)にメガネをかけさせることがぜひ必要です。3歳児検診の意味は主に遠視と斜視を手遅れにならないうちにさがすことです。

近視の方の子供に近視が多いということはありますが、特定の近視の遺伝子が見つかっているわけではありません。

3)調節緊張で使われる目薬「ミドリンM」とはなんですか?
ミドリンM
目の中にレンズ(水晶体)を吊り上げている毛様体という奇妙な形の筋肉の塊があって、それが緊張するとレンズが厚みをまして焦点が網膜より前に出てしまいます。この場合には、毛様体の緊張を取るミドリンをつけることで、近視を減らすことができます。ですから、軽い近視ならば毎晩ねる前にミドリンエムをつけてもらます。

この緊張が続くとやがて眼球はその形を円形からラグビーボールのような前後に長い形に変形して行き、ミドリンだけでは視力が改善できなくなります。そうなりましたら近視眼鏡をお勧めします。

学校で黒板を十分に見るには0.7程度の視力が必要とされていますが、ご家族は0.7では眼鏡を使うことには同意したがらないので0.4以下になるまで、私はミドリンMだけで経過をみることを許しています。

大学などで忙しすぎるので継続的な近視治療には全く興味がなくて、裸眼視力で0.7が見えなくなれば近視眼鏡を作らせて、それで診療は終わりといった対応をとりがちです。

私の考えでは、眼鏡をつくることがミドリン点眼治療の終わりではありません。少しでも近視の進行を抑えるにはミドリンをずっと続けるのが良いでしょう。また、勉強を禁止することはできませんが過度な近業は近視の進行を進めると考えられます。

子供(や生活保護の患者さん)の医療費の自己負担がゼロというのは、それ自体最善か?という議論もありますが、5年前の有料だった時代とは変わって、この制度のおかげでミドリンをつけてくれる小学生が増えたことは事実です。

4)小学生がコンタクトレンズを使用する時の注意点は?

運動部等でコンタクトレンズを指導したいという先生もおられると思いますが、そのような話で訪れた患者さんを見て先生に対して本気で怒る眼科の先生もいます。小学生ではまだ目が安定しないのでコンタクトレンズは基本的にはおすすめしたくはありません。

私は、サッカー、バレーボールやバスケットボールなどメガネが壊れたらかえって危険という種目やクラシックバレーをするというならば、その危険性を話した上で高学年なら処方する場合があります。

コンタクトレンズは、眼鏡と比べると格段にむつかしい取扱いに当たっての注意点があります。使用期間期限を守る事、一日の装用時間をなるべく短くすること、きちんと手を洗いし、レンズはしっかり滅菌すること、などなどです。

諸注意点を、大人よりは従順に守ってくれると考えるか?、子供には理解しにくいと考えるかは考えどころです。

5)レーシックについて教えてください。

レーシックは角膜をレーザー光線で削って、近視を減らし、眼鏡もコンタクトレンズもつけないで良好な遠方視力を与えようとする手法です。

そもそも近視を手術で晴らすという手術を世界ではじめに考えたのは日本人です。15年前あたりから、まずはメスで角膜に切り傷をつけて近視を減らす方法が流行り出しました。その後、レーザー光線を使うようになり、結果も安定してきたところで国民健康保険の適応の外でこの手術は多数行われています。

おおよそ、95%の患者さんが結果に満足し、5%の患者さんは目の痛みやドライアイ、目の疲れ等で後悔しているという話があります。その5%の患者さんの苦しみは尋常ではなく、仕事が手につかず失職すると言うほどの方もいます。

手術した施設では相手にされず、レーシック難民という言葉もあるくらいで、神経眼科を見る当医院にも多数の患者さんが流れて来ています。感染症を起こしたという医院の話は論外ですが、当然起きるドライアイや、過矯正(遠視化)などが問題です。遠視化した他の施設の患者さんに逆に近視化する方向で削ってしまうという私には同意しかねる治療をする施設もあります。

レーシックを受けない、勧めない10の理由という表が私のブログに引用してありますのでご参照下さい。

単なる近視であれば、近くはしっかり見えているわけですので、40歳過ぎになって老眼鏡を掛けなくては鳴らなくなくなる損をしてまで、遠方の裸眼視力をよくすることに意味があるか?という議論もあります。

1、レーシックはドライアイを起こす。
2、レーシックは画像の質の劣化を起こす。
3、レーシック後の角膜は完全には回復しない。
4、緑内障や白内障などずっと遅れて出る合併症の可能性がある。
5、レーシック術者は両眼を同時に施術したがるが、片眼ずつのほうが安全
6、炎症、フラップずれ、網膜剥離などが遅れて発生することがある。
7、40歳以上での老眼鏡の必要がなくなるわけではなく、眼鏡と決別できるわけではない。
8、レーシックでの本当の合併症の発生率がわかってはいない。
9、合併症が出た場合のリハビリテーションの手段が限られている。
10、視力矯正のためのより安全な手段として眼鏡やコンタクトレンズが存在する。

というわけで、大人に対しても懐疑的なわけですから、私の態度は小学生に対してはレーシックは論外です

6)飛蚊症について教えてください

飛蚊症は目の中の濁りが見えて、あたかも蚊が飛んでいるように見えるというものです。その多くは中年になって、近視のある患者さんの目の中のゼリー(硝子体)が水と分離して、その表面に有る繊維製の混濁が網膜に影を落とすことで発生します。その一部では、そのときに網膜に穴を作って、網膜剥離の原因になります。少し長いですが私のインタビューもあるので記事を引用します。
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ーーーー引用 朝日新聞の記事ーーーー

 1年ほど前、右目の中に黒い糸くずのようなものが浮いているのに気づいた。朝、目覚めてぼんやりと寝室の天井を見上げていたときだ。

 ゴミが入ったんだろう、と気にしなかったが、数日後にまた見えた。調べると、視界の中で虫が飛んでいるように見える「飛蚊(ひぶん)症」という症状で、主に加齢が原因のようだ。放っておいても問題ないのだろうか。

 滋賀医科大眼科(大津市)の大路正人教授(51)によると、「飛蚊症の多くは心配ないが、出血や炎症、網膜剥離(はくり)が起きていることもあるので、一度は眼底検査を受けたほうが安心」という。

    ◇

 眼球の中は、透明でゼリー状の硝子体(しょうしたい)で満たされている。硝子体は99%以上が水分で、残りが線維状のコラーゲンや、ヒアルロン酸などでできている。年齢を重ねると、この水分と線維が分離する。フィルムの役割をしている網膜に線維が影となって映るため、眼球の中で蚊が飛んでいるように見える。

 また、水分と線維の分離によって硝子体が縮むと、一部が網膜からはがれる。「後部硝子体剥離」という現象で、環状の影ができる。これも飛蚊症の原因の一つだ。強い近視の人に起こりやすい。

 治療で影を取り除くことも、水分と線維が分離するのを予防することもできない。

 大路さんは「検査で異常がなければ、その後は急に数が増えない限りは心配なく、気にしないようにするしかない」と言う。

 ただ、後部硝子体剥離から、網膜に穴が開く「網膜裂孔(れっこう)」が起きることがある。さらに進行すれば、失明の原因となる網膜剥離になる。網膜裂孔は外来でレーザー治療ができるが、剥離してしまうと入院での手術が必要になる。

    ◇

 飛蚊症で受診する人は多い。清澤眼科医院(東京都江東区)を訪れた50代の男性患者もその一人だった。清澤源弘(もとひろ)院長(56)が診察すると、網膜裂孔が起きていたため、網膜の治療を得意とする医療機関にすぐ紹介した。

 糖尿病や高血圧、外部からの衝撃による出血、網膜の外側にあるぶどう膜に炎症が起きたときにも、黒っぽいものが浮かんでいるように見える。これらもすべて飛蚊症だ。飛蚊症をきっかけに悪性リンパ腫が見つかる患者もいる。

 清澤さんは「飛蚊症は、年のせいと決めつけず、早めに検査を受けることが重要」と話す。

 光る点や黒い点が見え、飛蚊症のように思えても、硝子体に変化がなく、目の他の部分にも異常がないときは、片頭痛が原因のことがある。

7)プールの後は洗眼しないほうが良いのですか?

従来プール後の洗眼は目に必要とされてましたが、最近はむしろ目には良くないとされるようになりました。洗眼すると角膜を覆って保護している涙液を洗い流してしまうからです。

涙は目の表面に張り付くムチン層、涙の中軸を成す水層、そして表面を覆う油層です。洗われてしまってこの構造が乱れると目の表面が傷つきます。特に、水道水には塩素が含まれているので角膜の障害を起こしやすいというわけです。

じゃあ、プールから上がった時どうすれ良いか?「何もしない。」が正解。
乗船していた船が沈没したときに顔を水に付けて泳げることは必要でしょうけれど、その顔を水につけるという訓練が済みましたらゴーグル着用はお勧めできるでしょう。

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