お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2010年12月8日

1877 レーシック手術で多数の角膜感染症を出してしまった医師が逮捕という記事が出ています。

レーシック後角膜感染(レーシック後の角膜感染、海外文献から)
レーシック手術で多数の角膜感染症を出してしまった銀座眼科の院長が逮捕されたという記事が出ています。一般の眼科診療に従事する眼科医としてはマークしておかずにはおられない記事です。

レーシックというのはレーザー光線を使って角膜の表面を精密に削り、近視や乱視を減らすという画期的な手術で有り、ここ10年くらいで日本でもだいぶん多くの患者さんがうけるようになってきたものです。

今回の感染事故は滅菌装置の故障に気がつかぬまま連日の手術を続けて、不必要に多くの感染症患者を出し続けていたという点で、医師としても考えにくい手術室管理の悪い特別な事例です。それで、敢えて業務上過失傷害容疑での逮捕となったのだろうと思います。

しかし、このような明らかな医療事故としては報じられないものでも、角膜の乾燥感が強くて苦しんだり、左右眼のバランスが悪くて苦しんだり、あるいは少し近視を減らしすぎて遠視の領域に入ってしまったので目がつかれて困るなど多くの副作用が知られています。

私は従来からこの手術を受けようという患者さんには反対の意向を伝えていて、”私自身には近視がないのですが、近視がある私の家族にもレーシックは受けさせてはいませんし、殊に自分の子供には父親として絶対にダメと言っている”と患者さんには説明をしています。この言葉で患者さんには私のレーシックへの強い反対の意向は伝わるでしょう。

今後も多くの患者さんが受けてゆくことになる手術ではあると思いますが、国民健康保険では、近視をなくすためのレーシックはいまだに普通の治療として保険が効くものとしては認められておらず、今回のように実際に合併症が起きた場合も原則6か月は目の保険診療が出来ず私費扱いとして扱われるというものであることもご理解のうえ、その手術を受けることは慎重にお決めください。

今回の訴訟で私が驚いたことは、その請求金額の小さいことでした。100人を超える原告に対して総額が1億4000万ですから原告勝訴でも一人140万程度でしかありません。これだけ、世間を騒がせた事件にしては少ない金額です。

しかしながら、医療過誤保険には足切りがありまして、一件当たりいくらかを超える部分についてしか保険金はでません。ということは、この訴訟では裁判で原告が勝っても、保険会社が負担してくれる金額は少なく、果たして被告には自分でそれを支払う能力があるかどうかは不透明ということになるのではないでしょうか?

ーーではこれから毎日新聞配信の記事を再録引用いたします。---

元院長逮捕 元には戻らない 被害100人超、怒り収まらず レーシック手術集団感染
2010年12月7日 提供:毎日新聞社

レーシック手術集団感染:元院長逮捕 元には戻らない 被害100人超、怒り収まらず

 「手術は両眼で4分で、痛みもなく、入院の必要性もありません」とホームページで宣伝し、他院の半額以下の約10万円で手術ができると勧誘していた銀座眼科。被害対策弁護団によると、元院長、溝口朝雄容疑者(49)=業務上過失傷害容疑で逮捕=のレーシック手術を受け、感染性角膜炎などを発症した患者は100人を超える。計約1億4800万円の賠償を求めて提訴した被害者たちは今も後遺症に悩み、退職を余儀なくされた人もいる。「謝ってもらってもどうにもならない」。被害者らの怒りは収まらない。【和田武士】

 高校教師だった横浜市中区の女性(36)が銀座眼科を訪れたのは08年12月。フロアは来院者であふれ「流れ作業のように診察、手術が進んでいた」。手術は約10分で終わった。

 異常を感じたのは約1週間後。白いコピー用紙がまぶしく見え、目の奥がうずいた。「よくあることです」。銀座眼科を再訪すると、溝口容疑者に言われた。角膜炎だった。何度か通院したが症状は一進一退。年明けに大学病院に駆け込んだ。

 入院は約2カ月に及んだ。09年3月に職場復帰したが、感染した左目の不正乱視が悪化。細かい字が見づらくなり、仕事に支障が出始めた。北海道への修学旅行を引率した際、看板が見えず「生徒を連れたまま迷ってしまった」。今年3月末で退職し、塾講師に転職した。今もろうそくの火が花火のように映るという。「医師免許を剥奪してほしい」と怒りは収まらない。

 千葉市緑区の主婦、野村たきえさん(46)も、08年末に手術を受けた。手術直後は「青空が澄んで見えた」。だが約1週間後に目の痛みを感じた。目が開けられず、小学生の娘に手を引かれるようにして銀座眼科に急いだ。

 「炎症を起こしています」。症状がひどかった左目の洗浄をすることになったが、溝口容疑者は麻酔が効いていない右目に、まぶたを開かせる器具を取り付けた。目の周辺の皮膚が裂けると思うほどの痛みに、野村さんは「痛い」と叫んだが、溝口容疑者は「ご容赦ください」とだけ言い、洗浄に取りかかった。「怖くて『違う目です』とは言えなかった」と振り返る。

 その後診察した大学病院の医師は症状に驚き、「失明するぞ、これ」と危ぶんだ。現在はほぼ回復したが、野村さんは今も「本当に治ってるのだろうか」と不安になる。

 ◇価格競争、安全置き去り

 平日10万円を下回る低価格を目玉にしていた銀座眼科は、友人や家族を紹介した場合、患者本人に2万~3万円をキャッシュバックするなどの割引制度も導入、芸能人の手術実績も売り物にしていた。だが、複数の専門医からは「顧客獲得のためのコストダウンで、安全対策を置き去りにした事件でイメージダウンが怖い」という声が相次いだ。

 神奈川アイクリニック(東京都新宿区)の北沢世志博・診療部長は「滅菌せずに器具を使い回すことは考えられない」と話し、「安く抑えるため、衛生管理のコストも削ってしまったのではないか」と指摘。手術費用には術後の診療費も含まれるのが一般的で、経過観察が不十分だった可能性もあるという。

 日本眼科学会の常務理事で筑波大大学院の大鹿哲郎教授(眼科)も「レーザー機器だけでも数千万円する。10万円以下はあり得ない価格。患者を多く呼び込まないと成り立たなかったのではないか」と話す。レーシック手術は自費負担のため、低価格を掲げて検査日にそのまま手術を行う医院もあるという。大鹿教授は「手術を受ける場合はリスクなどの説明を受け、術後のフォローも確認してほしい」と話している。【内橋寿明】

 ◇被害者の会「ほっとした」

 溝口容疑者の逮捕を受け、「銀座眼科被害者の会」(81人)は7日、被害対策弁護団(団長・石川順子弁護士)を通じて「一歩前に進み、ほっとした思い。自分のしたことを反省し、真実を包み隠さず話してほしい」との声明を出した。
ーーーー引用終了ーーー

私が先に記載したレーシックは安全な近視矯正のほうほうであるのか?という記事にリンクしておきます。

2009年08月05日
971 レーシックは安全な近視矯正手段か?その合併症は?⇒リンク

2008年04月24日
558 レーシック治療眼は6ヶ月間、国民健康保険での眼科治療が受けられないという事です。⇒リンク

2010年01月25日
1243 ”レーシックを受けた後、光がまぶしい”という海外医学情報が有ります⇒リンク

Categorised in: 未分類