お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2010年12月3日

1861 『武士の家計簿 ~「加賀藩御算用者」の幕末維新』(新潮新書)を読みました

現在の日本政府の借財は800兆円、一人当たり700万円だそうです。

その増加のカーブを見れば、之は破綻するしかないと直感されます。江戸幕府が倒れた明治維新はまさにこのような状況でおきたのではないでしょうか?

その中を当時の人々はどのように生き、新たな生活を築いていったのかがわかる本です。

NHKでは坂本竜馬を描いた竜馬伝も終わり、それを見るうちには、天皇中心の本来の姿に政権を戻して世界に対抗できる体制を作り上げようと言った、素直な考えばかりで行われたことばかりではなかったことが分かりました。それが、幕末に起こった政権移動の状況だったわけですね。

そこで、同時代を舞台にした本なのですが、江戸時代末期の武家の出納を分析した本を読むことが出来ました。

そのきっかけは、ハリーポッターの映画を見に行った映画館で宣伝用に作られた新聞型のチラシを見、映画の予告編を見たことです。お茶の水の丸善で購入し、やっと読むことが出来ました。

 映画でも描かれているようですが、江戸時代の武士は俸給を米で支給されていました。40石の蔵米の内から自宅に運び込まれる米は8石だけで、残りは蔵屋敷で銀または銀相当の藩札が渡されていたそうです。

誰でも職場では昇格したいわけですが、地位が登ればそれ以上につきあいの経費がかかり、家計は火の車。そこでこの家の主はあらゆる家財を売り、借財をなくしたということのようです。

 政権の交代後も、旧藩政時代の地位に甘んずることなく、彼らの息子は新政府海軍に経理の腕を持って出仕して大きな収入を得るようになります。貸家の経営をしたり、投資会社への投資を考えたり、直接に農地を購入して小作に貸しに出すことまでを考え、その一部は実行されています。

ーー引用記事(はてなキーワードより:リンク)ーーーー
『武士の家計簿 ~「加賀藩御算用者」の幕末維新』(新潮新書)

現茨城大学人文学部の歴史学者、磯田道史准教授が書いた本で、歴史教養書としては異例のベストセラーになった本。

「武士の家計簿」とは、代々金沢(加賀)藩の経理業務にたずさわる「御算用家」、猪山家の6代綏之(やすゆき)から9代成之(しげゆき)までの4代にわたる出納帳の事で、「金沢藩士猪山家文書」という武家文書に、精巧な「家計簿」が例を見ない完全な姿で遺されていた国史研究史上初めての発見。この家計簿からは武士が明治維新によってあっさりと領主権の廃止を受け入れることができたかを示している。つまり大政奉還は武家の財政悪化のよるものだと解説している。

まさに、現代でおきている様々な出来事と同様の事象が江戸時代にも起こっていたことがわかる。復元された武士の暮らしを通じて、江戸時代に対する通念が覆され、全く違った「日本の近代」が見えてくるとても興味深い本だ

また、映画化が決定し、2010年秋公開予定。主演は堺雅人、仲間由紀恵、監督は森田芳光。
ーーーー引用終了ーーーーーーーーー

さていかがでしょうか。この一族の子孫は再び幸いにも海軍に出仕することが出来てよかったのですが、その後は戦争中に3男が自殺し、甥はシーメンス疑獄事件で捕縛されるなどの困難にも直面したそうです。

いずれにしろ政府が多額の借財を抱えて、立ち行かなくなる事態をどう乗り越えてゆくか?という問いへの答えを読み取れるすぐれた書でした。

私が生まれたのは長野県の木曾谷なのですが、そこを舞台として時代としては同じ時代を描いた島崎藤村の”夜明け前”もほぼ同じ背景を描いたものなのだと感じながらこの本を読みました。

Categorised in: 未分類