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2010年12月4日

1865 眼科医療とリスクマネージメントという話を聞いてきました

本日は東京都眼科医会研修会があり、東京逓信病院眼科部長の松元俊先生の眼科医療とリスクマネージメントというお話を聞いてきました。

まず、眼科では右左の間違いが起こりやすいというお話があり、文字の右と左は汚い字で書くと読み間違いが起こりうるとか、矯正された左利きの人では右左の勘違いが特に起きやすいという話の振りから始まりました。

「右左の間違いをするなんて緊張が足りないからだ」と片つけがちですが、それは大きな間違いで、これを「竹やり精神型安全管理」と呼ぶのだそうです。

ヒューマンエラーを理解するには人間を知る必要があります。

Ⅰ、まず人間の認識の特性を理解しましょう

1)生理学的特性としては:

①夜勤の明け方には鈍くなると言った時間による変化
②加齢による認知力の低下
③疲労に伴う定価 
が見られます。

2)認知的な特性としては、

①人は見たいものを見、聞きたいものだけを聞いてしまいます。
②正常化の偏見:かなり危険なことに対面しても大したことはないと思いたがります。
③都合よく情報を理解してしまいます。これをStory building strategyと言います。
人は、言い訳をみつけて、これでいいのだと思うのだそうです。
④記憶は持続しません 明後日まで覚えているのは20%。エビデンスはなさそうですが、 ”頭の良い女性が記憶に頼って失敗することが多い?”

というわけで、よく注意してやりなさいということには、記憶の容量には限界がある、注意は選択的で恣意的な方向性に支配される(カクテルパーティー効果:自分の悪口なら混んだカクテルパーティーの場でも聞きとれる)、注意の強度は変化し忙しかったという後がが危ない。

3)社会心理学的特性
①権威への追従を示す (アイヒマン効果:怖い上司の言うことは通ってしまう)
②みんなと違うことは主張できないものだ
③社会的手続き 集団で作業すると個々は手を抜いてしまう(リンゲルマン効果)
④リスキーシフト効果 集団の決定は個人の決定よりも危険な選択をしがちである。
個人なら選ばない危い術式を、術前検討会だと選んでしまいがちであると。

Ⅱ、訓練しても人間の特性は変わりません。ですからヒューマンエラー的な考え方をすることが必要です。
1、ミニマムマンカウンター
①危険は排除しましょう
②作業の工程はなるべく減らしましょう

2、各作業でのエラー確率を減らしましょう
①ミスが出来ないような仕組みにしましょう。酸素、笑気など、各ガスの差し込みを共通ではなく作る
②解りやすく (チューブに色をつける等)
③作業をやりやすくする (物を運ぶのにかごに入れさせるなど)

3、

4、エラーを誘発されないようにする

知覚能力を持たせる
認知予想トレーニング
安全を優先させ、解らぬ時は解らぬと言って質問をさせる
メンバーの出来る能力を高める

伊賀の影丸の言う「何か気配がおかしいぞ」という気配を読めるようになろう

Ⅲ、多重のエラーの検出策
1、エラーを警告する機械
2、作業環境にエラーを検出する装置を組み込んで置く
3、自分でエラーを発見させる
 このために有効なのが鉄道で行われる指さし確認
 ネームタッグの確認は、患者本人に名乗らせる事
 右と左の区別は、口頭ではなく患者さんにこっちの目ですね?と聞く様にしよう

 これらは意識に登らせるとエラーが防げるからです。

Ⅳ、事故が起きても被害は最小限にしよう
 (実はここからが、重要なのですが、)
エラーに備えて、保険に入っておく、事故後の対応を考えておくことが重要。

1、医療過誤は裁判を起こさせないことではなく、負けないことが重要なのです。そのためにはSOAP(S主訴、O所見、A評価、P治療計画)を記載した、メリハリのあるカルテを書こう

2、現在の医療水準を順守しよう
現在の開業医での医療水準を確認しておくことが重要。それは薬剤の添付文書であり、学会のガイドラインなのです。

3、手術などの説明同意文書の要点も大事です。
 手術主義の名称、手術の必要性、その処置をしないとどうなるのか、その方法に伴う危険性、医師の署名と日時、患者の署名と日時 の記載が必要です。

4、マニュアルの整備
 緊急時のマニュアルの整備、
 添付文書のファイル作成
 事故防止訓練の記録を作って残しておきましょう。

5、録音
 自分の反省材料として、後の資料として。
 ボイスレコーダーや防犯カメラの設置は有効かもしれない
 あたりまえですが、医療サイドはもめたときにも平常心を失わないで対応することが大事
 債務不履行の証拠保存責任は10年、不法行為に対する証拠保存義務はもっと短いのであるけれども、記録は大切に残そう。

結論:
ヒューマンエラーを減らそう。診療の記録であるカルテを整備しよう
今の開業医はプライドを捨ててメンタル面を切り替える事が必要です。
医療側の準備段階においては、患者さん性善説で準備を済ませるのでは不適切です。

早期から危ない疾患は大病院にも見せておき、治療結果不良な場合のリスクは分散するべきです。

患者にも理解できる形で、患者にもリスクを分担させる説明をするのがよいでしょう。

医療過誤保険には入っておきましょう。

医療過誤訴訟で最も嫌なのは、診療者がその訴訟を機会にへこむ(医療に関する情熱を失わされてしまう)ことです。
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清澤のコメント:
当たり前ですけれど、医療者である人間は間違い(犯罪ではなくてエラー)を犯すものであるという認識は大切です。それを前提に準備して事故を減らす。事故が起きてしまったときに備えて置く、不当に事故ばかりではなくその後の対応まで悪かったと判断されることがないように準備し、対応を実践するというのは納得できるお話でした。

この話を聞いてから自宅に戻り、家具屋の社長のFさんと拍子木を打ちながらの夜回りをしました。家具販売業界でも難しいクレームが多く、苦労するそうです。

取引先のお話だそうですが、捨ててくれと言われた家具のゴミの中にダイアモンドがあったはずという疑義が出たのだそうです。外枠は処理済みでしたが、引き出しが残っていてそのゴミの中から奇跡的に高価な指輪が見つかったのだそうです。

社員にその保証をさせるわけにはゆかないが、どう対応しようかという場合はあると思います。

当医院でも視能訓練士にかかる医療事故をカバーするために、従来の医院の医療過誤保険に加えて、今回から特約を付けることにいたしました。

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