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2010年12月8日

1876 虚血性視神経症 Ischemic optic neuropathy (ION) 今日の治療指針

虚血性視神経症
aion
Ischemic optic neuropathy(ION)

清澤源弘 清澤眼科医院・院長

病態と診断
虚血性視神経症は、視神経の虚血・梗塞により視覚障害をきたす疾患である。乳頭所見として蒼白浮腫を呈する型を前部虚血性視神経症 anterior ischemic optic neuropathy: AIONと呼び,これに対し乳頭に異常を認めない型を後部虚血性視神経症 posterior ischemic optic neuropathy: PIONと呼ぶ.前部虚血性視神経症には,動脈炎型と,非動脈炎型の2型がある.
非動脈炎型前部虚血性視神経症は、動脈硬化による短後毛様動脈の虚血で生じる。40歳以上で急性の片眼性,無痛性の視力低下で発症し、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満などの動脈硬化の危険因子を合併していることが多い。また、小乳頭(crowded disc, disc at risk)を認めることがある.水平性視野欠損altitudinal defectが典型的だが、中心視野欠損などの場合もある。発症後、症状の改善も見られないが、基本的には進行もしない(一部の症例では進行が見られることがある)。稀に、抗リン脂質抗体症候群や、ANCA関連血管炎を合併している場合があり注意を要する。
動脈炎型前部虚血性視神経症は、50歳以上に見られる動脈炎を病態とした稀な疾患である。数日~数週以内にも僚眼に著しい視力低下をきたす可能性があり、迅速に診断治療を行う必要がある.頭痛、赤沈の亢進(50mm/hr以上)、jaw claudication(顎を使うと痛くなる)などがあれば、他の視神経疾患を除外して側頭動脈生検を行い、診断を確定する。リウマチ性多発筋痛症(発熱,食欲不振,体重減少,両肩と大腿部などの近位筋の痛み,赤沈の亢進,CRP高値)を合併しやすい。
後部虚血性視神経症は、眼窩内視神経,または視神経交叉など、前部視路に分布する血管に上述の前部虚血性視神経症と同様の病変が起こったもので、脳への放射線照射,脳外科手術、全身の血圧低下、透析,内頚動脈狭窄症、重度の貧血、膠原病・血管炎、凝固能亢進状態、感染症(眼部帯状ヘルペス,アスペルギルス症など)などで生じる。治療は原疾患に対する治療,あるいは前部虚血性視神経症と同じ治療となる。一度出現した視覚障害の改善は難しい.

治療方針
A動脈炎型虚血性視神経症
ステロイドパルス療法を行い,内服療法に切り替えていく.プレドニゾロン内服用量は赤沈値を指標に,週に10mg/dayもしくは,総量の10%程度で減量していく.10~15mg/dayとなると,その用量をしばらく維持し減量に注意する.通常1年以内にステロイドは中止できることが多い.

処方例 下記を併用する。
1) ソルメドロール注 1回500mg 1日2回点滴静注 3日間、その後、プレドニン錠(5mg)6錠(朝食後4錠、昼食後2錠)より開始し、漸減。
2) ガスターD(10mg)2錠 分2 朝、夕食後
3) ムコスタ3錠 分3 毎食後

B非動脈炎型虚血性視神経症
治療に関してエビデンスに乏しいが、動脈硬化の病態に対して、動脈硬化の危険因子のコントロール、抗血小板薬(バイアスピリン○R)を用いることが多い。補助的に,ビタミンB12や、循環改善薬を使用することもある.

処方例 下記を併用する。
1) バイアスピリン1錠 分1 朝食後
2) メチコバール(250μg)3錠 分3 毎食後、あるいは2錠 分2 朝・夕食後
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清澤のコメント:
実際にはもう少し多い種類の薬剤が投与されることもあると思いますが、エビデンス(実際に効くという証拠)の有る薬剤に絞るとこういうことになるでしょう。

欧米では”一旦起きたら治らないし、有効な治療法もない”というように教えられますが、ステロイドが効く視神経炎などが混ざっているということもあるのでしょうが、ステロイドなどを使ううちに多少なりと改善するケースも稀ではありません。

主治医と相談しながら、糖尿病など原因になる疾患があるかたはそちらもご治療ください。

(これは、江本先生が手伝って準備してくださった物で、これから出版される今日の治療指針 2011の原稿案です。質問をしてくださった方がありましたので未完成ですが一旦アップしておきます)

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