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2010年12月1日

1860 ルセンティスは保険診療でもとてつもない私費負担分の医療費を要するらしい

加齢黄班変性は従来大した治療もなく、視力を失う患者さんも多かったのですが、そこに見出された光明は、VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮増殖因子)に対する人工的な抗体を眼球内に注射するというものでした。現在、”ルセンティスは、滲出型加齢黄斑変性患者の視力を回復し、視力低下により障害されていた日常生活機能を回復させます”と説明されています。

最初は、加齢黄斑変性に許された保険認可の薬剤もありませんでしたので、医師の裁量や病院の裁量でアバスチンという大腸がんの治療目的の類似の製剤を(研究費からの持ち出しで、患者さんや国に対しては無料で)注射するという様な変則的な治療を行う大学が現れてきました。

彼らの抗血管内皮増殖因子抗体への研究成果も認められ、海外からは2年程度の時間の遅れののちに、ルセンティスとマックジェンという眼科用の抗血管内皮増殖因子抗体の製剤が日本でも認可され、それが大学でも市内でも保険診療として使えるようになりました。

この間に、抗血管内皮増殖因子抗体の投与の典型的なパターンも最初の3か月は毎月、その後は2か月毎というように打ち続ける必要性が解ってきました。

医学的にはそれで良いのですが、そこで実際的な問題が出てきました。それは、一回の投与毎にかかる薬剤費の自己負担が3割負担の患者さんでも55000円かかり、それを半永久的に払い続けなければならないという問題が明らかになってきたことです。

本日、大学に行きましたら、”大学での診療に関与する眼科医師に対する注意書き”が渡されました。その内容は、”この新しい治療法は国民健康保険を使っても、一回の注射毎に55000円の自己負担が必要で、しかもそれは本人が治療を求める限り半永久的に続く”ことを十分に説明して、納得していただいてから、施療を実際に行う医師の予約を入れるようにしてほしいというものでした。

治療を始めてからその金額に驚くとか、その金額が毎回必要で、今後の治療一切を含めての金額ではないと知るケースもあって、窓口の事務官と患者さんの両者が困るようなケースもあるようです。

眼瞼痙攣でも17000円の(ボトックスですが)薬剤費は約3か月ごとにかかります。その金額のゆえに十分な治療が続けられないという患者さんは眼瞼けいれん・片側顔面けいれんにも居られます。

国の借金が800兆と聞きますと、今までのように必要な治療は何をおいても必要という理屈ではことが行えない時代であるということは明らかなのですけれども、おいおいと言わざるを得ないです。

今後は、ある程度の治療をしたら、この治療は中断してゆくというのが現実的な対応なのでしょうか?

この薬剤の有効性が論じられる網膜静脈閉塞症に対しても、保険との兼ね合いなど考えますと、以前からの網膜非潅流域への網膜光凝固を中心とする治療に戻ってゆくのであろうか?などと考えた1日で有りました。

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