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2011年1月28日

2004 白内障手術のあとで発生した強い羞明で目が開いていられないといわれたら?(眼瞼痙攣)

白内障術後の羞明(眼瞼痙攣)

こんな患者さんがいたと考えてください。

【主訴】 両眼の羞明と霧視

【既往歴】 アルコール依存症のため断酒会に参加中、断酒の為睡眠障害があり抗不安薬を眼科初診の5か月前から内服中

【現病歴】 上記主訴のため両眼の白内障手術を希望して受診、2か月後に両眼白内障手術を施行しました。

【初診時】右眼0.5(0.7×-0.75D:C-1.00DAx180°) 左眼0.7(矯正不能)

術前:両眼とも視軸にかかる皮質白内障を認め、角膜透明、眼底異常もなし・・・つまり、白内障手術をすることに問題はなかったはずです。

しかし、術後に開瞼困難の訴えが強まってしまいました。

白内障術後に発見された眼瞼痙攣5症例(吉田病院 高木美昭が 臨床眼科学会で発表された内容です)

平均年齢74.0歳、男性2、女性3

術前主訴は霧視4、羞明3、視力低下3

術後不満は眼乾燥感4、羞明3、開瞼困難3

白内障手術の適応としては問題なしなのに

全例がドライアイで

眼瞼痙攣が判明するのに4~12か月を要した。

全例が手術合併症か手術の失敗ではないのか?と訴えたが、
結局眼瞼けいれんとの診断でA型ボツリヌス毒素を注射したら有効であったそうです。

全例が向精神薬を内服していて、薬剤性眼瞼痙攣と考えられたということでした。

清澤眼科での白内障術後、眼瞼痙攣例(眼瞼痙攣例372例から)
実はこの私も白内障術後に見つかる眼瞼けいれんがあることに気が付いていましたのでそのような例を探してみました。

68-88歳、男2、女5、羞明・開瞼困難、異物感、疼痛などが愁訴でした
向精神薬服用は2例でしたが、ドライアイが6例にあり、
そのすべてにボトックスが有効で
しかも1-3回投与と少ない投与回数で愁訴は解消していました。

隠れた眼瞼痙攣をどう探すか? 

それには、眼瞼けいれん自己診断(治療前用)(若倉)が有用です。

( )瞬きが多い
( )外に出ると、または室内でもとてもまぶしい
( )眼を開いていられない、目をつぶっていたい
( )眼が乾く、「眼がしょぼしょぼする、痛いなどいつも目のことが気になる( )人ごみで人や物にぶつかる
( )電柱や立ち木、停車中の車などにぶつかったことがある
( )太陽や風、階段の昇降が苦手で外 出を控えている
( )危険を感ずるので車や自転車の運転をしなくなった
( )手を使って目を開けなければならないときがある
( )片目をつぶってしまう

眼瞼けいれん?片側顔面痙攣?(清澤、江本、若倉)にも収載してあります。

薬剤性眼瞼痙攣とは?
眼瞼痙攣は、本態性眼瞼痙攣、症候性眼瞼痙攣、薬剤性眼瞼痙攣の3つに大別される

ふつう薬剤性眼瞼痙攣は、50歳未満の若年性の症例が多い

眠剤エチゾラム(デパス)やベンゾジアゼピン系抗不安薬を使用している例が多い。

CES-D:鬱のスクリーニングお試しください
患者は精神科疾患の治療歴を話したがらぬこともあります。ですから、患者さんの精神不安定を疑うならこのテストは有効です。

≪質問項目には≫
1まれに~なし(1日未満)
2. いくらか~少し(1日~2日)
3. 時に~まあまあ(3~4日)
4. ほとんど~いつも (5~7日)
で答えていただきます。
      
①普段ではなんでもないことが
  わずらわしかった
②食べたくない・食欲が落ちた
と20問あるのですが、2枚の紙の上をはがすと、下に点数が書いてあって合計点が見られます。—–

これが16点以上ならば、鬱の確率は15点以下の場合の8倍という分別能力の非常に高い簡単なテストです。

薬剤性眼瞼痙攣の治療

精神科薬剤の減量を図る:主治医が聞き入れてくださる場合もありますがそうでない場合もあります。減量しても反応が出るのに3-6か月はかかります。

ドライアイ治療:涙点プラグなどを使います。ヒアレインの点眼程度ではおそらく効果はありません。

他の眼瞼痙攣と同様にボトックス投与を行う:これがメインです。まず説明してやってみるということで。

クラッチ眼鏡:これが必要な例は少ないです。

眼輪筋切除:形成外科に頼んでいますけれど、ここまで必要な例は白内障術後例では少ないでしょう。
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座長の若倉先生にこの発表内容をお見せして相談しましたら、必ずしも手術前から眼瞼けいれんがあったと考えなくても、目の手術に伴う変調が眼瞼けいれんを呼び起こす場合があるという考えもできるのではないか?とおっしゃっています。

私の症例の中に、薬剤性でないものが多いこともそれを支持しているのかもしれません。
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今回のお話の準備にご協力頂いた赤井公美子、秋山友紀子、柏倉志歩、川島素子、高木美昭、 江本博文の各先生に感謝いたします。

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この話題は日本眼科手術学会
シンポジウム9. 手術一般眼科手術:術後愁訴や不満への対応

1月30日(日)09:00-11:00
オーガナイザー
若倉雅登 (井上眼科病院)
松村美代 (永田眼科)

の中で
演者 1.前眼部および外眼部手術の術後愁訴や不満への対応
清澤源弘 (東京医歯大)
でお話する予定の内容の一部をここに別の項目として再掲示したものです。

眼科医の先生方には、明後日のご来聴をお待ちしています。

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